やさしい嘘
孫を引き入れてから、たくさんの時間が経った。
蒼のスライムが魔王に、ほっぺたに付いているケーキのカスをとってもらう時に、指ごと体の中に入れたり、煌めきのスライムが眩しすぎて、真っ暗の中でケーキのろうそくをふーーと消せなかったり、色々あった。
[さぁさぁ、魔王様早くあそこにいきましょ?わたし滾ってきちゃった……あはっ]
時計を見る、たしかにいい時間だ。
魔王は、赤ワインと生ハムをさらえて、みんなに話しかける。
[よし!みんな食べたな!わしが作った計画表に従って次は家畜場に行こうではないか]
[ま、まって!おじじ!私まだおじじが食べてるやつ食べてないぞ!]
魔王は困って、四天王達を見る。
みんな首を横に降っている。
[あぁ、これは、人間の生き血と人間のお肉さ……]
[私もそれ食べたいぞ!]
[ダメだ、これは大人じゃないと魔力が暴走してしまうんだ。]
[そうなのか……]
[ただ、こっちのお肉ならOKだ!たんとお食べ]
[わーい!おじいちゃん大好き〜]
指を鳴らし、赤スライムが山盛りの生ハムを持ってくる。
[さぁ、たんとお食べなさい。ただし、今日だけの特別だ]
むしゃむしゃと凄まじい、勢いで食べていく。
[やば、美味しいぞ!いい塩加減してて人間のお肉美味しい!]
[そうだろう、そうだろう、魔王になれば、毎日食べれるから励みなさい。]
[うん!絶対おじじを超える魔王になるんだ!]
和やかなムードで、誕生日の食事が終わる。
[魔王様、家畜場までの移動の準備が出来ました。みんなで抱きついて、瞬間移動魔法使っ他方が……]
[ふふふ、魔王様は、行くまでの景色などを見せたいんじゃないですか?私も昔はよく魔王様と一緒に観光したり旅館行ったりしたものですわ!]
[付き合いが長いあなたが言うんだから、そうなんでしょうね。和平のために来た豚が……]
サキュバスと姫はどうやら、仲が悪いようだ。
[魔王様……用意できた……]
[あぁ、ありがとう。蒼のスライムは天使だな〜]
蒼のスライムを車椅子の上に乗せ抱きつきながら、車に向かう。
[ねえねえ!おじじ!どこ行くの?]
[ふふふ、内緒じゃい。]
一行はバスに乗り込む。