おや……タマゴの様子が?
ふぅ……疲れた。子供相手だから真面目に聞き入れられずに終わったぽいけど次はない。今はルーフに素材の確認をしてもらってる。
「ふんふん……問題ないです。砥石も良い物ですね」
「シャー」
満足そうにルーフは頷いた。もしかしたら僕に気を遣ってるのかもしれないけど。その時にクエスト達成の表示も出る。
特に報酬に変化はなかったけど、報酬を貰ったと同時にまたクエストが提示された。
「素材は枯渇気味なので集め続けてくれますと嬉しいです、他にも魔物の素材もお金に出来ますから譲って貰えますか?」
「シャア!」
村で拾った物も渡すと目に見えて顔が明るくなる。特に油と裁縫道具は値段が高いみたいだから喜んでいた。熊の素材も高く売れると言ってくれる。
「ケガは大丈夫ですか? 回復薬は少し買ったので多少なら癒せますが無理はしないでください。わたしには白蛇サマしかいませんから。それと裁縫道具は今はそこまで余裕があるわけではありませんから、申し訳ないですがそこまで手が回りません」
「シャ、シャァ……」
ルーフの目が一瞬ハイライトを無くす。何かヤンデレ気質のような物を感じてしまった。いやまさかそんなはずは……。
裁縫道具は他に色々揃える必要があるから仕方ない。スキルも必要そうだし。熊の毛皮はそれ用に取っておくみたい。
まぁそれは置いといて、そう言えば前に拾ったタマゴはどうなってるかな?アイテムボックスに突っ込んだままだからどうなってるかは分からない。
さてと様子は……あれ?名前も柄も変わってる。前は卵を大きくした見た目なのに今は白色のふわふわとした毛が生えている。
名前は白亜神獣のタマゴ。神って着いてる時点でなんかもう凄そうだ。しかも前以上に跳ねたり動いたりしてるし。
ルーフは捕まえようとしてるけどタマゴは躱し続けている。僕が回収しようとしたその時、ヒビが入ってしまったのだ。
「あっ?!」
「シャ?!」
そのヒビは全体へと走り、遂に割れてしまった。もうダメだ……ごめんよ生まれて来るはずだった白亜神獣よ。
……ん?あれなんかタマゴから光g眩しっ?!思わず目をつぶって光が収まるまで待つ。直ぐに光は収まったけどタマゴは消えていた。
その代わりアザラシを平べったくして、純白のふわふわしてそうな毛が生えた座布団くらいの存在が僕たちを見て鳴いた。
「ぼぁぁあ」
「えっと……タマゴから生まれたんですよね?」
「シャー」
「ぼあー」
随分呑気な鳴き声をあげている。ポヨンポヨンと跳ねながら僕に近寄って身体を寄せて来た。あーあったかいなー。
「わ、わたしの白蛇サマに近付いてたらダメです!」
「ぼぁぁあ!」
「シャァ?」
何故か咄嗟にそう言ったルーフは僕を持ち上げる。ぼあーと鳴く存在はかなり高く跳ねながら僕に近づこうとしていた。
と、とりあえず名前は後で決めるとして、ステータスが見れるからそっちを先に確認しよう。ついでに僕のは……うん、レベル上がってなかったから良いや。
名前:
種族:白亜神獣lv1
HP:200/200 MP:400/400 空腹:100/100
筋力:5
頑丈:20
器用:5
敏捷:30
精神:40
知力:30
SP:0
スキル:【氷属性魔法lv1】【祝属性魔法lv1】【威嚇lv1】【状態異常耐性lv1】【巨大化】【麻痺弱点】【雷属性弱点】
装備:専用装備【空白】
神とついてるだけあって強いけど、一部のステータスは壊滅的だ。どっちかって言うと後衛よりだけどそれはそれでありがたい。
敏捷も三十あれば僕について行ける。祝属性魔法は呪属性の反対バージョンだ。威嚇はこんな可愛らしい見た目に出来るのかは不明だけど、怯ませたり出来るみたいだ。
巨大化は種族レベルに依存して大きくなれると言うモノ。どこで使うんだろう……。ルーフと違ってステータスが弄れるからどうやって育てるか考えないと。
名前は……どうしよう。
「シャァァ……」
「ぼぁあって鳴く魔物は初めてみました……折角なので名前はぼあーちゃんでどうですか?」
「シャ、シャー……」
ルーフなネーミングセンスがないことが発覚してしまった。んー、白桜ちゃんで良いかな。名前欄に打ち込むと、ステータス画面が見えないはずのルーフも名前が伝わったようだ。
「白桜ちゃんですか? あれ……なんでわたし分かったんだろう……白蛇サマのお陰ですかね」
まぁ何もしなくても伝わるならそれに越したことはない。名付けられた白桜はポヨンポヨンと跳ねながら喜んでいた。
「ぼぁぁぁあ!」
「ぼあーちゃん……じゃなくて白桜ちゃんは珍しいペットで済みそうなので後で冒険者ギルドに使い魔として登録しておきます。タグを付けておいたら問題ありませんし、何より賢そうですからね。白蛇サマも行きますか?」
「シャー」
「ぼぁっ!」
確かに威厳もなにもないその姿は僕よりは大丈夫だろう。ご飯は……うん、流石にあの見た目で穴は通れないから少し考えよう。
僕は外套の中へと入り、白桜を両手で持ったルーフは通行人に二度見されながら堂々と歩いて行った。
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