3 NゴーレムLevel1
「がっかりしましたか?」
戻ってきて受付嬢さんの一言目がこれである。
「ええ、とても」
「探索者カードを見せると鐘楼の入場料タダになりますよ」
「そうなんですか、ありがとうございます」
「それでは精算いたしますね」
「お願いします」
道中手に入れた石たちを受付嬢さんに提出する。
「Nスライムの魔石小が5つ、Nスライムの魔石中が3つ、Nゴブリンの魔石小が3つ」
あの人型ゴブリンというのか。
「Nゴレームの魔石小がひとつ、おやNゴーレムの玉が落ちたんですか珍しいですね」
「珍しいということは高価買取ですか?」
「いいえ、1000回倒して出るくらいなのですが、所有者が紐づけられてしまうのです。なのでギルド内外でも買取はしてはいませんね」
「ではこれはどういうものなんですか?」
「広い空間で使用するとまた再戦できるんですよ」
「魔石は落ちますか?」
「残念ながら落ちませんね、ただ倒すごとにレベルが上がるので、高くなったレベルの個体を倒すとレアなアイテムを落とすらしいですよ」
「らしいんですか?」
「はい、誰もレベル上げをしないようでそう噂されているだけです」
「はい、セリナさん、銀貨2枚と銅貨3枚になります。初のダンジョン攻略おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「次のダンジョンはどうされますか」
「考えていなかったですね、他の人はどうされてますか?」
「そうですね、みなさんこの街から3日ほど離れた火のダンジョンへ向かいますね」
「なるほど、あの長い塔には挑まないんですか?」
「あの長い塔は基本的に世界のダンジョンを攻略して回った人しか挑めませんね。反対側にある地下へと続く穴も同じです」
反対側にもダンジョンがあったんだ……。
「考えるついでにゴーレムと戦ったらいかがですか? 玉での魔物に負けても命を落とすことはありませんし」
「なるほど、そうします」
「ではギルドの訓練所に案内いたしますね」
受付嬢さんに案内されてやってきた訓練所。
ただここの広い空間もひとひとりおらず閑散としていて、少し緊張が走る。
それではご自由にと言って受付嬢さんは戻って行った。
ゴーレムの玉を強く握ると目の前に先程顔を合わせたNゴーレムが現れた。
先程と同じように足をこん棒で叩くと、片足が飛び散りNゴーレムはズッコケた。
デジャヴデジャヴ。
そして叩きやすくなった頭を叩くとNゴーレムは消え去った。
何も落とさずに。
悲しい。
また玉を強く握ると目の前にNゴーレムが現れた。
先程同じように足を叩いて、顔を叩く。
今度はゴーレムのいた場所に灰色の土が残った。
やった。
一応鞄に詰めて置こう。
あと8回ほど同じように、ゴーレムを倒したがゴーレムが落とし物をしたのは2回目のみだった。