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よかったの?

暫くして、拓夢は私から離れた。


「よかったの?」


ベッドに横になった私に、拓夢が聞いてきた。


「死ぬかもね」


「えっ?」


「不倫何かしたら寿命短いかなって思ってね」


「聞いた事ないよ」


「それでも、抱いて」


「凛」


「拓夢が嫌じゃないなら」


拓夢は、避妊具を縛ってゴミ箱に捨てた。私の隣に向い合わせで寝転がった。


「死ぬなら一緒に逝ってあげるから」


頬を優しく撫でられる。


「拓夢」


「凛とセックスしたら、全部忘れられた。頭の中、真っ白で…。飢えた獣みたいだった。快楽と背徳感と罪悪感が合わさって、すればする程ゾクゾクした。俺も凛が嫌じゃないなら、またやりたい」


「嫌じゃないよ」


「俺と付き合って、凛」


「結婚してるよ」


「関係ない」


「堂々と歩けないよ」


「歩ける場所に行けばいい」


「拓夢」


「俺が、嫌い?」


「ううん」


「じゃあ、決まりでしょ?」


「うん」


拓夢の人生を駄目にするだけの行為だとしても、私はまた拓夢に抱かれたかった。何もかも忘れたかった。拓夢は、私を引き寄せて抱き締める。


「ありがとう、凛」


「ううん」


私と拓夢は、キスをした。

舌を絡ませて、背中を撫でられる。


「んんっ、ハァーハァー」


弱い背中を撫でられてるから、声がもれる。

拓夢の背中に手を回して抱きついた。どんな顔をして夫に会えばいいのだろうか…。喧嘩をして不倫をして、私はもう彼を真っ直ぐ見つめられないと思う。それでも、やらなきゃ…。


「凛、大丈夫?」


「うん」


「後悔してる?」


「してない」


「嘘つかなくていいよ」


「嘘じゃないよ」


抱かれた事に後悔は何一つなかった。ただ、夫にどんな顔をして会えばいいのかが思いつかないだけだった。夫は、きちんと定時には帰宅してくる。浮気なんかしてないのは、私が一番知ってる。私は、そんな人を裏切ったのだ。


「泣かないで、凛」


「えっ、本当だ」


拓夢の言葉に泣いてるのに気づいた。


「ごめんね、俺が誘ったから」


「違う、違うの。そうじゃない」


「旦那さんに悪いと思ったんだよね?」


「そうだけど…。でも、気持ちよかったよ!凄く。何もかも忘れられた。妊娠しなくても、この体が役に立つって思えた」


「そんなに自分を責めないでよ」


「拓夢、私ね、赤ちゃんが欲しくて欲しくて堪らないんだよ。友達はみんな結婚したら妊娠して当たり前のように子供がいるの。私には、手に入らないの。だから、こんなポンコツで役に立たない体はいらないってずっとずっと思ってた。だけど、今日拓夢に抱かれて役に立てたと思ったんだよ」


拓夢は、私を強く抱き締めてくれる。


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