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想いを交わす年

 誰もが声を出せなかった。肉の怪物がこの世にあらざるものであることは、一目瞭然だ。けど、それがついさっきまで普通に会話を交わした女幽霊と同一の存在だと、誰が信じられるだろうか。


「フミ……ヤ……」

「ひ……」


 声と共に、文哉さんが目に見えて震え上がる。亜稀さんらしきものは、それにゆっくりと手を伸ばすような仕草をするも、すんでのところで留まった。禍々しいその姿とは裏腹に、纏う空気は妙に弱々しかった。


「フミヤ……キイテ……」

「殺してくれ! 亜稀、なんだろう? 頼む! 殺してくれ! お前を守れなかった俺を……殺してくれ!」

「フミヤ、ネェ……」

「俺が、俺が悪いんだ……! ごめん、ごめん……亜稀……」

「……チガウ、フミヤハ……」


 必死に文哉さんを宥める亜稀さん。らしきものとは、もう思えなかった。

 一通り対話にならぬ言葉の応酬を続ける二人。やがて、先に折れたのは亜稀さんの報だった。


「ヤッパリ……フミヤ、ワタシノ、コエ……」

「……そういうことか」


 亜稀さんの反応を見て、辰は納得いったかのように小さく頷いた。


「文哉さん、貴方は……彼女が何を言っているのか、聞こえてますか?」

「何……を? いや、だって、こいつは……ずっとずっと金切り声を上げてるだけじゃないか!」


 彼が静かにそう問いかけると、文哉さんは目を血走らせ、口から泡を飛ばしながらそうまくし立てた。

 その時私は、何となく、何が起こっていたのかを察した。

 声が届かないとは、文字通りそのままの意味だったのだ。


「……亜稀さん。その姿」

「……アア、ヤッパリ、ヒドイ、スガタナンダネ……」


 酷いくらいグチャグチャになって死んでるから。と、恐らくは苦笑いらしき凄惨な表情で、亜稀さんは呟く。


「サイショ、ハナシカケテ、モラッタタトキ……スゴク、ビックリシタノ。ニゲラレチャヤダナッテ、オモッテタ」

「……僕らが普通の姿に見えたのは、貴女がその姿を見られたくないと思っていたから。他にも色々隠していたからですかね。霊は……精神的なものですし」

「逆に文哉さんがその姿で見えるのは、亜稀さんが死んだ所を目の当たりにしているから。かつ、向ける何らかの想いが強いから……」


 この場でその姿になったのは、亜稀さんに対する何らかの感情が強い、文哉さんがいるから。だとしたら、酷い皮肉だ。伝えたい人には伝えられず。自分の正体すら気づいてもらえないだなんて。


「亜稀さ……」

「辰君、お願い。彼と……文哉と話をさせて。お願いだから……!」


 何かを言いかけた辰を遮るように、亜稀さんは懇願する。声の抑揚は、いつの間にか元に戻っていた。もっとも、相変わらずブルブル震えている文哉さんを見る限りでは、まだ声は届いていないらしい。

 彼は暫く口をつぐんでいたが、やがて、静かに。何処か寂しげに微笑んだ。


「……わかりました」


 そっと、私と繋いでいない方の手が、亜稀さんの方に伸ばされる。腐臭がする己の肉を気にしていたのか、亜稀さんは一瞬だけ身体を縮こまらせるが、辰が発した「大丈夫です。文哉さんと話がしたい。それだけ考えて下さい」という言葉で大人しくなった。

