表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君とオリンピックに行きたい  作者: 友清 井吹
26/137

自衛隊連絡事務所

高3になった4月、驚いたことに義父の離婚話が消えた。


洋二兄によると、なみ江さんが義父の元に戻ってきて、心を入れかえるということで元のさやに納まったという。

当初は、なみ江さんにローン付きのマンションを渡し、義父は淳一の住む家に戻ることになっていたそうだ。ところがなみ江さんが借りた金は必ず返すと訴え、肝心の義父はそれをあっさり了承したということだ。


淳一には、家の光熱費と健康保険は払ってくれることになった。

食費などの生活費は、相変わらず自分で稼がなければならない。


光熱費が浮いた分、バイトを減らして勉強をするか、今までのように働いて大学にかかる費用の足しにするか悩んだ。

考えた末、当分は今のままファミレスのバイトを続けることにした。

受験勉強より、今は高校卒業をめざすのが先決だ。


この家で後何年も住み続けられるとは到底思えない。

高3の今から、施設なんかが受け入れてくれるはずはないだろうし。


学校からほど近い建物の一角に、自衛隊の地域事務所があるのは前から知っていた。

5月に思い切って訪ね、日に焼けた、がっしりした体の自衛官の人に防衛大について話を聞いた。


伊吹東高からは、初めての訪問ということで歓迎された。

まず、出願の動機を詳しく尋ねられた。

今の生活状況を話すと少し考え込んだ。


「義理の父では駄目なんですか?」

「いやそうじゃないが、一応仕事の性質上、日本国籍があり、犯罪歴のない家庭が合格要件になるよ。まあ君は賢そうだが防衛大は難しいよ。人文系と理工系どっちを受けるの?」

「一応文系でいきたいと思っています」

「人文は採用人数が理工の5分の1しかないから、かなりハードルが高いぞ。いっそ高卒から自衛官になる手もあるよ。君なら大丈夫だろう。やってみないか?」


それから熱心に高校を卒業したら、即自衛官になる道を勧め出した。

どれだけメリットがあるか、パンフレットで詳しく説明をされた。


それが嫌とは言えないし、今の偏差値や生活状況をを考えたら一番妥当かもしれない。

自衛官になってから進学する道があると聞き、心も動かされた。

しかし係の人が、あまり高卒から入ることを強く勧めるので反発心も出てきた。


「ともかく後半年、防衛大受験を頑張ってみます」

そう言って事務所を後にした。


運動ができたら、自衛隊体育学校という道もあるらしい。

県大会で優勝したくらいで行けるのだろうか。


今は将来の事より明日の飯を優先させないと。

もうすぐファミレスのバイトが始まる時間だ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