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プロローグ:滑舌の悪いこの俺が異世界で魔法を唱えた結果
その時、身を震わす程の爆音がのどかな風景に轟いた。
それは雷や地震などの自然現象ではない。
あくまでも個人から放たれた超常現象。
しかしながら、その効果は当人たちの想定を遥かに凌駕したモノになっていた。
「ど……」
傍らの少女の肩が震える。
それはこの超常現象に対する恐怖からでも「結果」に対する怒りからでもない。
恐らくは困惑。
絶対に起こり得ないことが起きてしまった際に人がみせる、途方もなくどうしようもない混迷を極めた表情だった。
「どうして……」
この事態をしでかした犯人は俺である。
せっかく異世界にきたのだから魔法を使ってみたいという俺の好奇心がことの発端だ。
四大属性が一つ、風の魔法。
当然基本中の基本、素質があれば簡単に使えるらしい低位魔法を俺は行使した筈なのだが……。
「……どうしてこんなことになったのですかぁぁ!!!」
そんな少女の叫び声が開けた空にどこまでも高く響き渡っていったのだった。
滑舌の悪いこの俺が異世界で魔法を唱えた結果。
低位魔法で家が半壊しました。