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1 探索者になる

「おじさん、ホットドッグひとつください」

「あいよ、銅貨2枚ね」

 銅貨2枚を手渡して、薄葉紙に入れられたホットドッグを受け取る。

 ケチャップ多め、ピクルス少なめ、あたりだ。

「嬢ちゃんは成人したてには見えないけれど、探索者にでもなりに来たのかい?」

「ええ、暇になったので」

「なるほどな。俺の妻も子育てが終わってから探索者になって世界を駆け巡っている。運がいいのか悪いのか……。ここのダンジョンというよりは、今日は死にやしないだろうけれど、死ぬなよ嬢ちゃん」

「ありがとうございます。それで探索者になる場所ってどこですか?」

「ああ、ここからでも馬鹿みてえに長い塔が見えるだろ? その根元にあるよ」


 馬鹿長いという言葉は今まで生きてきた中で聞いた事はなかった。

 馬鹿でかいならばよく聞く。

 けれどもそれは馬鹿長いが似合っていた。

 空へと伸びて伸びて伸びて、頂上があるのかさえ分からないほど、どこまでも長い塔があった。

 山を挟んだ隣国からでも見えそうだ。


 塔の根元に向かって歩いていくと、長い塔の入り口をふさぐようにして建てられた建物が見えてきた。

 そして塔のとなりにも背が低い塔があった。

 街の鐘楼の方が高いな。

 建物の中に入ると静けさのあまり私の足音がコツンコツーンと響き渡る。

 こんなに閑散としているものなのだろうか。

 窓口は3つあるのに、ひとりしかついていないのでそこへ行くしかない。

「こんにちは。ご用件をお伺いします」

「登録をお願いします」

「冒険者ですか? それとも探索者ですか?」

「違いってあるんですか?」

「はい、冒険者は街の内外の依頼を主に担当します。探索者はダンジョンのみの担当ですね」

「探索者を」

「はい、では指を出してください。ちくっとしますよー。はい、ありがとうございます。こちらの簡単な用紙をお書きになってお待ちください」

 ルーズサイドテールの柔らかい雰囲気を纏った人妻っぽい受付嬢さんに流れるまま、ごくわずかな血を取られた。

 出された用紙は、名前性別年齢の3項目しか書く場所がなく、本当に簡単な用紙だった。

 そして30秒も経たないうちに受付嬢さんは戻ってきた。

「はい、はい、はい。オッケーです。本日からセリナさんは探索者となります。カードの再発行は銀貨1枚になるのでお気を付けてください」

 ホットドッグ5個、気を付けないと。

「それでこれらか何をすればいいんですか?」

「そうですね、皆さん売店で武器を買われてから、あちらの始まりの塔へと向かわれますね」

 受付嬢さんは受付隣にある通路を手で指した。

 なるほど。

 先ずは売店。

「お姉さん、武器のおすすめってありますか」

「うふふ。お嬢さん、始まりの塔かい?」

「はい」

「みんな剣を買っていくけれどこん棒がおすすめだね」

「ならこん棒をひとつください」

「はい、銅貨5枚だよ」

 こん棒を受け取る。

「他に買っておいた方が良い物はありますか?」

「お嬢さんは魔法は使えるかい?」

「いいえ」

「そうかい、なら水筒と水、魔石を入れるようの鞄だね」

「ではそれをひとつずつ」

「あいよ、合わせて銀貨2枚だよ。駄目そうだったら引き返して何回でもリトライしなよ」

「ありがとうございます」

 売店のおばさんに見送られて始まりの塔へ。

 何かしら生きがいが見つかるといいな。

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