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君とオリンピックに行きたい  作者: 友清 井吹
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機内でストレッチ

関空には一人だけで行った。


三田島医師や洋二兄、東田など、送るという申し出は多かったが、断った。

一度もしたことがない一人旅だ。空港までくらい行けないと。

関空に着いて、空港ビルがあんなに大きくて広いことには心底驚いた。本当におのぼりさんだ。


ロンドンまでのフライトは長時間だが、ゆっくり読書ができるので退屈することはなかった。

座ったままの姿勢が長いので、気が向けば足のマッサージをした。

座席はプレミアムエコノミーで、広くもないが狭くもない。


機内食は聞いていたよりもおいしくて、もう少し欲しいと思ったほどだ。

由佳から、搭乗したらすぐ時計をロンドン時間に合わせ、食べ終わったらお酒を少し飲んで、アイマスクを着けて寝ること、と細かい指示があった。


キャビンアテンダントさんはすごく親切で、優しく丁寧に答えてくれた。

「眠るためにお酒を少し欲しいのですが、何を頼めばいいか分からないんです」

「普段あまり飲まれていないんですね。ワインやビール、カクテルなどがご用意できます」


結局赤ワインを一杯頼んだ。そのおかげか食後すぐ寝入ってしまった。

5時間ほど寝て、頭はすっきりしたが、体を動かしたくてたまらなくなった。

客室乗務員さんに、軽くストレッチができる場所はないかと聞くと、前の乗務員室に案内をされた。


「機内で走ってもらっては困りますが、ストレッチくらいならされて結構、と機長も認めてくれています。私たちがお手伝いできることがあれば、喜んでお引き受けします」

まさかマッサージは頼めないな。

カーテンを閉め、狭い場所で腕立てや腹筋、スクワットを3セットやった。


カーテンを開けるとタオルを持ってきてくれた。

汗を拭きながら自販機の場所を聞くと、ミネラルウォーターを差し出してくれた。

自販機なんてないそうだ。


「失礼ですが、倉本様は当社のジェットに初めてのご搭乗ですか?」

「飛行機に乗るのは本当に初めてなんです。恥ずかしいです」

「ここだけの話ですが、私たちみんな倉本選手のファンになりました。あなたのように私たちに対して挨拶をしたりお礼をおっしゃったりする方は多くいらっしゃいません。3日後ですよね。あなたを真剣に応援している11人のクルーのことを覚えていてくださればうれしいです」


帰りの便でまた会いたいと思った。もちろんいい結果を残して。



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