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巌流の戦場  作者: たくみん
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第1話 能力者

初めての小説になります。精一杯頑張るので、応援よろしくお願いします!

「痛ったぁ.........」

頭に衝撃が走る。どうやらベットから左の壁に"落ちた"らしい。

「流木! 早く起きなさい!」

痛みが残る頭に大きな声が響く。

「はぁーい………」

なかなかに嫌な目覚め方だな、と思いながら、階段を下っていく。


西暦2006年、平和な日本の裏側で、「宮本派」と「佐々木派」という2つの勢力の対立が始まった。最初はちょっとしたつつき合いだったが、次第にエスカレートしていき、10年後には、銃や戦車なんかが生ぬるく感じてしまうほどの「能力者」というものが「開発」された。その能力者の戦い方は今までの戦いよりも異質で、ただの人間では能力者には適わず、能力者でしか対処が難しかった。なので両家は、能力者の大量生産を始め、それ以降も戦いが激しくなっていった。


そして2051年。

「うーわ、寝癖すげぇ。直しとこ」

俺の名前は須藤流木(すどう るき)。15歳。宮本派の能力者生産で生まれた両親のあいだに生まれた、いわゆる「第2世代」だ。

第2世代は両親のような「第1世代」よりも能力が強力であるとして、10歳から戦前へ駆り出されている。が、俺の能力が特殊だったため、少し訓練を受け、13歳からの戦前入りとなった。


「まったく、いつまで寝坊助でいるつもりなの流木は!」

高速で朝食を口の中へ入れながら母は言う。

「母さん、朝っぱらから大きな声を出さないでくれ。あと、あの起こし方やめてくれ。頭がどうにかなりそうだ」

「自分から起きてこればいいだけでしょ」

呆れ顔の母。なるほど、だが無理だ。なんて言うと天井に"落と"されそうなので黙っておく。


須藤間智(すどう まち)。年齢は……黙っておこう。俺の母親で、「かかっている重力を四方八方色んな方向に変えられる」という能力で、自分はもちろん、他人や物の重力の方向も帰ることが可能、と一聞強そうだが、その人や物の名前を知っている必要があったり、半径10メートルにその人や物がないと発動しない。しかも、能力には母のように名前を知ることで発動する系の能力が多いので、対策としてコードネーム呼びが普通となってしまったため、あまり人には使えなくなってしまった。……俺には効果抜群だが。

ちなみに母親は「グラビティ」というなんの捻りもないコードネームだ。


「私は最近帰れないこと多いし、パパも役立たずだから、流木がしっかりしてくれないと」

「へいへいわっかりましたよ」

「.......何その頼りない返事は」

俺を睨む母。Heyガール、そんな睨むとプリティな顔が台無しだよ?なんて言ったら天井に(ry。

「そう言えば流木、あんた尾山君と遊びに行く約束してなかった?」

「げぇ! 忘れてた!」

「何してるのよ……。待たせちゃ悪いから早く行きなさい」

俺はパンを加えたまま急いで出かける準備をする。もう! 朝から騒々しいやつだな俺は!

「行ってきまーす!」

「気をつけて行っ……」

母の声をドアの閉まる音がかき消す。


今日は月に2日しかない自由日だ。ということで、尾山とここ京都から大阪に出かけることになっていた。特に用事はないが、尾山は大阪に行ったことがないらしいので、色々回りたいとのこと。自分のせいで時間を減らすわけには行かないので俺は尾山の家まで全速力で走る。

「ぜぇ、ぜぇ。な、なんとか約束の時間に着いた」

尾山の家のチャイムを鳴らす。と同時に勢いよく家から尾山が飛び出してくる。

「遅いぞ流木! 何時だと思っている!」

「ぜぇ、ぜぇ。しゅ、集合は8時だろ!」

「1分遅刻だ! 早く駅へ、急ぐぞ!」

「えぇー? 今走ってきて疲れてんのにぃ」

「あの4年間の地獄の訓練を忘れたのか! あんなのに比べたらマシだ! 行くぞ!」


尾山明良(おやま あきら)。コードネームは「ベター」。俺と同じ15歳で、第二世代。能力者は、6歳から10歳まで能力者育成訓練、通称能育に参加しなければならないのだが、その時に知り合い、今では親友になっている。「紙に描いたモンスターを召喚し、使役する」という能力であるが、彼自身絵が下手であり、彼自身も絵を描くのが嫌いなようで、なんでも「俺が描くとブサイクなやつしか生まれない」との事。ちなみにコードネームの「ベター」は、能育の時の教官に、絵が下手と言うことで付けられた。彼はかなり気に入ったらしいが。


