1人でも頑張れるもん!
これを拾ったものへ、この話を読み、興味が出たなら、最後の呪文を唱えてくれ。
これは、ある魔王の話である。
魔界の最奥に、大きく、綺麗な館があった。
その館には、世界を統べる魔王と姫様がいた。
魔王は、無限蘇生してくる勇者を結界で封印し、そのパーティーにいた、姫を妃にし、人間と和平を結んだのであった。
もともと、この姫は……とこんな昔話をしている場合ではなかった。
今、この2人は孫の……誕生日に向けて、ケーキや料理などを四天王、魔王、魔王妃、と作っているようだ。
[大丈夫かい?もうあんたは、体がやばいんだから、あたいたち、四天王に任してもいいんだぜ?]
四天王の火の役割の赤スライムがそういう。
垢スライムの見た目は赤く奥にあるものが透けるぐらい薄い赤だが、目は特別に綺麗な真紅で目の中に小さな花模様がある。我が家の座敷わらしのようなものだ。
[魔王様……]
四天王の耒水の役割を持つ水のスライム娘がそういう。雪だるまのようにふたつの蒼い色のスライムがふたつ重なったような形をしている。上のスライムの塊には深々とゴスロリのような帽子をかぶっている。
[もう!魔王と姫様!寝てないと危ないんですからね!]
ぷんぷんと効果音を出しながら、魔王達を怒るのは、四天王の煌めきの役割を持つシャイニングスライム娘だ。体は凹凸がよく出ており、服は着ていない。髪は短髪だ。 やましいことを考えて、見ると体が光その人にはずっと光って見れなくなるという噂がある。
昔、勇者に光魔法を打たれて死にかけたところを姫に助けられたようだ。
[魔王さま〜!私と一緒にお風呂入って、ベッドで寝るの!]
淫らな気を出し、魔王に近づくのは、四天王の最後の一人、サキュバスの王だ。彼女は、四天王の交渉係だ。
[はは、もうわしはそんな元気もないわ……最後が近いとしても、わしはあの子にすべてを託したいんじゃ……]
[わたくしも、あの子のために……さぁさぁ、皆さんラストスパートですわ!]
赤の四天王は、変身し、鍋を振るう。
蒼の四天王は、氷を出して、水氷をピッチャーに入れる。
煌めきの四天王は、撮影魔法のリハーサルをしているようだ。
淫らな四天王は、出し物や出かけるところの予定を確認したりしている。
[ふぅ〜もうそろそろあの子が来る頃ですわね]
わたし達は、エプロンを外し、着替える。
[わしもがんばるかのう……]
そういい、車椅子から立ち上がり、ドアの前で待つ。
[見てみて〜魔王様プルプルだぜ]
[魔王様……]
[あぁ、魔王というものがなんという姿を……]
[あらあら、あの震えならまだ夜も楽しめそうかしら?]
[サキュバスさんは後で部屋に来なさい]
(ふ、うるさいわい、こんなモブ達をほっといて、早く……は来ないかな……)
たしかに、実際モブだ。
スライムと姫なんて、大体の話では、モブ扱いだ。
姫より僧侶、魔法使いとくっつくんだよね……
など、考えているあいだに、扉がガタンと音が鳴る。
光が入り、魔王の目がやられる。
[おじじ〜]
そう言い、魔王に飛びつき、魔王の腕で一回転し、着地する。
[また、私強くなったな!おじじなんて余裕で倒せるんだからね!]
四天王達に笑われる。
まず、車椅子からたったのをみてなんかなかったのかのう……〇ららがたった!みたいな感じでやってくれてもよかったのになぁ、
[おじじ、立てるか?ほら、私の腕につかまって!]
……の柔らかくあったかい手を握り、立ち上がる。
さぁ、これから楽しいバースデーパーティだ。
読んで下さり、ありがとうございました!
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