聖前戦、終1
次からは優勝候補三人のローテーションで試合が行われる。
俺が出るのは最初と最後か。
最初なので準備をはじめる。
ここまで勝ち上がってきた相手はどれだけ強いのか。
健也は、試合の合間宿屋で休憩をとっていたので試合の相手は
みていない。ただ単に楽しみが増えるという理由で。
よし、と言って剣を握った。
そして舞台へと上がる。
驚いた。何に驚いたのかといえば相手の姿に、だ。
ビアンカ・アヴァロンという名前からして女性だと思っていたが。
まさかこんなにも若いとは。たぶん十代前半だろう。黒髪の
ツインテールで剣の他に腰にナイフを装着している。
これはルール上違反ではない。
しかもさらに驚いたことにこの少女が現聖剣士と死闘を
繰り広げたらしい。
とすればかなりの実力者ではあるが、なぜこんな少女が?
まだ幼い少女と戦うのは気が引けるが手を抜いては勝てそうに
ない相手だし本気でいくしかないか。
「レディー、ファイト!!」
その合図と同時に駈け出す。
しかし相手ービアンカの姿が見当たらない。
「後ろか!?」と振り向くがいない。
「残念♪」上から声が聞こえた。
見上げる前にその場から跳んだ。
ドンという音が響いた。
速い!?しかも威力もいままでのと比べたらけた外れに高い!?
あのスピードはセカンド、いやサードテンポと同等!?
しかしサードテンポを使っても、威力で負ける。
これが聖剣士と死闘を繰り広げることの出来た剣士の実力か。
もう魔法を使うしか、ないのか。早いな。まさか聖剣士と戦うまえに使うことになるとは。魔法世界では結構剣技だけでは強かったのに。
俺の力のなさを改めて感じる。でもまだ負けるわけにはいかない。
魔法はルール上違反にはならないとさっき見て確認した。
セカンドテンポ!!サードテンポ!!
ビアンカはその姿をみて襲いかかる。
今のところしのいでいる。だがいつまでしのぎ切るかわからない。
その前に仕掛けるしかない!
移動魔法 ムーブポイント!!
ビアンカは驚く。目の前にいた敵が急に消えたのだ。
しかも目にもとまらぬスピード。ではなく、文字どおり消えたのだ。
ムーブポイント、それは魔法学校ではあまり使われなかった。
なぜなのか、その理由はムーブポイントで移動する地点を定めたあと
ムーブポイントを発動するとその定めた地点の二メートル上に移動する。
それだけなら目くらましにも使えるが、その定めることのできる範囲が
術者の一メートル以内と決まっているので全体範囲魔法を使われれば
あまり意味がないのだ。そして空にいる敵にもあまり効果がない。
地面に足がついてないため剣を振ったとしても威力、スピード
ともに落ちる。しかも魔法はそこそこ体力をもっていかれる。
他の魔法で足場を補うと疲労のたまりが尋常じゃないので
決めて以外は魔法の複数使用は使わない。
剣技として使うものもいるが魔法学校では使われない(剣士同士の戦いではないため)。剣技として使う場合もかなり訓練する必要がある。
しかし健也は訓練していた。
健也の上空からの一太刀がビアンカに襲いかかる!?
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