シロアム
短めですが、本日3度目の投稿です。
不快な染みが滲む住居へと近づいていく。
一歩近づくごとに、明確に感じられるようになっていく違和感と不快感。
本来あるべき姿から外れているような感覚に背筋を泡立てる。
僅かの逡巡の後、その住居に足を踏み入れる。
住居に入った途端に、強烈な腐敗臭が鼻を突いた。
部屋の中央を見ると、藁の布団に寝かされた一人の人間がいた。
見えている部分は全て口以外布で覆われているため男か女かも区別のつかないその人物は、
部屋に入ってきた俺に気が付き口を開いた。
「薬師様……今日の診察は随分と早いのですね。」
その鈴の音のように可憐で、しかし儚げな音を聞いて初めて、目の前の人物が女性、いや
それどころか年端もいかぬ少女であるとわかった。
その少女は見るからに衰弱していて、部屋に漂う腐臭も、よくよく見れば彼女の肌がところどころ
グズグズに腐り果ててしまっていることに端を発するものだという事がわかる。
少しの間、沈黙してしまった俺を不審に思ったか、少女が再度口を開く。
「薬師様…?」
黙っているのも悪いと思い言葉を返す。
「ああ、悪い。俺は薬師じゃない。……見たところ、病気なのか?いや、わざわざ聞くことじゃなかったな。悪い。」
あまりにむごい状態の少女を前に言葉がまとまらない。
「気にしないでください、見知らぬ方。初めまして、私はシロアムと申します。
これは病ではありません。呪いなのです。」
そう言いながら上体を起こそうとする少女を止める。
「ああ、いい。無理はするな。そのまま寝てろ。呪い、ってのはどういう意味か聞いてもいいかな?」
なるべく、丁寧に語りかけるように声をかける。
「私は……罪を犯したのです。」
そういうと、少女は少しずつ身の上を語り始めたのだった。
罪は許されるためにあるのです。