 やがて、その手が亜稀さんに触れる。

 光など発せず。奇妙な音もなく。ただ自然に、肉の怪物が霞のように消えていく。そして。

 数秒後、そこには私達にはつい先ほどまで一緒だった、亜稀さんの姿が顕現した。


「亜……稀?」


 かすれ声で、呼び掛ける文哉さん。それを見た亜稀さんは、とてもとても幸せそうに微笑んで。


「文哉っ!」


 あっという間に文哉さんに駆けていき、まるで自前の絞首台から遠ざけるかのように抱きつき、すり寄った。


「文哉! 文哉ぁ……」

「亜稀、ゴメン。俺は……俺は……!」

「いいの。もういいよ! やっと……やっと届いた。ずっと伝えたいことがあったの……!」

「けど……」

「いいから! 私がいいって言ったら、それでいいの!」

「……ああ、畜生……!」


 寄りそう二人は泣きながら、きつく抱き締め合う。

 そっと、私達は示し合わせたかのようにその場から遠退いた。あとは、あの二人が話し合うだろう。私達が介入することは、もう何もない。離れながら、辰の片手を見る。血管が浮いて。ほどよく骨張っている。けど、指は細い。そんな凄く色っぽい手は、オカルトの類いに干渉出来る手だ。

 幽霊に触れたりするのは勿論、本人はやりたがらないが、弱い霊なら成仏だってさせられる。今みたいに、他者に一時的に霊が見えるように出来るなんて離れ業すらやってのけてしまう。

 本人曰く、助けられた事も、これのせいで酷い目に遭うこともある、信頼をおくにはいささか胡散臭い力だそうだ。


「いつみても、素敵な手指ね。ゴールドフィンガーならぬゴーストフィンガーだわ。火傷しちゃいそう」

「燃えてるんだぁろうか~。郷ひろみだっけ?」

「ええ、原曲は貴方が好きなあの曲よ」

「リッキー・マーティンだね。あれ聞くと、何故かメリーと初めて会った時を思い出すよ」

「……何でよ。そこはかとなく失礼ね」

「他意はないさ」


 ファーストコンタクトはニューヨークの泥臭い安ホテルなんかじゃなく、渋谷のホテル。そもそも私の肌はモカ色でもなければ、辰を堕落させてもいない筈だ。まぁ、好きな曲で私を思い浮かべてくれるのは、悪くない気分だけど。

 

 ※


 結局。暫くの間、私達二人は亜稀さんと文哉さんのやり取りを、遠回しに眺める事となった。

 謝ろうとしていた様子の文哉さんに、亜稀さんが諭すように語りかけているのだけは、何となくわかったけど、何を話しているのかまでは聞き取れない。だが……。私と辰は幾つかの推測は浮かんでいた。

 勿論、ここで口に出しはしまい。そこまで無粋ではない。


 並んで此方に向き直り、二人は静かに頭を下げる。


「……踏みとどまれましたか?」


 そう問いかける辰に、文哉さんは伏し目がちになりながらも、静かに頷いた。


「辰君、ありがとう。もし貴方達に逢わなかったら……どうなっていたか……」

「きっかけを作っただけ。説得したのは、亜稀さんですよ。……これからどうするおつもりで?」


 辰の言葉に、亜稀さんは少しだけ戸惑ったように微笑む。


「正直、私が幽霊になった事自体が、今だに信じられないんだけど……」

「未練や何らかの念があって、貴女は留まった。〝文哉さんの自殺を止める〟が、未練だったなら、この時点で成仏しているとは思いますけど……」


 私がそう言えば、亜稀さんは「じゃあ、また別の未練が出来たのかな……」


 そう言って、文哉さんをはにかんだ表情で見る。辰はそれを、無表情で見つめていた。


「……あまり、この世にとどまりすぎるのもよくないです。幽霊が存在する以上、何らかの想いが必要ですから。僕が干渉して、こうして今は話は出来ますが、いずれ……」


 再び、あの怪物の姿に戻るのだろう。当人たちが納得したとはいえ、当初の姿を象っていたイメージとは、そうそう抜けるものではない。長い間過ごせれば、いずれ薄れていくのかもしれないけれど、それにしてもあまりオススメは出来ない。

