表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/644

家、来る?【修正済】

「ここじゃ嫌?」


拓夢君の言葉に私は頷く。


「じゃあ、俺ん()来る?」


昔ならきっと断わっていた。でも、今の私は頷いていた。


「じゃあ、行こうか」


私達は、カラオケを出た。


一緒に並んで歩いて、電車に乗って拓夢君の住むマンションにやってきた。


「どうぞ」


「お邪魔します」


拓夢君の家は、広めのワンルーム。


「シャワー浴びる?」


「うん」


「一緒に……?」


「恥ずかしいから無理」


今さらながら、恥ずかしく思っていた。これから、自分が何をしようとしにここに来たのかわかっているくせに……。拓夢君は、玄関で私を引き寄せて抱き締めてくる。


「可愛いいね、凛さん」


「何言ってんの……」


「シャワー、そこだから!ユニットバスじゃないから」


「うん」


「バスタオルは、後で置いとくから」


「うん」


拓夢君は離れてくれた。

私は、言われた通りにシャワーを浴びに行く。洗面所で服を脱いで、畳む。


【セックスするんだ。】お風呂場に入って、シャワーを捻る。

【昨日会った人間とセックスしちゃうんだ……。尻軽だな私】そう思ったら何故か笑えてくる。私は、鏡に映る自分を見つめた。三年前から、自宅で鍛え始めたとはいえまだまだおばさん体型。

よく、こんな体で若い男に抱かれようと思っているものだ。でも、今は何も考えられないぐらい抱かれたい。

知らない人に、このポンコツの体をあげたかった。こんな体でも役に立つって思ってもらいたかった。


ボディソープを手に乗っけて、体を丁寧に洗う。今は、ただ肉体を貪り食うだけの空しい関係を味わいたかった。

頭の中にセックスしかないだけの感覚を味わいたいだけ……。

わかる?わからないよね……。誰にも……。【赤ちゃん、赤ちゃん、赤ちゃん……】そんなセックスをやめる為に今から抱かれるんだよ、私。


ガタン………。

シャワーから上がるとバスタオルが置かれていた。私は、丁寧に体を拭いてから、バスタオルを体に巻き付けて上がった。


「お水どうぞ」


「ありがとう」


「俺も入ってくるね」


「うん」


私は、テーブルに置かれたお水を飲んだ。遮光カーテンのお陰で、電気をつけないと昼間でも暗いらしい。

何もない部屋。音楽の物が置かれてる部屋。ゴクゴクと水を飲む。暫くして、バスタオルを巻いた拓夢君がやってきた。うっすらと腹筋があるのがわかる。細マッチョだった。拓夢君は、お水を飲んでいる。


「電気消そうか?」


「うん」


拓夢君は、パチンと電気を消す。


「こっち」


手をひかれて、私はベッドにやってきた。


「真っ暗がいい?」


「うん」


「誰とでもするの」


「初めてだよ」


「結婚して、どれくらい?」


「13年」


「何で、しようとしてるの?」


「赤ちゃんの事を考えたくないから」


拓夢君は、サイドテーブルの引き出しから避妊具を取り出している。


「前のだから使えるかな?」


「大丈夫じゃない。避妊しなくたって私は妊娠しないし」


「それは、駄目。ちゃんとするのは、当たり前だよ。病気を防いだりもするんだから」


「そうだね」


病気……。あるかも知れないよね。お互いに……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