6 始まりの塔
ランクの上げの前にお昼入れておこう。
「おじさん、ホットドッグみっつ」
「お嬢ちゃん、売っている俺が言うのもなんだが、ホットドッグ食べすぎじゃないか?」
「そうでもないですよ、朝食は別の食べましたよ」
「ほう、何を食べたんだ」
「フブフにクランペット、クロワッサンにジュレック」
「小麦粉多めじゃねえか、もっと野菜食え野菜。あとジュレックはデザートじゃねえ」
「何言ってるんですか、小麦粉は野菜じゃないですか」
「じゃねーよ」
「じゃあ、リンゴも下さい、リンゴ」
「八百屋かギルドの売店で買いな」
「リンゴは野菜じゃないですよ」
「知ってるわ」
「受付嬢さん、ここでランク20まで上げるとなると何回必要ですか?」
「私的には他の初級ダンジョンへ行ってほしんですが……、そうですね140回くらいかと」
「そうですか、ありがとうございます」
「えぇ……」
ランクが上がったからか、こん棒をツルハシに買えたからか、始まりの塔の一周が5分も早くなった。
これで1時間で12回。
今日明日でランク20まで上げられそうだ。
本日ダンジョン産のNゴーレムの70匹目を砕き終えると、ハーフアップにしていた髪を解いた。
今日の分終了。
「本日の換金額は金貨1枚と銀貨20枚になります。凄いですね、始まりの塔で金貨を稼いだひとを初めて見ました」
「ありがとうございます」
「褒めてないですよ。明日もこんな感じですか?」
「はい」
事件が起きた。
早朝から始まりの塔ランニングに精を出していると、一時間過ぎくらいから魔石が落ちなくなってしまった。
「受付嬢さん、受付嬢さん」
「おはようございます。もうランク上げを終えられたんですか?」
「そうではなくて、魔石落ちなくなってしまいました」
「は?」
えい、っと受付嬢さんがスライムを殴るとスライムは魔石を落とした。
私も続いてスライムを殴るとスライムは魔石を落とさなかった。
「セリナさん、何回目ですか?」
「おとといも含めると101回目ですね」
「それかも知れません。それにしてもダンジョンで稼げる回数制限があるとは、世紀の大発見ですね!」
「そうですか……」
「金貨1枚あれば容量大き目のマジックバック買えるので、水をつめて火のダンジョンに行ってみたらいかがですか?」
「……はい、そうします」
「あと代えの下着もあった方がいいですよ」