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白蛇サマが行くっ!  作者: 福寿
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可哀想な熊と嬉々とする僕たち

僕たちはバフとデバフが使えるから、戦力面では大体は有利に先手を取れる。敏捷が上がるバフの時はとても楽しい。


道中の爪熊を全て返り討ちにして、遂に巨大爪熊の居る廃村へと辿り着く。どうやら倒されても定期的にここに出るっぽいね。


ボス熊さん久し振り。僕たちがボス熊の前へと出ると、さらに奥から二匹目のボス熊が出てきてしまった。僕たちに数を合わせてきた?


「ぼぁぁ、ぼあ!」


「シャァー! シャゥッ!」


僕はそれぞれに鈍足と防御力低下のデバフと、白桜は攻撃力増加のバフをかけてくれた。加えてついでとばかりに氷の礫がボス熊達を襲う。


「グォォッ!!」


「グオオオオ!」


「シュゥゥっ!」


鈍足がかかった方に渾身の一撃を直撃させる。怯んだ所に毒牙で追撃する。すると横から体勢を立て直したもう一匹の方が殴ってくるけど、氷壁によって僕に届くことはなかった。


「シャァ」


「ぼあーっ!」


戦闘の時だけは何となくだけど、白桜と意思疎通が出来てるような気がする。僕たちはお互いをカバーしながら、二匹にダメージを着実に与えていく。


「シャっ!」


「グォ?!」


「ぼぁ!」


「グォォォォ……」


さほど時間は掛からずに二匹のHPをある程度削った。そして前と同様に爪熊が何処からともなく駆け付けてくる。


二匹分だから少し多いけどそこまで問題ではない。わざわざ相手にする必要は無いから爪熊の攻撃を躱しつつ、ボス熊へと攻撃を入れる。


爪熊は氷属性に少し弱いのか、囲んでも直ぐに怯んでしまっている。僕はボス熊を火球を撃って牽制し、HPが残り少なさそうにトドメを与えに向かう。


「グォッ!」


「シャァ!」


首に巻きついて窒息させながら、毒牙と火球で頭部を攻撃する。爪熊を全て倒し終えた白桜の攻撃もあってか、残り一匹を残すだけになった。


「グ、グォ……」


「シャー……シャァっ!」


「ぼぁああ!」


最後のボス熊は絶え間なく続く攻撃によって、数十秒後に地に倒れた。爪は……必要以上にあるね。後は帰り道に適当な魔法粘体を狩るだけだ。


時間があれば新しい廃村を見つけて色々道具を漁りたいな。そう幾つも廃村があるのはそれはそれで怖いけど。


廃村から出ようとすると、白桜がいつの間にか居なくなっていた。慌てて探すと廃屋から何かを咥えて跳ねながら近づいて来る。


「ぼあー!」


「シャー?」


咥えてたのは指輪、僕が触れるとアイテムボックスへと仕舞われる。詳細を見るとそれはルーフのアクセサリー枠に装備出来る物だったのだ。


魔力の指輪

レア度:C+

装備効果:最大MP+50


シンプルだけど、ルーフが戦える時間が伸びるのは嬉しい。僕は白桜を褒めるように鳴いて、数匹の魔法粘体を狩ってから宿屋に戻った。


ちなみにルーフは門の近くで待ってたみたいで直ぐに回収しに来てくれた。早足でスキップしながらルーフは僕たちと宿屋に戻る。


「お疲れ様です、素材は集まりましたか?」


「シャー」


「集まったみたいですね、ありがとうございます。鍵を作るのに一日はかかりそうなので、白蛇サマも白桜ちゃんもゆっくり休んでください。ちゃんと約束通りの物も用意してますよ」


「ぼぁあ!!!」


「シャー!」


出されたのは美味しそうなタレがかかったステーキと、シーナの実がふんだんに使われたパイが目の前に出される。


僕たちは同時に食いついてムシャムシャと食べた。このゲーム始めて良かった……。あ、そうだあの指輪出さないと!


「シャー」


「どうしたんですか?」


「シャ」


「高級そうな指輪……もしかしてわたしにくれるんですか?」


「シャァ」


「あ、ありがとうございます。一生大切にしますね」


ルーフは僕を撫でながら頭を下げる。美少女の幸せそうな笑顔はその内癌に効くと思う。僕は残りのステーキを食べ尽くし、サポートルームへと行った。


「調子はどうですか?」


「一応順調?」


「なら良かったです。ハクは私含め様々な管理AIが見ていますが、こうやって話せるのは私だけですので」


「そうなの?」


「えぇ、私だけがハクをこうやって優しく抱きしめること許されてます。とても光栄ですね、それとプレイヤーの動きは知りたいですか?」


「うん、お願い」


リョクさんは何処からか前見た物と同じ感じの紙を取り出して僕に渡してくれる。


「ふむふむ……まだ揉めてるんだ……」


「本当に愚かですよね……そんな情報よりも金になる話は大量にありますのに……」


「愚か……」


僕は頭を撫でられながら、少し会話を楽しんだ後にログアウトした。人間はやはり愚かだった……。

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