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=技術は如何にして人々の感情を揺さぶるのだろうか。=

「心配するな、こっちも体験データとレポートを送信する必要があって、それまでには本部と繋がるようになるから。」


「焦らず……その時まで。」


なんというか、こんなことになるなんて。

当たり前だけれど、ラノハクトに居たときには思ってなかった訳で。


「マシンが今後正常に動作すれば、そのときあなたは調査開始から今までに観た光景や感じたことは記憶から消失し、もといた場所で……ただの日常の内の五秒間を過ごすことになるはずだね。おそらく。今まで通り。」


寂しいけれど、その方が自然で良いのかもな。

私たちは本来、出会うはずじゃなかった。


こんな奇妙な体験学習を越えて、ありきたりな世界にしてあげないと。


「でもさっきも言った通り、私たちはあなたが戻る前にこの星について調査してまとめるのが課題だから、ついさっきここに着いて始めたばかりで聞きたいことが山ほどあるんだよ……。」


「そうそう、そういうこと。」


「未知の世界……」


「そうだよね、調査に来てたんだよね、いいよ。僕でいいなら教えてあげる」


「でも、どうする?僕は今までの日常に戻りたいけど、報告ができるようになったとして、取り残された僕のことを例外だと伝えるのは僕が君たちの調査の協力をした後にしたいんでしょ?」


彼は自分の状況、私たちの心境について理解を深めてくれていたようだ。それなら話が早い。ありがたい。


「まぁ、そうなる。」

「全くもってその通りだね」


「教えるにしても、僕と一緒に同行しないとこの星のそれが何なのか、何のために存在するのか伝えられないよね?この待ち合わせに来るのも大変だったのに、君たちのお仲間さんがいるところを見つからずに地球を案内や紹介をするってのは無茶なんじゃない?」


ん?


「いやいやそんなことはぁ、ない」

そう告げるとビストが振り向いて私の方を指差した。


「私たち、本部……というか学校から生徒一人一人にこの端末を配られているの。」

端末をそっと置く。

「うん」

「それで、これをもうひとつ繋げれば、ビデオ通話できるのね」


「で、あなたに貸すから……ニオのを。」

「わたしがぁ!?」

ちょっ、ちょっ!ど?ええ!?

私が説明していた途中で悪魔のような何かが割り込んできた。

その悪魔はとても素早く意地悪だった。


「ニオが彼のことを一番知ってるでしょ?大丈夫だよ、嫌なの?……まぁこの際別に誰のでもいいのだけれど」

「ニオ……さぁ、折れよう。」

ぅーん、……しょうがないなぁ。

二人にそう揺すられたら、

そうするしかない。


学校から渡されたもので唯一愛着のあった、端末をとぼとぼと立ち上げていく。

別に良いもん、“調査のため”なのだから。しょーーーーがないなぁ。


「あー、あー、おーい、聞こえる?」

「聞こえるよー」

「……よし、問題なく繋がったようだね。」


「僕からはこれを……」

彼は服に付いていたポケットから取り出したものをくれるらしい。

「?、なにこれ」

「御守りっていって、持っているだけでご利益っていう運とか縁とかを導いてくれるやつ。心の気休めだよ」

「ふうん、なるほどね」


「良かったじゃん、記念に貰えるものは貰っておきなよ。」

「……曰く付きの物体。」

細かく編み込まれたそれは叩いても引っ張っても何かが起こりそうもない小さな物だった。

服の中に納めたこれを私が有効活用できる日は来るのだろうか。

これ以上出番が無いような気もしている。


「じゃあこの後私たちは外に出て、キミに向けてさっきみたいにビデオ通話を繋げるから。キミはそこにいて私たちと一緒に景色を見てその情報を解説してくれるとありがたいなぁって。」


「任せろ」

言ってくれるじゃん。助かる~

本当、出会えて良かったよ。


「あえ!?感触がある!」

「そ、そこに驚くんだ……へぇ。」

どうやら彼はその言葉を端末の画面に向けて発したらしい。そりゃ表示によって感触は変わるだろうよ。つるつるのただの板な画面じゃわかりにくいし滑っちゃって困るよ。


「あれすればもっと驚くんじゃない?」

「……端末を囲うように縁〔ふち〕をぐるりと指でなぞってみてよ。」

「こう?」


「消えた?!」

画面の情報だけになり、端末は消えた。

……ように見える。

だけれど、そこにはっきりと存在している。

そんな当たり前のことが灰色くんには飛びっきりのショーのように見えるのだろうか、そうか。なんだか羨ましい。


「未来じゃん!」


「……地球外の科学の力。」

透明になって本体が消えたように見える“バイオミメティクス?”ってやつだ。

動物とかの生態を模倣して科学技術に転用してる。とかだったはず。よう知らんけど。

というかこの星にも恐らくいるはずだって。周りの景色に溶け込む動物が。


「で、私たちと通話をするのはここを押して──」


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