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君とオリンピックに行きたい  作者: 友清 井吹
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麗奈の訪問

1学期の中間テストは、国立文系65人中8位だった。


ペーパーテストはそれなりにできたが、英語のリスニングが聞き取れない。

できる奴は予備校で特訓したり、英語教材を使ったりしていると聞いた。


家にラジオはあるので、英語ニュースで勉強しようと思った。

下校時、本屋に寄り、ラジオ講座のテキストを買った。


帰宅すると、玄関に男性と女子高校生が二人並んで立っていた。

一人は角谷麗奈。

もう一人は引っ越し会社の主任さん?


「やっぱり君だったのか。先週担任の先生に呼び出されて、うちの娘がネットで馬鹿なことして、倉本君という人に迷惑かけたと聞いたんだ。まさか君だったとはな。いや本当に申し訳ない」


そう言って頭を深々と下げた。

麗奈の目は横を向いている。


困ったな。

どうでもいいから早く帰ってほしい。


「もういいですよ。それに主任さんに頭なんか下げてほしくないです」

「こいつ人並み外れて自分勝手でなあ。小さいころから何回も気に入らん子をいじめてきて、その都度馬鹿なことするなと叱ってはきたんやけど」

「はあ、だからもういいですから」


野路が自転車でやってきた。

彼は、三人を眺めて言った。


「あの件か。じゃあ後は僕らで話し合います。お父さんは、もう帰られてもいいと思いますよ」

こんな状況を救ってくれたのはありがたいけど、彼女がうちに来るのか。


野路は、今まで何度も家に押しかけてきた。

初めて来た時、冷蔵庫を開け、食材以外何にもないのを見てコンビニで、ペットボトルやお菓子を買ってきた。今日も飲み物の入った袋を抱えている。


彼は麗奈に手招きをした。

ぽかんとしていた主任さんは、何回も頭を下げてから立ち去った。


家に入ると、野路が手早くコップを台所から取ってきて、炭酸飲料を景気よく注いだ。

彼女に泡の立つコップを渡して座るように促した。


「ともかく一件落着かな。のど乾いただろ。乾杯」

「おいしい」


彼女の声で、一気に緊張感が解けた。

「まあけじめというわけじゃないけど、何で角谷は倉本に馬鹿なことしたわけ?」


「倉本君のこと、去年から女子の中ではよく話に出てたんよ。他の男子とは違うって。水泳部の友達も言ってた。他の部員みたいに、やらしい眼で見いへんし、すごく純粋でまじめやから、応援したくなるんやって。それに親友の香奈から倉本君が好きやって打ち明けられて、何か取られた気もしたし」


何が言いたいのか分からない。


「弁当を突き返された香奈が可哀想だったというのもあるけど、まさかあんまり読まれてないブログに載せただけで、ここまで大きくなるなんて思わんかった」


「今回、萩田は関係ないんか?倉本のこと悪口言ってたやろ」

「弁当の次に香奈の体を要求したなんて嘘を書いたのはあいつでしょ。ハギとは部が一緒やったから、ちょっと付き合ってて、倉本に駅伝とられた言うて落ちこんどったから、励ますつもりで倉本君に意地悪してしまってん。今は愛想つかして別れた。倉本君には、ほんまに悪いと思っている。ごめんなさい」


やっぱり麗奈の言っていることがよく分からない。




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