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ふとした瞬間~近づく想い~

二年生に昇格して、先輩になって。

一年生の後輩を迎えた時。

その時の彼は、

もう覚えてない。

「1年G組の榊 綺劉です。

 よろしくお願いします。」

そう言った彼の顔は、今では思い出せない。

その時はなんとも思わなかった。

ただ…『髪の毛が茶色いなぁ…』って感じで。

でも、自然と“仲良くなりたい”って思った。


まぁ、榊の容姿は良い方だとは思う。

茶色く、色素が薄いのか透き通るような髪。

背は高くて、全体的に細い。

細いというかもう薄い。

でも、ちゃんと筋肉はついている、

しっかりとした体型。

顔は…甘めな感じだけど、

時々ドSの笑みというか、

どこか悪魔的な笑みを浮かべる。

…実は好みの容姿。

イケメンの部類にも入ると思う。


…黙っていれば。らしいけど。


あまり思い出せないってことは

それくらい、1日1日が

凄い日々だったのだろうと痛感する。

まぁそんなことは置いといて。


黙っていればカッコ良い、らしい。


なぜかって?

私はその姿を知らないから

よくわからないんだけど…

すごく口が悪いらしい。

それも女子に対して。

とにかく口が悪い。

泣かせたこともあるらしい。

そんなの私は聞いたことないんだが(´・ω・`)

きっと私は『先輩』だったから。

一応、常識というか、

中学生は先輩に敬語を使う的なヤツが

彼の頭にあったかもしれない。

…敬語なんて一度も使われたことないが。

生意気な奴め。


まぁそんなこんなの出逢い。

この時はお互い名前くらいしか知らない。


そして過ぎていく日々。

先輩後輩と部活していく日々。

毎日笑いあって、辛い練習も乗り越えた。


…そういえば私の所属してる部活って言った?

なんと陸上部!

はぁーー…陸上カッコいいわ。

…っと、話がそれちゃうね。


しかもココの陸上部は、

珍しく結構自由型。

練習しっかりやったら休憩はどこでもいいから

ちゃんとストレッチしとけよー…ってくらい。

だから、大会の時なんかは話しまくり。

応援と種目に出る時は全力。

それ以外はもうお話タイム。

ぺちゃくちゃ喋るわぎゃーぎゃー騒ぐわで

いつもうるさい雰囲気。

でもそれが大好き。


そして私は、その雰囲気を作る係って感じ。

要は明るい感じで盛り上げる存在でいた。


基本、後輩とは仲良くやりたい人だ。私は。

でもナメられるくらいの先輩は嫌だ。

だから、怒る時は本気で怒った。

アドバイスする時は本気でアドバイスした。

良いタイムが出た時とかは心から喜んだ。

上手くいかなかったり、リレーで失敗した時は

その後輩と同じくらい泣いて、

先輩だからこそ、経験者だからこそ

精一杯励まして支えた。


そんな“良い先輩”を

演じていただけなのかもしれない。


いざ私がそんな状況になった時に、

心から心配してくれた人はいなかった。

『優衣ちゃんなら大丈夫だよ!』

『大丈夫、優衣ちゃんは頑張ったよ』

その言葉で元気は少しでるけど、

上辺だけの言葉じゃ胸が痛むだけだった。

だから、“明日は大会”

そんな日が来ると、

いつも不安で心が押しつぶされそうになる。

恐怖で家にひきこもってしまいたい、と。


そしてある時やってきた。

大会前日だ。

最後の調整、コンディションの確認。

その時もずっと1人で、

不安、緊張、恐怖に耐えていた。


そんな私に、気づいてくれた人が、1人いた。

そっと近寄ってきて、


「明日、頑張れよ。応援してる」


そう言ったの。

いつも口が悪いって言われてて、

私とは普通の先輩後輩って感じの関係だけで、

何かあると、企んでるような笑顔をして

いつも笑ってる榊のくせに…

“頑張れよ”って、言ったの。

しかも、真顔で。

真剣な様子で。

私に、向かって。皆へじゃなくて。

私の変化に気づいたのか、わからないけど、

彼だけだった。


あぁ、この人は周りをよく見てたんだ。


あぁ、この人は他人のことでも

すごく考えてたんじゃないのかな。


たぶん、その時から思ったんだろう。


「あぁ…好きだな」


って。

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