 普通の人間と霊ならば、守護霊の類いでもな限り、近くにいるべきではないだろう。少なくとも、対話がままならなかった二人ならば尚更。私と辰はそう思う。


「うん、分かってる。ただ、ね。もう少しだけ……文哉を家に送り届けたいの」


 それでも、悲しげな表情で「ダメかな?」と言う亜稀さん。それに辰は、いいえ。と、首を横に振るだけに留めた。


「……文哉さんを救えて、それで満足。他にはなく、家に帰るまで見届けたい。そうですね?」

「うん。そうよ」

「なら、僕らはもう何も言いません。後はお二人で残された時間を過ごしてください。ただ……」


 最後に一つだけ。

 と、辰は指を立てる。


「……お互いに、納得されているんですよね? その上で和解できた……そう思って大丈夫ですか?」


 しっかりと、亜稀さんと文哉さんは頷いた。目の色が一瞬だけ変わったのは見逃しはしない。けど、やはり言うべきではないだろう。


「ごめんなさい。聞かないで」そう顔に書いてあるかのようだった。

 その時私は、改めてこの二人が怖い。そう感じた。

 それは辰も同じだったらしい。彼の手は、しっとりと汗ばんでいたのだ。


 亜稀さんと文哉さんが連れ立って歩いて行くのを見送り、私達二人は静かに息をついた。緊張の糸が途切れた。そういう表現が相応しいだろう。


「……害はなさそうでもさ。やっぱり……怖いなぁ」

「気づいたの、貴方はいつ?」

「少し妙だなって感じたのは、最初に事情を話した時かな。ああ、キナ臭いって思ったのは、文哉さんと会った後。きっと僕の想像が当たってるかもって思ったのは……二人が。特に亜稀さんが、文哉さんに何も喋らせないようにしていた時」

「大体一緒ね」


 何とも言えない危うさは、いつも感じていた。亜稀さんは……彼女は言っていた。文哉は、私が死んでから狂ってしまった……と。だけど……。


「相手に殺されてからでも、愛してるって……言えるものなのかな? 状況にもよるだろうけど、僕には分からないよ」


 狂っていたのは、文哉さんだけではなかったのだ。


 ※


 雑木林から帰還した私達は、境内にて振る舞われた甘酒を一杯引っ掛けて、適当なベンチに陣取った。

 初詣客は、徐々に少なくなっている。そろそろ時間が時間だし、ここが静かになるのも近いかもしれない。

 温かく、何だか懐かしい味で身を暖める。けど未だ、心はいかんともしがたい程に寒々しかった。理由は言わずもがな。

 私達は周りの人間には聞こえぬよう、小さな声で今宵の一見美しいだが、確実に禍々しい、恋人達の絆を思い返していた。


「例えば僕かメリー。そのどちらかの親しい人が死んだとして。次に始まるのは?」

「お葬式ね。殺人ならば、また何かとややこしくなりそうだけど、亜稀さんいわく、〝事故〟で死んだと。ならまぁ、双方の知人には知れ渡っている筈」

「そう。事故ならばそれが普通だ。けど、彼女は言ったんだ。彼がおかしくなったのを知っているのは、誰もいない……と」


 きっかけは、そんな些細なものだった。一度その不自然さを知れば、亜稀さんが語る言葉は、行動は、たちまちのうちに奇妙なものとして映っていく。


 まずは、両親。結婚が両者公認だったのならば?

 少なからず、関係は良好だった事は伺える。でも、そんな中でさえ、文哉さんは、あんな状態だった。


「例えば……君に恋人がいたとして、その人が死んで、君があり得ないくらい落ち込んだとしよう。風呂に入らず髪はボサボサ。ご飯は食べず、肌もボロボロ。ほっとけばどんどん悲観的になる負のスパイラル」

