透明な炎
掲載日:2020/06/27
森が燃えた。
みんながあげた助けを求める声は、儚くも燃え盛る炎の音にかき消された。
唯一幸運だったのは、翌日に大雨が降ったことだ。
昼にはほとんど消火され、焦げた木片と煙だけが残る。
生き残りは僅か5人。全員家族を失った。
この時代、森の中に木造の集落を作ったことがいけなかったのか、燃え尽きた後で、後悔は立ち昇る。
「おおい、誰か!」
奥の方から若い男の声がする。
これで6人。
もとは50人はいた。
これで1割じゃ無くなったね、と冗談を交える者もいた。
これから、6人でどうすればいいのか。自給自足のこの集落にとって、男手が3人。非常に苦しい。
ましてや今年の分の貯蔵は全部灰になった。
俺たちは、多分ここで終わる。
どうせなら、みんなと一緒に、灰になってしまえばよかった。
「今日のニュースです。先日、〇〇山が規模の大きい山火事になりました。現在は雨天の影響で消化されましたが、近隣住民のみなさんはご注意ください。」
外はまだ雨が降っている。私はカーテンを閉じた。
「はぁ、あの山の近くに住む奴らなんていないだろうに。」
テレビは弱いノイズを発しながらも映像を映し出した。
「——なお、この火事での死傷者は0です」




