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見えていないはず…

郵便受けがついていて、目隠しになっているから見えてはいないのだと思う。ただ、声がさっきより反射を繰り返してるって事は美沙がそこから叫んでるんだ。


「見えるの?」


「無理だと思う」


「拓夢、大丈夫だよ」


ガチガチ音がしてるのを、俺は凛だと思っていた。


「怖いの?震えてるよ」


凛は、そう言って俺を後ろから抱き締めてくれる。真夏なのに、俺の体はガタガタ震え始める。


「凛、さっきの話」


「元カノの話?」


「そう」


そう言って、俺は凛に向き合った。


「智から聞いたんだ。松永先輩が、精神的に追い詰められた話」


「追い詰められたって?」


「婚約者がいた松永先輩は、たまたま飲み会で美沙に優しくした。それから、悩み相談を受けるようになって…。美沙と会うようになった。あっ、美沙ってのが元カノの名前で」


「うん」


「それで、ある夜。泥酔いして、目が覚めたら裸で美沙とベッドに寝ていた」


「うん」


「それから、美沙によるストーカーみたいな行為が始まったらしい。婚約者にも会いに行かれて、破談になって」


「もしかして、これ?」


凛の言葉に俺は、ゆっくり頷いた。


「休みの日は、毎日これが始まったらしい。それに耐えきれなくなって松永先輩は、自殺未遂をしたらしいんだ。それで、会社に荷物を取りに久しぶりにやってきた松永先輩と話して…。智が連絡くれたんだ」


【松永先輩が、美沙ちゃんはモンスターだって言ってたから…】


凛に話したら、智の言葉が頭の中に響き渡る。さっきまで、受け入れてなかった言葉を身体中が受け入れようとし始めて…。ボロボロと蛇口が壊れたみたいに涙が流れ出して、ガタガタと壊れた洗濯機みたいに体が震えだした。


「大丈夫だよ!拓夢、大丈夫」


そう言って、凛がギュッーって俺を抱き締めてくれる。


「お…れ…」


「うん」


胸が詰まって、喉が詰まって、うまく言葉が話せない。


「み…さ…を……」


「うん」


「あ……い……し…て」


「受け入れたくないね」


凛の言葉に、心が頭が、弾けたみたいにぶっ壊れた。


「あーー、ああーー」


「愛してた人が、そんな人だって知りたくなかったね!拓夢」


「ああー、ああー」


もう、【あ】しか出てこなかった。俺が、愛していた美沙がボロボロと崩れ落ちていく。そして、ゆっくりと得たいのしれない化け物に変わっていく。臼ボケた化け物の顔の美沙にゆっくりとピンとがあっていくのを感じる。胸が壊れる程に、音を鳴らして…。潰れる程に、締め付けられる。


「助けて………」


かろうじで出せた俺の声を凛は受け入れてくれるようにさらに強く抱き締めてくれる。



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