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君とオリンピックに行きたい  作者: 友清 井吹
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オリンピックを救う

渉外の加納さんに電話をした。

状況を説明すると一度切って、しばらくしてから返事が来た。


「倉本君。その招待はぜひ受けてくれ。その会のことを大使館に問い合わせると、王室の方も来られるレベルの高い集まりらしい。私もすぐそちらへ向かう。動かないでくれ」


三人で、山盛りのオードブルを食べたが、半分残してしまった。ワインは飲んでいない。これは無料のサービスなのだろうか?。

加納さんが来て、てきぱきと指示をしてくれた。


「後二時間か。しかし競技の次の日に招待するかなあ。ともかく君たちは、バッキンガム近くにあるホテルの会場に行ってくれ。私がタクシーで送る。それで簡単なスピーチを考えてくれるかな。さっきBBCに連絡して、テレビのテロップをつけた鮫川さんと話をしたよ。彼女が君たちをBDA、私もよく知らんが、英国ろうあ協会とかに招待すると言っていた。お母さんにきちんと伝わっているか心配していたよ。さあ、今日も頑張ろうか」


「あの、僕たちは明日の夜に帰国予定で、今日初めてプライベートで観光する予定なんですが」

「まだよく分かってないみたいだな。君が東京にいて、皇居に呼ばれたらそんなこと言えるか?」

「まさか、僕にそんなことあるはずないですよ。それにこんなので明日帰国できますか?」

「大使館が何とかしてくれるよ。君はマラソン銀メダリストだろ。銅メダルを取った開催国イギリスにも恩を売っているんだ。もっと勝手を言っていいよ。遠慮なんかするな」


今朝の新聞を見せてくれた。

そんなに大きくはないが『日本選手と少女がオリンピックを救う』という見出しが読めた。

淳一が走っている写真だけでなく、由佳が手話をしている写真も掲載している。


記事にはマラソンの妨害事件で大会が汚されかけたのを二人が救い、おかげでイギリス人選手も3位になり、閉会式会場で英国旗が掲げられたことが書かれていた。


それで選手村での拍手やホテルでサービスがあったのか。

でも由佳との手話が、なぜオリンピックを救ったかよく分からない。


大体イギリスが銅メダルを取ったのは、あの失格した選手のおかげだだろう。

彼は今頃どうしているのだろうか? 


「まあともかく、大会最後に嫌な流れになりかけたのを、君たちのさわやかな行動が食い止めたんだ。何日ロンドンにいても歓迎攻めだと思うな。帰国が一日二日遅れてもどうってことない」


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