プロローグ
大学病院の一室。
個室で横たわり、弱々しく呼吸をしながら外の景色を眺めていた。
口元には酸素マスクを付け、他にも様々な器具が自身の体に取り付けられている。
気持ち良い朝日が差し込み、目を細めそれを肌で感じていた。
空を飛ぶ鳥たちの姿が目に入り、自身もあのように自由に飛んでみたいと思うのだ。
しかし、それももう駄目みたいだ。
息が苦しくなり、必死にナースコールを押そうとする。
やせ細った自身の力では、押すことが出来なかった。
「まだ……死にたくない……私……迷惑しか……かけてないよ……」
涙が頬伝って溢れる。
心電図が、急変した事をエラー音で知らせる。
それで、この事態に気付いたナースが駆け込み、直ぐさま医者を呼び蘇生に移る。
しかし、私の体はボロボロでもう蘇生しても戻らなかった。
最後まで迷惑をかけてしまった。
ごめんなさい。
頑張ってといつも励ましてくれた看護師さんありがとう。
何も返せなくてごめんなさい。
お父さん、お母さんこんな娘でごめんなさい。
親孝行もできないで、いっぱい心配かけてごめんなさい。
でも、唯一良かったことは、この病院が私の病の検査をさせて欲しいと言ってくれた事。
私の家は貧乏で、こんなに大きな病院で様々な検査をすることなど不可能だった。
私は実験体としてこの病院にいる。
私と同じような病で、苦しんでる人の肥やしにでもなれたらいいな。
最後に、お父さんお母さん産んでくれてありがとう。
短い人生だったなと思いながら、私は深く暗い水の底へと落ちていった。