9 水のダンジョン 初級
水のダンジョンに行く前に鍛冶場によった。
決して、かわよいおじさんを見る為ではない。
槌を叩く音が鳴り響いている。
朝からこんな音を出して何処から怒られたりしないのだろうか。
「おじさんいるー?」
「いねえ! ってその声は昨日の嬢ちゃんか。今行く」
おじさんは普通に作業を中断してこちらに来てくれた。
いいのかな……。少し罪悪感。
「で昨日の今日にしてどうした? まさかもう水のダンジョンを終わらせてきたとか」
「いえいえ、昨日これがドロップしたんですけれど」
そう言ってカレーが入っていた鍋を手渡す。
「この匂いカレーか、鍋は軽銀と合金の五重構造とかか、凄いなこれは」
よく鍋を手でたたいただけで分かるものだ。
「これをどこで?」
「昨日言ってたゴーレムですね、昨日は銀ピカだったけど」
「よくわしの所に持ってきた! ギルドだったら銅貨2枚くらいで買いたたかれていただろう。」
「あっ」
銅貨2枚と聞いて脳を過った。
「どうした?」
「以前ゴーレムからドロップした謎の土を銅貨2枚で買取されまして」
「あの土、嬢ちゃんが震源地だったのかよ。今工房界隈でやっきになって取り合っているぞ。今の相場は金貨5枚くらいだがもっと上がるぞ」
ホットドッグ5000個……。
「また手に入れたらわしの所に持ってくるといい。損はさせないからよ。ところで鍋の代金は金貨50枚でいいか?」
ホットドッグ50000個。
「ようし交渉成立だな」
ホットドッグ50000個だぜ、今の私に不可能はなーい。
水のダンジョンは川のほとりにあった。
洞窟型の入り口があって分かりやすい。というか目立つ。周りの景色に溶け込んでいない。
入るとダンジョン全体がせせらぎになっていた。
売店のおばさんがブーツを進めたのが分かる。
今回も今までと同様に青い球体に遭遇した。
足取り軽く蹴り殺すと異変が。
魔石を落とさなかったのである。
そして煙になった球体はブーツへと吸い込まれていった。
なるほどそう言う仕組みか。
魔石を、お金を入手できないのは残念だけれども、今の懐はホッカホカである。
モーマンタイ。
どんどん蹴り殺しちゃうゾ。
青い小動物を蹴った先には、デカい青い球体。
前回と同じである。
今回のダンジョンは階段はなく、進んで行く形式みたいだった。
球体を殺して進むと青いゴブリン。
その次は青いゴーレム。
最後に青い鎧の騎士。
なんとなくドロップキックがしたくなったって、騎士の顔面に着地。
騎士さんご免、糧となっておくれ。
騎士を吸収し終えると入口に戻っていた。
今回は一周2分もかからないな。
100回終えるのに大体3時間くらいか。