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知りたい

奏の言葉に、皆が凍りつく。冷静に対応したのはただ一人。ちひろだった。

「災難だったな。お前、兄さんに感謝しないと駄目だぞ。」

「てっめぇ」

奏が飛びかかった。ちひろは綺麗に交わし、奏をおさえる。

「ほぉ。俺に手を出す力は有るのに、兄さんを守る力は無かったのか。無様だな」

ちひろの言葉は、奏の心にぐさりと刺さった。

「い、言い過ぎですよ。奏さんの気持ちも考えて下さい!」

麻那の声は震えていた。

「麻那ちゃん?だっけ?」

ちひろは麻那の方を向く。

「そうですけど……」

「俺は本当の事を言っただけだぜ? 自分の大切なものくらい、自分で守りな。それができないのに、他人にあたってんじゃねーよ。」

ちひろは、麻那から奏に視線を移した。奏は力無く頷く。

「自分事棚に上げてよく言うよ」

声に出てしまった。

「自分の身を守れない奴に、そんな事言われる奏君カワイソ。」

私は乾いた声で言った。

「はぁ?」

ちひろが私を睨む。

「待って待って。喧嘩は駄目。ちひろも由佳も一回落ち着こ?」

ゆずが割って入ってきた。

「ゆずは黙って……」

「分かったよ」

私の言葉を遮り、ちひろは頭を下げた。

「奏、悪かったな」

奏はただ、ちひろを見つめていた。

「奏、ヤクちゃんの事知ってどうすんだ?」

「え?」

戸惑う奏に、もう一度問うた。

「ヤクちゃんの事知ってどうすんだ?」

奏は、私達一人ひとりを見て、こう言った。

「どうするかは分からない。ただ、許せない。大切な家族を奪ったあいつが。だから知りたいんだ。あいつの事を。」

ちひろの答えにもなってないし、きちんとした理由になっていない。だが、誰も何も言わなかった。ヤクちゃんを知りたいのは、皆同じだったから。

「教えてやるよ。だが俺が教えられるのは、事件の前日までの話だけ。それでもいいか?」

皆が頷く。そして、ちひろは語り出した。

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