出会いの季節①
君と僕の出会いはよく晴れた春の日。
僕の大学は、ゴリゴリの理系大学。それどころか、僕の通うキャンパスには、工学部しかない。
お察しの通り。女子の割合は、かなり低い。
だがそうは言っても、それなりに努力して入った大学。薔薇色とまでは行かなくても、うっすら赤みがかったぐらいの大学生活を期待していた…
ところが、そんな淡い期待も虚しい限りだ。入学後半年も経つ頃には、少ない女子陣と関わりのあるイケイケグループは、一握りのイケメンとコミュ力オバケの集まり。
無論、基本自分から行動しない僕はその輪の外。色恋沙汰とは縁もゆかりもなく、女子の話で盛り上がるとすれば、男子校上がりの奴の軽快な下ネタトークぐらいのもので、言わずもがな野郎どもに囲まれた暮らしをしていた。(それはそれで楽で、居心地は悪くないのだが…)
その上、僕の所属しているのは、ロケットを設計製作して打ち上げる!!という、ザ・ものづくりサークル。1つ上の代は男女比が良かったので、さすが工学部だなぁと感心と期待をしたものの、僕の代は女子1人だった。
初めての土地、初めての一人暮らしで、忙しいし…人生で一度も女性経験のないやつが周囲にウヨウヨいるし…
一応Aまでは済ましていた僕には、謎の落ち着きがあった。
とまぁ、そんな感じで大学1年生当時の僕は、恋愛という大学生の醍醐味を1つ、放棄していたのであった。
つづく…