7 火のダンジョン 初級
「おねーさん、マジックバック下さい」
「マジックバックという事は次は中級かい?」
「いえ、火のダンジョンです」
「まだ!?」
驚きつつもおばさんはマジックバックを用意してくれた。
「他に何かいるかい?」
「水20本とリンゴ20個、替えの下着5枚くらい。それとこん棒ひとつ」
「はいよ。強化されたこん棒もあるけれどそっちにするかい?」
「どんな風に強化されているんですか?」
「釘を埋め込んであるのさ」
それは強化と言えるのだろうか。
「おじさん、ホットドッグ20個」
「おまえなぁ」
「今日はちゃんとリンゴも買いましたよ」
「それなら、まあ、いいか」
火のダンジョンは街から15分程歩いた平原にあった。
平原の少しぼこっと丘のようになっている部分。
そこを反対側から見ると、確かに民家のドアくらいの大きさの穴が開いていた。
穴からは熱気は感じられないので、焼け野原になることはないだろう。
ダンジョンへと入ると少し暑いくらいの温度を感じる。
確かにこの中で走れば下着は汗でグッショグショになるだろう。
洞窟型のダンジョンで下がっていく感じだろう。
始めに出会ったのは赤い球体。
それが3匹。
ツルハシの勝ちである。
次に出会ったのは赤い小動物。
赤い宝石を額に付けた犬と猫を足して2で割ったような感じ。
一撃で仕留めると魔石の代わりに額に付けていた宝石を落とした。
下の層へと続く階段を守っていたのはデカい赤い球体。
余裕。
2層なのか、地下1階なのか。
2層は進むたびに赤いゴブリンが出てきた。
何かしてくる前に倒してしまった。
階段を守っていたのは赤いゴーレム。
まず足からと、ツルハシで殴ったら煙になってしまった。
そんなつもりはなかったんです。
2発で倒そうと思っていたんです。
3層は道なりではなく大広間。
広間の真ん中には赤い鎧身に纏った騎士のようなものがいた。
先手必勝、ツルハシでヘルムを叩いたら煙になってしまった。
騎士の魔石をマジックバックに入れると、私の身体が光に包まれた。
目を開けると火のダンジョンの入り口にいた。
おお、便利便利。
走れば一周五分もかからないだろう。
そして幸い初心者ダンジョンに挑む人は私以外にはまだ遭遇していない。
気にしないでどんどん回ろう。
1日目は50回回ったところで空が赤く染まり始めたので街の宿へ戻った。
2日目も50回クリアして、101回目の挑戦では赤いスライムは魔石を落とさなかった。
なのでギルドへと戻った。
「……Rスライムの魔石小が300個、中が100個。Rゴブリンの魔石小が500個、Rゴーレムの魔石小が100個。Rカーバンクルの宝石が100個にRナイトの魔石小が100個。Rナイトのヘルムが3つで、金貨5枚と銀貨50枚になります」
「わぁ」
「職業アホだったりしますか?」
「無職ですねー」
「探索者でしょうが……。と言いますか100きっかりという事はまたダンジョンに締め出されたんですか」
「はい」
「アホデスネー。この後はゴーレムを30まで上げた後、水のダンジョンですか」
「そのつもりです」
「分かりました。水のダンジョンに行く時は水着よりも長めのブーツをおススメします」
「ありがとうございます」