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=異星人、その足跡地球にて。=


思い入れのできた横断歩道を通りすぎた先、

不意に通りすがりの地球人の列を見かけた私は灰色くんへ尋ねる。

「地球の人口ってどのくらいだっけ?」

「えっとね、今およそ90億人……」

「オクニン!?はぁ!?そんなに?ちゃんと今を生きて動いている人間だけで……だよ?」

「やっぱり……本当なんだ……」

「そうだよ、流石に調べて言ってるよ。」

「ニオ、地球はラノハクトと違って無駄に延命処置なんかしなくても人口は好き勝手に増えていくんよ。」

「この星の90億人も一斉に圧延かけてるのか。」

「90億人なんていたら一人の命なんてちっぽけに感じない?」

「いやむしろ、その中の唯一選ばれた人間になれるかもしれんね?少なくとも自分は一人だけだよ?」

「ま、とにかくそんなにうじゃうじゃいたら有限資源なんて一瞬で溶けちまうな」


たまたまこの星の表面上で「自分」を手に入れており、細胞を寄せ集めたものの中でも高い知能を確立し、今、法則に従いながら命に囚われている人数……の話はこのくらいにしておいて、

私たちの見るべきもの、知るべきものは果てし無い濃度で散りばめられているはずなんだよ。


私はあの学校を目の当たりにしてそんなわけないと言い切れなかった。

あの光景に大いなる説得力がある。

……はぁ。住んでいる世界が違いすぎる。

学校も然り豊かな人だかりの羨ましさが息苦しさになってきた。



行く先に居た人間が何かに繋がっているのに気がつく、膝下の辺りから人間には無い色模様を私の額角がもんやりと感じ取る。

「あれ!人間に連れられているの、地球の動物じゃない!?」

「知的生命以外の地球の命……だ。」


「それ、朝散歩中の犬じゃない?」

灰色くんがぼそり。


へー。

「イヌって言うんだ。」

「イヌと呼ばれているんですね。」

「こいつがイヌか。生意気な。」

「……イヌ。」


……あぁ、まずい。この輝いた目、鮮やかな毛並み、麗しい態勢。気取っているような顔でこの子は引き延ばされている。

柔らかそう。これがイヌなのか。

イヌをしゃがみ囲んでじっくりと見る四人。


じーっ。


その魅惑に私たちは時間を忘れようとしている。ぴったりと張り付いていた心と意識が綺麗に引き剥がされ──

どのくらいたっただろうか。


つんつん。

もふっ。もふもふっ。うふふ。


動きを失っているにも関わらず、その姿に対して私に、私たちに残された選択肢はその場で蕩れているしかないのだ。


思わず表情が蕩け、溢れそうになる。

抱きしめて眠ったらいい夢見れるんだろうなぁ……。

足も、尻尾もふわふわじゃないか。

なんだ、なんなんだこの魅力は……!?

私たちはニマニマしながらイヌを囲み続け、その顔を、体をしっかりと焼き付けて心地よい空間がずっと、ずーっと。


「……っはっ!?どのくらいこのイヌに掴まれていた?」

「……あー。わからない、わからないけれど確かにこの掴まれていた時間に値する魅力が秘められているよこの子には。」

「20分……くらいです。」

「ははは……。」

はぁ、そんなにか。

夢から覚めたくなかった。

地球で見たものの中で最も興味をそそられた。

ジャグチとはまた違う麗しさがあるけれど私の中でいい勝負だ。


チキュー人類の原産地と同じ地にイヌという生物も生息しているのか。


急に現れた天使は今何を思いながらここに佇んでいたのだろうか。


一つ言えることは、

この一瞬にこんなにも撫でこねられたイヌは他にいないだろう、

ということだ。

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