表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エルフ乗りのエルフさん〜ドラゴン論争〜

作者: Wana-wana

 真っ青な空に、まっすぐな白い雲がだんだん伸びていく。

 ひこうき雲だ。


「明日の天気は、すくなくとも今日よりは、崩れそうだな」

「そうなんですか?」


 農業従事超ベテランエルフ(♀)は、あくまで経験則ではあるが、と答える。


「湿度の関係やら、なんやら、とかそういう、あれらしい」

「理由はふわっとしてる」

「細かい理屈なんて知らん。なんなら、科学的に合ってるかも、分からない」


 ぷかりぷかりと、エルフが口から虹色の煙を吐き出した。


「たばこの色おかしくない?」

「おかしくない。これはそもそもたばこじゃない」

「さっきコンビニで買ってましたよね」

「エルフ専用たばこだ。オオクワガタの冬虫夏草が埋め込まれている」

「オオクワガタの……?」

「そうだ。オオクワガタの冬虫夏草は、虹色に光るんだ」

「嘘こけ」

「嘘じゃない。疑うのなら、その目で確かめてみろ」


 たばこの箱を投げて渡された。めっちゃくちゃ普通に。


「マイセン!」

「なんのことかさっぱり」


 このババア!(年齢に即した適切な表現)

 そうこうしている内に、2機目の飛行機が空をとんで、またもや白い尾を引きずっていく。本当によく、ひこうき雲がきれいにできる日だ。

 すると、その二筋がうまくかみ合ってというべきか、並行になっている部分と、すこし膨らんだ部分ができあがった。


「昔の人って、こういう雲を見て、ドラゴンとか龍を考えたりしたんですかね」

「そんなわけないだろう」


 思ったよりも速攻で否定された。厳しい。


「よく考えてみろ。飛行機がないのに、どうやってあんな雲ができる」

「それはそうですけど……」


 浪漫があるじゃん。ドラゴンは実在しなかったかもしれないけど。もっと夢を見させてほしい。


「そもそもドラゴンに近いのは──飛行機のほうだ」

「は?」


 そっち?


「お前たちが、最初に空を飛び始めた時、当時を知るエルフの反応は『自力でドラゴンにたどり着きよった』だったんだ」

「その頃から生きてたんだ……」

「私の生まれは、BC500000000000000000000000年だからな」

「宇宙の誕生すら怪しくない?」

「嘘だが」

「嘘かい」

「私たちにとって、ドラゴンを眺める時の感情は、マンタとかエイを水族館で眺める時に人間が抱く気持ちだ」

「めっちゃかわいいって気持ちじゃん」


 変なものを見る目で見られた。

 何だよ。何か変なことを言ったか?


「ラッコのほうがかわいいだろ」

「そこ比べるのはずるじゃん」

「あと、私はもっとかわいい」

「ぺっ」


 唾棄した。エルフはどこ吹く風だった。


「ちなみに嘘だが。ただ、お前たち人間の功績もあって、ドラゴンが合理的に進化した結果あんな形だったことを知れた」

「今の嘘はどこの部分が該当するの?」

「さあ、仕事を再開するぞ。ジャガイモの仕分けだ。マンドレイクも混じっているから、手を抜けない」

「どこの部分までが嘘で、どこからが本当なのさ」


 マンドレイクの混じったジャガイモってなんだよ。死のリスクあるじゃねえかよ。

 3機目の飛行機が飛んできた。

 そうかあ、ドラゴンはあんな形なのかあ。


「嘘だが」

「だから、どこの部分が」


 仕分け作業は、長芋で、マンドレイクじゃなくて、コカトリスが混ざっていた。

 どこの部分が嘘だったんだよ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