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出会い

「悪いけど、結婚するから辞めるわ」


「バンドしながらだって出来んだろ?」


「拓夢、ガキ育てなきゃなんねーんだよ!片手間でなんか無理だよ!夢なんか追っかけれんのは、守るもんもたねーからだよ」


「だけど、智天使(ケルビム)を送り出した事務所が、もっかい会って演奏聞きたいって言ってるんだよ!メジャーかもしれないだろ?智」


「今の仕事捨てて、デビュー出来たって!安定した収入得るまでに、どんだけかかると思ってんだよ!俺には、拓夢と違って家族がいるんだよ!わかれよ」


智は、そう言って喫茶店を出て行った。


そこまでやってきていた、希望は絶望に変わった。


【最悪だ】


立ち上がって、喫茶店を出た。今日の夜の九時までに返事を下さいと言われていた。断わろう。


何度もオーディションを受けて最終で落とされてばかりの日々だった。切望して切望してやっと巡ってきたラストチャンスだった。


やっと出演できる事になったライブハウスには、智天使(ケルビム)の関係者が時々見に来ると聞いていた。俺達が出演した日、智天使(ケルビム)の後輩に当たるmilkと言うガールズバンドがシークレットで出演した。だから、関係者がやってきてたのだ。ライブが終わって、声をかけられた。もう一度演奏を聞かせて欲しい。メンバー全員喜んだけれど、智は浮かない顔をしていた。中学からバンドをくんでいたから、このメンバーじゃないとやりたくなかった。


何でだよ!最悪だ!


ドンッ……。


『いったー!!』


ほぼ同時に声を出していた。やり取りが続いて、彼女はいなくなった。何だこれ?足元に小さな子供みたいな人形が落ちていた。


「あっ!」


まだ近くにいるのに、声をかけれそうな雰囲気じゃなくて…。俺は、後ろからついていく。駅まで、きちゃったじゃねーか!


まあ、しゃあないか。


改札を抜けてく、ホームのベンチに座って、やっと声をかけれた。


泣いてるの、何でだろう?


よっぽど、辛い事があったんだと思った。連絡先交換して別れた。


何で泣いてたのかな?


頭の中を皆月さんが浮かんでいた。指輪してた!って事は、彼氏か結婚してるんだよな!別れ話されたとか?人目を気にせずに泣く理由って何だろうか?

わからなくて、頭を掻いた。今は、人の事より自分の事だ!俺は、グループ通話を使って残りの三人に掛けることにした。


智が辞めることと、バンドを解散する事をきちんと説明しなきゃいけないと思った。電話を鳴らすと、暫くして三人全員が出てくれた。

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