高崎LOVERS 12 高崎中華
高崎には美味い中華がない
とは
高崎市民の多くが口にする言葉だ
ここ10年で高崎の街中にあった町中華もほぼ絶滅してしまった
空き店舗にも新しい店が入る気配もない
さみしくなったもんだ
田中は白銀町を散歩しながらひとりごちた
それにしても
今日は中華が食いたい
しかも激烈に辛い中華だ
悩みぬいた田中は
高崎駅まで戻りバスに飛び乗った
目指すは下小鳥町
バスに揺られること20分
田中は下小鳥町交差点に降り立った
ここには高崎四川中華の名店
風都があるのだ
珍しく空きがあるテーブルに待つことなく腰を下ろした田中は
迷うことなく四川麻婆豆腐定食を注文した
あ、それと紹興酒もお願いします
紹興酒を舐めながら麻婆豆腐の到着を待つ田中
店内は麻辣のカプサイシンが漂いむせるほどだ
お待たせしました~四川麻婆豆腐です
運ばれてきたおなじみの定食には
ど真ん中にファオジャオが効きまくる麻婆豆腐が鎮座している
田中は唾をのみ込み麻婆に手を着けた
ん~辛い
痺れる辛さが口の中に広がる
辛いのに美味い
手が止まらない
口の中が辛さで耐えられなくなると
紹興酒の甘さで中和する
吹き出す汗を事前に用意してきたタオルで拭きつつ
一気に麻婆豆腐を食べつくした
ふぅ
ようやく余裕が出来た田中が周りを見渡すと
まだまだ絶品四川と格闘中の御同輩が多いことに気がつく
ちょっと残った紹興酒を杏仁豆腐にふりかけ
デザートタイムの田中
徐々に汗がひいてくる
いや~
高崎中華も悪くないじゃないか
一様に高崎に美味い中華が無いなどと嘆く人々に
この名店の味を教えたいような
教えたくないような
複雑な気持ちになる田中であった
秋風も気持ちいい季節になった
北高崎駅まで歩いて帰ろうか