「……それ、私で想像する意味は?」

「例え話だよ。仮に君がそうなったとしよう。僕だったら……とてもじゃないけど、君を何日も放置なんて出来ない。ご飯食べさせに行くし、無理矢理お風呂に突っ込むだろう」

「……そうね。立場が逆なら、私もそうするわ」


 抗議はしなくていい。今は話を進めよう。私に恋人がいるなんて想像を、よりにもよって辰がするだなんて、色々物申したい事はあるけれど。


「僕らでそれなんだ。幸せな未来を約束されていたなら……少なからず真っ当な家族ならあんなになるまでほっとかないさ。出てこなかったにしろ、コンタクトは取ろうとする筈」


 それが、違和感その一。と、辰は呟く。じゃあ、次は私の番だ。


「違和感その二ね。彼女は、文哉さん以外は神社で話しかけたと言っていたわ。彼の自殺を止めるために。でも、そこが妙よ。あんなにお髭がボーボーになるくらい前からおかしくなっていて。対話も成立しない上にそれを放置。よしんば遠くから見守っていていたとしたら……。助けを求めようと思い立つのが遅すぎると思うの」

「そう。あんなにも心配していたんだ。もし彼を止めたくて、霊媒師的なのを探す。それはいい。けど、その前に試すとは思うんだ。家族、知人などとは会話が成立するか否か。見ず知らずの馬の骨に頼むよりは、そっちの方が文哉さんを止められる可能性があるだろうに」


 それをしなかった。これには色々な予想が立てられる。

 例えば……。


「助けを求めたくても、出来ない事情があった。彼女が死に、文哉さんが狂ったのを誰も知らない。イコール、彼女の死が誰にも知られていない事に繋がる。事故で死亡したならば……それは妙だ。隠蔽できる筈がない。失踪した上で死亡? いいや。ならば文哉さんは部屋に引きこもらないし、あの姿を見て亜稀さんを想像しないだろう。なら、他に考えられるのは……」

「文哉さんが、亜稀さんを殺した……ね」


 可能性を潰していけば、それが妥当だ。

 原因は、分からない。些細な事で口論になり、例えば突き飛ばしてしまった結果、不運にも頭をぶつけてしまったか。

 あるいは、文哉さんが元々は激情家で、衝動的に殺人を犯してしまったか。

 どちらにしろ、婚約者を殺し、もとい婚約者が死んで、文哉さんは狂った。なるほど、亜稀さんは確かに、嘘は言っていない。ただ事実をぼやかし、自身が殺された事を覆い隠した。何故か。それは……。


「文哉さんの、為?」

「でしょうね。私達が通報するのを恐れたのかも」

「じゃあ、彼女は自分が殺されて尚、彼を案じていたのかな?」


 甘酒で喉を潤しながら、辰は静かにため息をつく。純愛と言っていいべきかなぁ? と、呟きながら。

 定義の曖昧さには心底同意する。

 殺し殺されて許しあう。事故だったのかもしれないし、当人たちが納得しているから、責めようもない。けど、片や幽霊に。片や自殺を考えるほどに。いい意味でも悪い意味でも、二人とも純粋だったのだろう。


「……殺すなり、死亡したとして、死体はどうしたのかしらね?」

「まだ、部屋にあるか。何処か遠くに遺棄したか。いつ事が起きたか分からないからなぁ……どちらにしろ、警察に見つかっていない事には変わりないだろうね」

「通報……する?」

「絶対ややこしくなると思うんだ。僕らが自殺未遂を目の当たりにしたとして、どうやって亜稀さんの死を知ったか」

「本人が喋りました~とか」

「亜稀さんが祟りにくるよ?」

「……ノータッチでいきましょう」


 純粋とは、裏を返せば迷わないという事。わざわざ此方が、もう関わりませんよ~といった空気を出したというのに、そこで裏切りでもしたら……想像はしたくない。


 今回の件は、未来視に近い現象が観測出来た。それでいいのだろう。もし同じようなケースで何個か事例が集まれば、私はオカルト限定でなら不安定な未来視が出来る……なんてのが証明できるかもしれない。

