表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白蛇サマが行くっ!  作者: 福寿
10/36

これからどうしよう?

あの後は抱えられながら急いで地下から脱出した。村長とその隣の部屋に居た村人らしき影も消えている。


「白蛇サマ! 降ろしますよ!」


「シャァ」


僕は腕から解放されて周りを見る。村長の家から出ると既に武器を持った村人たちが僕たちを待ち構えていたのだ。


「……戦いますか?」


「シャー」


僕は首を横に振る。もう目的は半分達したから後は逃げるだけだ。すると複数の村人に守られる形で奥に居た村長が指示を出す。


「こ、殺してしまえ!」


「白蛇だ!」


「殺ってやる!」


かなり殺気だってる。もうこうなったらルーフの手を汚させるくらいなら、僕が動いた方が良いだろう。あの魔法も消耗が大きそうだし。


挑発を発動させると、ほぼ全ての視線が僕へと刺さる。ルーフは何か察したのか僕から距離を取った。ま、まぁ軽くやれば大丈夫なはず!


早速近くに居た村人の一人を尻尾で叩く。少し心配だったけどクリーンヒットした哀れな存在はまだ生きていた。


それに少し安堵しつつ、また次の相手に尻尾を喰らわせた。一人気絶させる度に怒声が強くなるけど、恨むなら僕に挑んだ自分を恨んで欲しい。


「ひ、ひぃ?!」


「白蛇サマの怒りを買ったんだ!」


「あ、お前ら俺を守れぇ!」


「シュゥゥゥ……」


それを繰り返して村人の数が一体以下になると、村長の指示も聞かず全員逃げ出してしまったのだ。後には陰で見守るルーフと村長と気絶した村人と僕しか居ない。


「俺は村長だぞだ……?! 逆らったらどうなるか分かってるよな?!」


「シャー?」


このおっさん、まだ自分が助かると思っているようだ。それを見て少しイラッと来た。とりあえず僕は火球を放つことした。


せめて焼くのに失敗した鶏肉にはならないように、火球調理法で学んだコツを活かしつつ全身を丸焼きにする。


「シャァア!」


「たすk」


「これで……済んだんですね?」


「シャー」


ルーフは僕を見ながら、少し安心した顔をしていた。すると彼女は一つお願いをしてくる。


「白蛇サマ、わたしのお母さんの家へと行って良いですか? お墓はどこにあるのか分からなかったので……」


「シャァ」


了承すると、ルーフは家へと入る。念のため僕も着いて行った。中では既に座って寝床に手を添えていた。


「お母さん……ありがとう、もっと一緒に居たかったけど白蛇サマと頑張ります。わたし強い子だからきっと大丈夫。だから見守っててね」


ルーフはそれだけ言うと振り返って僕を見る。その顔は初日の泣き顔とは違い、後悔や未練がなくなって振り切れた笑顔だった。


「……ここを出る前に食糧庫と倉庫だけ漁っておきますか」


「シャー」


この娘意外とちゃっかりしてる……。確かに僕の手持ちの食料も無くなりかけてたから補給出来るならありがたい。


ルーフは松明を持って一緒に食糧庫へと入る。中は冷んやりとし、所狭しと種類別に分けられて、様々な食料が並べられている。


僕は食べられそうな物を選んで次々にアイテムボックスへと投げていく。前からサラッと使ってる機能だけどプレイヤーしか使えないから、ルーフから見れば物が何もないところに消えたり、出て来たりしてるからかなり不気味だろう。


それにNPCは使えないから、何かバックパック的な物を持たせてあげたい。加えて容量にも限界があるからある程度は空けておきたい。


でもここには食料以外何もなさそうだった。次は倉庫へと向かう。倉庫は鍵が掛かってたから扉ごと破壊した。


すると中にはかなり有用な物が複数見つかったのだ。


「地図に鞄に……テントも! こんな貴重な物が沢山あるのは幸運ですね」


地図は冒険するのには必須だ。鞄は革で出来たショルダーバッグだ。他にもランタンだったり、人用の雨具も見つかった。


他にもナイフに黒色の顔を覆えそうなフード付きの外套、革の水筒までまるで誰かこの村を出るつもりがあったのだろうかと言うレベルだった。


問題なのはルーフが全部持てるかの問題だったけど……すんなり持った。


「わたし力持ちですから」


「シャ、シャァ……?」


僕を抱えられる時点で何となく察していた。一体その細くて小さい腕のどこに筋肉があるのだろうか。胸を張っているルーフを見て僕は疑問を浮かべずにはいられない。


黒色の顔を覆えそうなフード付きの服は、ルーフから三つ目と僕を隠すために常時着ると言われた。


「白蛇サマ、入ってきてください」


確かに足元から入れるし、入っても不自然なことにはならない。だけどルーフの中に入るのは何か倫理的にダメなような気がしてならない。


僕が悩んでいると、痺れを切らしたのか僕を無理矢理中へといれてしまった。


「これで大丈夫ですよね」


「シャ……」


何か逆らえない気配がする……。でもこれで他の人と会っても多少は安心出来そうだ。杖に関しては不思議なことにルーフの意思一つで消したり出したり出来ると言われた。


僕はフードの部分から顔を出して、ルーフの体温を感じながら一緒に地図を見る。落ちないようにしっかりと体を巻き付けなきゃいけないから一層危ないことになっている。


当の本人は気にしてないのか地図の説明を始める。地図はこの周辺のもので、このまま真っ直ぐ行けば……って人語と蛇語両方で書かれてる。


「このまま行けばガルサの街に行けますね、先ずはそこが目標です」


「シャ」


「白蛇サマは戦闘時とか休憩以外はわたしの中にいてください、わたしは大丈夫です」


申し訳なくなってきた……僕の方が一応年上のはずなんだけどな。言っても伝わらないから諦めて、やっと村の外へと向かった。

読んで頂きありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