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朝青龍にごはんとライスをトッピングしてみた

作者: 灯宮義流

 弁当屋でごはんとライスを買った俺は、帰りに偶然モンゴルへ帰ろうとしていた朝青龍と出会った。

 感動だ。俺は朝青龍のちょっとツンとした口元が大好きだったからだ。

 嬉しさのあまり、俺は手元にあったごはんとライスを朝青龍にトッピングしてみたくなった。

 別に食べるつもりはない。俺はナマモノ食べられんし。

 俺はこっそり近づいて、彼の背後からごはんとライスをトッピングした。

 おお、美しい、やはり力士に白米は合いますね。

「なんだコノ野郎」

 朝青龍がこっちを睨んでいる。おお、そうだよその口。素敵ですよぉ朝青龍ぅ!

「殺すぞこの野郎!」

 俺は朝青龍に叩かれた。

 彼のあまりにも力が強すぎて、鼻の骨がグキッと折れた。

 そりゃもう、痛い。

 流石に驚いた朝青龍は、顔を真っ青にしてムンクみたいな顔をした。

 でも吹っ切れたのか、さらに朝青龍は俺のことを叩いてきた。ウヒャヒャと笑いながらどんどん叩いてくる。

 パーン。パーン。ペシーン。

 ごはん粒と俺の耳が舞う。耳は叩かれたショックで飛んだものだ。

 これは、痛い。痛くてたまらない。意識が飛びそうだ。

 パーン。パーン。ブスッ。

 朝青龍の猛攻は止まらない。最後のブスッは目潰しの音だ。左目がもぎ取られ、地面にポトッと落ちた。

 すげえ痛い。もういっそ俺を殺してくれ。

 パーン。パーン。パーン。パーン。パーン。パーン。

 顔が原型を留めなくなった頃、俺は後ろから誰かに突き飛ばされた。マスコミの人だった。

「八百長ですか? 八百長ですか?」

 目をキラキラさせながら、マスコミのお姉さんは朝青龍にマイクを向けている。

 それを皮切りに、さらに後ろから東京ドームを埋め尽くすほどのマスコミが現れて、朝青龍にマイクを向けた。

 俺は、数え切れないほどの人に踏み潰された。報道の車にも轢かれた。

 左手が吹き飛び、内臓が破裂したのを感じ、俺は「痛い」と抗議の声をあげた。でもまた轢かれた。

「八百長ですか? 八百長ですか?」

『八百長ですか? 八百長ですか?』

 マスコミの人が斉唱するように質問した。

「このごはんが報酬ですか?」

「このライスが報酬ですか?」

 あまりの質問攻めに、朝青龍は嫌になって走り出した。

 そして幼稚園バスをジャックすると、そのままどこかへ言ってしまった。

 たぶんそれでモンゴルに帰ったんだろう。

 ところで、俺の命はもう長くない。どうせなら最後に何か食べて死にたい。

 そうだ、さっき飛び散ったごはんとライスがある。せめてそれを食べて死のう。

 ……ごはんとライス、どっちを食べて死のうか。

 こんな時に優柔不断な人間性が出たことを、俺は後悔しながら死んでいった。


 朝起きると、俺は機械仕掛けの朝青龍になっていた。

 手術台の周りには、相撲協会の人達がニコニコと笑っていた。

「今日から君は朝青龍だ」

「コロスゾコノヤロウ」

 俺は言葉を返した。相撲協会から拍手が漏れる。

「みなさん。このサイボーグメカ朝青龍で、日本の相撲界を立て直しましょう!」

 おー! という掛け声が、手術室に響き渡った。

 俺はそれから、八百長試合で勝ちまくって冬場所を優勝で締めくくった。

 こんなメカメカしい身体でも、誰も俺がニセモノだと気づかない。まったくちょろいもんだ。

 さて、そろそろエネルギー補給の時間だ。

 俺のエネルギーは、ごはんと、ライスと、そして大麻だ。


次は福田元首相をカレーにトッピングしたい、何はともあれごはんライス先生おめでとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 私はごはん閣下の小説のファンでしたのでかなりコメディチックな作風が非常にウケました^^
[一言] なんかめちゃくちゃで楽しいね。なんかわしも朝青龍書きたくなってきた。いい意味でも悪い意味でも朝青龍て存在感があるなぁ。ハクホーとかね、真面目なとこが日本人好みではあるけど何か影が薄いねんなぁ…
2008/10/23 13:54 ごはんライス
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