旅の目的とは
クローネの話を聞いたヒルダは、これから自分が旅に出なければならないという事実よりも、目の前で悲しそうにしているクローネの姿に胸を痛める。
その為ヒルダは、クローネにどのような旅をすれば良いか等の質問をするよりも先に、クローネの精神状態の心配をしていった。
「……あの、大丈夫ですか? お師匠様……」
「……そうね……大丈夫、だと言ったら嘘になってしまうけれど、これも魔法使いに古くから伝わる言い伝えですからね。耐えなければいけない事……だから、あなたは心配しなくても大丈夫よ、ヒルダ……」
「お師匠様……」
「ほら、あなたまで悲しそうな顔をしないの」
寂しそうにしながらも、古くからの言い伝えに従ってヒルダを送り出すと話していくクローネ。
そんなクローネの言葉を聞いたヒルダは、その思いに応じるようにどのような旅をすれば良いのか? と尋ねていった。
「……わかりました、お師匠様。それでその旅についてなのですが、具体的にどのような旅をすれば良い、というようなものはあるのですか?」
「ええ、あるわよ。とりあえず世界を見て回り、どこか気に入った土地を見つけたらその土地に定住することを決めていくの」
「……定住する土地を見つけて、そこに定住することを決める……? それが旅の目的になるのですか?」
「とりあえずの目的はね。最終的にはその土地で暮らす人達を手助けしたり、その土地を発展させたりしながら魔法使いとして修行し続けていく。これが目的になるのですけどね」
このように旅の目的をクローネから聞かされたヒルダは、ここで一つの疑問が浮かぶ。
その為ヒルダは、頭に浮かんだその疑問をクローネにぶつけてみた。
「……あれ? お師匠様も旅のされたのですよね……?」
「ええ、そうよ」
「……それにしては、この小島には私達以外に誰も住んでいないのですが……?」
「私が話したのはあくまでも一例だからね。私みたいに誰もいない土地を選ぶ魔法使いもいれば、何も無い不毛の土地を緑豊かな環境に変えた魔法使いもいる……選ぶ土地は魔法使いによって様々なのよ」
「……そうなんですか……それでは、私が気に入る土地もあるのでしょうか……?」
クローネの説明を聞いたヒルダは、深く頷いたあと、自身が気に入る土地があるのか、と悩み始める。
そんなヒルダにクローネは、優しく声を掛けていく。
「きっとあるわ。だって世界は広いのだから」
「……お師匠様……」
「だから心配しないで、ヒルダ。あなたならきっとあなたが望む土地を見つけられるから」
ヒルダにそう声を掛けたクローネは、そのままヒルダを優しく抱き締めていった。
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