凛に会いたい…
俺は、凛に渡した方じゃないバスタオルを置いた。どうか、美沙に凛がバレませんように…。祈りに似た気持ちでいっぱいだった。ダイニングの椅子に座りながら、凛からメッセージが来ないか何度も何度も確認した。
「たっちゃん、あがったよ」
「俺も、シャワー入ってくるわ」
「いいよ!別に」
「いや、やっぱりさ」
俺は、美沙を見ないようにしてシャワーに入った。マジで、どうしよう。何も悪い事はしてない。だけど、凛は…。そう考えたら、明日会えるのかな…。よりによって、何で、今、美沙が現れるんだよ。頭をぐしゃぐしゃ掻いた。どうすればいい?どうする…。凛に会いたい気持ちが沸き上がっては、消えていく。何で、美沙が現れた。美沙が妊娠してたのって、何でだ…。ちゃんと避妊してた!生でなんか一度もやってない。破れてたって事か?
俺は、バンドのリーダーだから…。絶対にみんなとの約束を破ってない。だから、避妊は絶対にしてた。どうなってんだろうか…。破れてたんだよな!欠陥品だったか!何で破れた?いつ、そうなった…。
妊娠を切望してる凛に、彼女を妊娠させてたなんて言えない。そんな事言えない。シャワーからあがった。明日、凛にどんな顔をして会えばいいのだろうか?体や頭を拭いて、パンツだけははいて行った。キッチンに来ると、美沙はダイニングテーブルの椅子に座っていた。
「水飲む?」
「飲む」
俺は、コップに水を二ついれて机の上に置いた。
「ありがとう」
「うん」
水を飲み干して、俺は美沙に聞く。
「あのさ」
「何?」
「赤ちゃんの写真あるの?」
「エコーって事?」
「うん、それ」
「閉まってるから、探してくる」
「疑ってるとかじゃないんだ」
疑ってるんだ。凄く…。
「わかってる。たっちゃん」
頑張れ、俺。
俺は、そう言って心の中で何度も何度も、自分を鼓舞していた。
「行こうか、美沙」
「うん」
新しく買ったベッドは、凛としかしてなかった。それを、上書きされる。
「たっちゃん、愛してる」
「うん」
「美沙の事、まだ好き?」
「うん」
俺は、嘘つきだ。美沙をとことんせめてからにしよう。そのうちに、どうにかなってるよな…。じゃなきゃ、困るんだよ。俺は、ゆっくり美沙の唇にキスをする。
「たっちゃんと美沙ずっと一緒にいたい」
「うん」
首筋にゆっくりと舌を這わせたり唇をなぞるように動かしていく。
「たっちゃん」
兎に角、焦らして焦らしてゆっくりゆっくり…。
【拓夢……】頭の中に凛の声が響いていく。俺は、その声に集中しながらゆっくりと下がってく…




