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君とオリンピックに行きたい  作者: 友清 井吹
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ヘレンケラーの言葉

さしあたってスピーチを考えなくてはならない。


やはり英語で話す方がいいのだろうか。

自由課題の英作文だ。


まさかイギリス人に、皆さんの応援のおかげですというのはおかしい。

外国人の前で、監督やコーチに改まって礼を言うのも空々しい。


何度も読んだ『英語の名言・格言』を思い出した。

ヘレン・ケラーの言葉が頭にうかんだ。

確か明るい道を一人で歩くより、暗い道を二人で歩く方がいい・・だったか?


由佳に伝えるとすぐにネットで検索し、画面を見せてくれた。

早い!


『光の中を一人で歩むより 闇の中を友人と共に進む方がいい』

これでいこう。


大まかな二人のスピーチを考え、後はそれを肉付けして話すことにした。

彼女も紙に下書きしながら考えている。

メモをのぞくと全部英文で、それをつぶやいて練習していた。


英語をもう読んだり書いたりができている。

最近タブレットで見ていたサイトは、ほとんど英語だった。


加納さんに下書きを見せた。

「さすが六甲大だな」とほめてくれた。

鮫川さんに、会のことを問い合わせた。


「ごめんなさいね、急にお願いをして。私はBDAロンドン南支部のコーディネーターをしているの。午後4時から一時間だけ顔を見せに来てくれたら本当にうれしいわ。いつもは20人位のティーパーティで、デフの人と市民や慈善団体の交流会みたいな会なの」

「王室の方も来られるから、断るなと言われました」


「王室の方は、全体の年次総会にみえられることもあるけど、今日は聞いていないわ」

「服装は私服とユニフォームのどちらがいいのですか?」


「ほんとに小さな集まりだから、好きな格好で結構よ。私が由佳さんを紹介して手話で質問するだけ。あなた方も一言二言話してくれるか、手話をしてくれたら十分です。半時間前に迎えに行くから、気楽に来てくれたらいいわ。今から二人が来てくれることを会員に連絡します。本当にありがとうね」


母親と三人で日本への土産を買いに行くことになった。

行ったのはいかめしい外観のデパートだが、中は日本の売り場とあまり変わりはなかった。

「淳一さん。兄さんと吉泉先生のお土産はいいからね。あなたはお友達の分だけを買えばいいわ」


助かった。

すでに選手村で、よく考えもせず紅茶とチョコレートのセットを五十個も買っている。

姪の美紀ちゃんにはキャラクター人形であるウェンロック人形を買った。

一つ目でどうもなじみにくい。


由佳はあれもこれもと買い求め、その荷物持ちで大変だった。

最後に英国旗を着た大きなウェンロック人形を選んだ。

こんなでかい物、日本にどうやって持って帰るんだ?


彼女に聞くと、お金さえ出せばロンドンからの宅配便があるそうだ。

どうも彼女とは金銭感覚が違いすぎる。


俺も貧乏人根性を変えていかないといけないのだろうか。

これからも彼女とのずれが出てきそうだ。




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