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君とオリンピックに行きたい  作者: 友清 井吹
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由佳の言いなり

すぐにメールを返した。

「彼女は、高校の同級生。それだけ。店で待っている」


返事はなかった。

仕方なしに駅前のファミレスに行くと、先に東田や三上さんたちがいて一緒に座るよう誘われた。


まあいいか。

彼女が来たら席を移ればいい。


六甲大のメンバーは、どの種目でも健闘したものの1位はなかったようだ。

残念会は盛り上がった。


「倉本君が最後、バーンと優勝するか、日本新でも出すと思っていたのに」

「そんなに甘くないよ。あれでも自己新なんだから、自分で自分をほめたいくらいだ」

ビールを注がれるまま飲んだ。いい気持ちで、いくらでも飲めそうだ。


由佳に会えないまま2時間ほどしてお開き。

さすがに気になってメールを送った。

「待っていたけど会えなかった。今から君の家に行く」


すぐに返事が返って来た。

「お店に行ったけれど、ジュンは他の人と楽しそうにしていて、邪魔をしたら悪いから帰った。

今日は会いたくない」


ここで帰るわけにはいかない。

三田島医院まで歩いたが、ふらふらして千鳥足だ。

飲み過ぎて気持ちが悪くなってきた。


医院に着いたが、こんな酔っぱらった顔で入ることはできない。

酩酊状態でメールをした。


「今、家の前。謝りたいから、出てきてほしい」

返事はなかった。

俺がいるのは分かっていても、出てこないのは許さないということか。


中では、浩輔と美智子が押し問答をしていた。

「早く開けてやろう。長いこと外で待っているだろう」

「鍵はかけてないわ。絶対入れるなって由佳が念押ししたから、もし入れたら、あの子怒るわよ」


今日は彼と食事をして遅くなるからと言って、いつもより念入りにメイクをして出かけた。

ところが夕方に早々と帰って来た。


その後もう一度出かけたが、今度は怒り心頭という顔で戻って来た。

どうも由佳の逆鱗に触れるようなことがあったらしい。

妻が理由を聞いた。


「走る前、長いこと女性の手を握っていた。約束した店に行くと大勢でお酒を飲んでいた。私のことを完全に忘れている」

「彼、今、外であなたを待っているよ」

「メールで謝って来たけど、許してあげない。絶対ドアを開けないで」


結婚したらこんな事くらい、いくらでもあるのに。

とにかくもう入れてやろう。


そう思って玄関のドアを開けると、戸の下に白い紙が突っ込まれていた。

表彰状だ。今日の試合では3位だったのか。


表彰状の裏に何か書かれてある。

『p.s.タカラモノ。5.君以外の女の人にふれない』

よく分からないが、由佳にそれを見せると、機嫌よく賞状を持って部屋に戻った。


玄関の外に出ると彼はいなかった。

まだいたら車で送ってやったのに。


オリンピック選手も由佳の前では形無しだな。

由佳の言いなりでは、これから困るぞ、淳一君。




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