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麻那

ゆずの手に、そっと自分の手を添える。震えは止まっていないが、ゆずの笑顔が柔らかくなった気がした。

「ところで、此処は何なの?」

今まで気にしていなかったが、よく考えれば私はこの場所を知らない。

「廃墟です。ここには水道があります。それに地下、一階、二階となっています。食料は有りませんが、近くの店に不良品をただで譲ってくれる優しいおばさんがいます。生活をするには充分かと。私が調べたのでほぼ間違いありません。」

三つ編みのお下げに眼鏡。いかにも頭の良さそうな子だ。

「そうなんだ。説明ありがと。えっと……」

「麻那です。」

「麻那ちゃん。」

私達はお互いを見合い無言で握手をした。

「なんか嬉しいな。」

ゆずは少し安心した様に言った。

「そうかな?」

「そうですか?」

私と麻那の声が重なった。少し楽しかもしれない。麻那は微笑していた。

まだ先の事など少しも分からないが、なんとかなる。そう思った。

その考えが甘かったと知るのは、もう少し後の事……


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