「なんっとか電車に乗れたな」

俺は電車の座席にもたれ掛かる。

「いや、お前が遅れなかったらその前の電車に乗れてたんだぞ。」

「1分遅れただけだぞ。1分遅れただけで電車逃すようなそんなギッチギチの予定作ってたのかよ」

「当たり前だろ、初めての大阪なんだ。目いっぱい楽しまないとな。」

「そんなら2日連続休み取ればよかったのに」

「仕方ねーだろ、風邪ひいちまって1日休み使っちまったんだから」

「風邪ひくなんて弱っちい体だな。さっき地獄の訓練がうんたらって言ってたじゃねーか」

「前の日は北海道へ行ってたんだ、ひいちまうもんは仕方ねーだろーが!」

「そのままお前に返す。寝坊しちまうもんは仕方ねーだろーが!」

「いやそれはお前が悪いだろ」

なんてくだらない話をしていると、あっという間に大阪に着いたようだ。


「さて、どこ行く? やっぱり道頓堀? あ、あれ見に行こうぜ! ゴールの人!」

「おいおいお前は来たことあるんだろ。てかゴールの人ってなんだゴールの人って。グリコの人だろ」

「俺は任務で来たことあるだけ。観光なんか一切してないし。てかお前もあれの正式名称知らないのな。」

「知らねえよ。……あ、そだ。御影呼ぼうぜ。あいつたしか大阪住みだったよな」

尾山は俺たちと同じ能力者の名前を口にする。

「あいつ呼ぶのか? 素直にくると思えないけどな」

「まーかせとけって、俺とあいつの仲の良さを見せてやる」

と、意気込む尾山。あれ、そんなに仲良かったっけ。

「もしもし御影? 今さー大阪いるんだけど一緒に遊ば……」

ブツッ、プーップーップーッ。尾山が沈黙する。俺は尾山を見つめる。

「も、もしかしたら押し間違えただけかも知んないだろ。そ、そんな目で俺を見るなよ!も、もう一度……」

プルルルルルル、プルルルルル、ブツッ、プーップーップーッ

沈黙。

「あれ、お、おっかしーなぁ、な、なんで繋がらないんだろぉ、で、でんぱがわるいのかなー?」

汗を吹き出し始める尾山。いや、切られてるぞ。

「尾山、もういいだろ。御影はあんま活発な奴じゃないんだから。」

「ええい! ならこっちから乗り込むぞ!」

あ、御影の気持ちは尊重しないのね。

「おい、ていうか住所知ってんのか」

「知らねえけど、メンバーリスト見たら1発だろ。えーとみ、み、御影……っと、これか。よしいくぞ!」

おい宮本派。情報管理しっかりしろや。悪用されてるだろ。現在進行形で。


「えー……っと、ここが御影んちか」

尾山がメンバーリストを確認しながらつぶやく。

「てか電話切られたんだろ。家に入れてくれるとは思えないけどな」

「き、切られたんじゃねぇし。電波が悪かっただけだしな!」

「あっそ」

「う……、クソっ今度こそ友情パワーを見せてやる!」

「ハイハイ友情パワー(笑)ね」

ピンポーン!大きな音が鳴る。が、御影は出てくる様子がない。

「……出てこないな」

扉を引く。鍵はかかってないらしい。

「おいっ、御影! 家入るぞ! いいな!」

「普通に不法侵入じゃね?」

「大丈夫だって。俺達、友達だもんね!」

ここまで不安な大丈夫は聞いたことがないが。主にさっきの御影の対応のせいで。

御影の部屋らしき所の扉の前につく。

「ここじゃねえか?」

「ほんとに入るのか? 嫌がってんならやめといた方がいいと思うg……」

「御影ぇー! 会いに来てやったぜぇー!」

「ひっ!」

御影が世界で1番怖いものを見たような顔をする。

「なー大阪観光するんだけどよー。一緒に行かねえか?」

「えっ?いや、あの、えっと……」

御影は必死にNOの言葉を探す。

「あ、OK? よし。早速出発だ!」

「えっ、いや、なんも言ってない……」

ああ、御影よ、可哀想に。こんな男と接点を持ってしまったせいで。俺は南無阿弥陀仏を心の中で唱えた。

尾山は強引に御影を引っ張っていこうとする。

「えぇー? や、やだぁー!」

抵抗虚しく、御影は尾山に引っ張られていった。


御影剣斗(みかげ けんと)。14歳と俺らよりも一つ年下で、女のような顔をしている。肌が弱く、あまり太陽の光を浴びすぎるとダメなので、任務の時以外は部屋にこもっていて、任務の時は忍者のような格好で全身を隠している。「闇の中を自由自在に動ける」能力で、夜の方が力を発揮できるらしい。一応影の中を動けることができるらしいが、彼曰く「なんか気が引ける」らしい。コードネームは「影ニ住ム者」。……厨二くせえ名前だな!お前。


「うわぁ、人がいっぱいいるぅ……。太陽が眩しいぃ……」

御影は日傘をさしながら露骨に嫌な顔をする。

「それで、どこに行く?」

俺が尾山に尋ねる。

「うーん、どーしよっか?」

と考えていると、俺のケータイが鳴った。

「おいおい誰からの電話だ? まさか任務とかじゃないよな?」

「お前それフラグ……。はい、こちらG-3」

G-3とは俺のコードネームだ。

「本部だ。緊急事態だ、お前、今どこにいる?」

「えっと、大阪に尾山と一緒に来てます」

「ちょうどよかった。今から言うところに向かってくれ」

はいフラグ回収。後で尾山殴る。


「ここだな」

本部から送られてきた位置情報を元にとあるビルへたどり着く。

「せっかくの休みなのに……。なんでこうなるかなぁ!? 他のやつは何してるんだ!」

「他のやつも大変なんだとよ。ま、これ終わったら休み取られたお詫びに本部から大金ふんだくってやろうぜ」

「それもそうだな!」

ぐへへへへと不敵な笑みを浮かべる。

「ふ、2人とも悪い顔してます……」

御影が不安そうな顔をすると、ドカーンとビル内からの爆発音。

「っと、こうしちゃいられねえ。2人ともわかってるな?」

「あぁ」

「さ、佐々木派の無力化、ですよね?」

「よし、作戦開始!」

3人はビルへと突撃した。




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