 無差別なのは変わらないなぁと思うけど、特に気にしなくていいだろう。完璧よりはそっちの方が楽しいだろうから。


 甘酒を飲み終わり、互いが吐く息の白さが妙におかしくて、私達はなんとなく笑い合った。

 こうして明日も明後日も。日常と非日常の狭間を行き来しながら、私達は渡り歩くのだろう。


「まぁ、今回もお互いに無事でした。ということでOK?」

「そうね。危うくもなく、初活動も終えられた。幸先はいいわ」


 今私達が立つのは、きっと日常だ。そう実感するような言葉を交わし、私達はスイッチを切り替える。そうだ。ちょっとした労いと、確認も込めて、今更だけど新年の挨拶を交わそう。

 願わくば、これからも辰と一緒に、オカルトを追えますように。そんな事を思っていたら、考えることは一緒だったのか。辰は「あ、言いそびれてたな」と、頬を掻き……。

 

「明けましておめでとう、メリー。今年もよろしく」

「っ……うん。辰、明けましておめでとう。こちらこそ今年もよろしくね」


 面と向かって言えば、照れちゃう……なんて程、(うぶ)ではない。

 だから私達が二人揃って頬が赤いのは、きっと冬の寒さのせいだろう。


「紙コップ寄越しなよ。捨ててくる」なんて、理由をつけて、辰は私から甘酒の飲み終わりを回収し、そそくさと少し離れたごみ捨て場に行ってしまった。

 忙しないなぁとは思うまい。私も少しクールダウンが必要だ。そういえば、参拝してないな。戻ったら一緒にお参りしよう。願うことはさっきのと、内緒のお願いがもう一つ……。


「……メリーさん」


 そんな暖かい思考は、そこまでだった。聞き覚えのある声に、私はビクリと肩を跳ね上げた。


「……亜稀、さん?」


 いつからそこにいたのだろうか。文哉さんと一緒に帰路についた筈の、亜稀さんがそこにただよっていた。


「……どうし」

「やっぱり、気づいてたんだね」


 私の言葉を遮り、俯きながら亜稀さんは低い声を出す。

 何を。とは、今更だろう。私がそっと身構えれば、亜稀さんは「ウフ、ウフフ……」と、笑い始めた。


「私……悪い女だわ。文哉とお話できて、ますます欲が出てきちゃった」

「何を……」

「ねぇ、私ね。死んじゃっても、文哉と一緒にいたかった。それが、きっと未練って奴だったのね。声が聞こえなくて悲しかったわ。けど、文哉を見れてたら、それでよかったの。……文哉が私を殺しちゃって、凄い凄い後悔してるの見て、〝嬉しくて〟自殺まで考えて……〝嬉しくて〟ああっ、愛されてるって……!」


 ジリジリと、亜稀さんが近づいてくる。私は無意識に一歩後ろへ下がらざるを得なかった。


「……文哉さんが逮捕されるのを嫌がってたのは、彼が取られると思ったから?」

「うん、そうよ。あ、でも自殺も嫌よ? だって文哉は私があの世にいると思ってるんだもん。死んじゃったら、未練なんて残らないわ」

「……素敵な愛ですこと」


 皮肉は通らないらしい。亜稀さんは嬉しそうに笑うだけだった。


「文哉さんは?」

「先に帰したわ。素敵なプレゼントがあるから、待っててって言ったのよ」

「……素敵なプレゼント?」


 家に送るも嘘か。二枚舌め。そんな悪態をつきつつも、私は彼女の考えを読み込まんとする。

 戻ってきたのは何故か。私達が真実に辿り着いているか確認するためだろう。

 このタイミングで私に話しかけてきた意味は……。


 あ、何かあれだ。ヤバイかも。


「メリーさん。貴女……いい身体してるよね」


 クチャリと、亜稀さんは不気味に笑い。私に再びにじり寄る。


「やっぱり、文哉の前ではいつまでも綺麗でありたいの……。だから……」



 ソノカラダ、ワタシニ、チョウダイ?

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