1/2
プレイ
重なる声援。飛び交う白いボール。舞い上がる砂埃。その中に僕はいた。
右手に握るラケットのグリップは手汗にまみれ、背中には薄い生地のユニフォームが張り付いている。
思えばこのユニフォームも、自分たちで選んだな…。
頭の片隅でそんなことを思いつつ僕は、ネットの向こうでサーブを打とうとする相手の動きをじっと見ていた。
左手から挙げられたボールは緩やかな動きを見せた。ボールが空中で止まる。一瞬の間を開けてボールの後ろからラケットが現れ、快音が響く。突然訪れた衝撃に戸惑う素振りも見せず、ボールは真っ直ぐにネットを超え、こちら側に飛来した。目で見ながら足で追う。左手を前、右手のラケットを後ろに引き、膝を落とし構えを取る。地面から跳ねたボールが打ちどころに来るのを待って、僕はラケットを振り抜いた…。