「拝啓、本当の私」
「またやってしまったか」雨が降りしきる路地裏で二つの影が居た。一人はまだ幼さを残した少年そしてもう一人はその少年の目の前で赤い液体を滲ませながら倒れる男の姿だった。
少年の手には刃渡り20センチ程のナイフが握られておりその切っ先には目の前の男の血が滴っていた。男はピクリとも動かない恐らく既に死んでいるのだろう。少年はため息をつきながら男の身体を引き摺りながら路地裏の闇に消えた。
「これで30人目か片付ける僕の身にもなってくれよ」
少年は路地裏のマンホールを開けると冷たくなった男を投げ捨てた後雨に打たれながら帰った。
「次のニュースです今日貯水池から男性の遺体が見つかりました。被害者は心臓を一突きで殺されている所から最近世間を賑わす殺人鬼ハート・ショットの犯行と見て捜査をしています。今回で13人目の犠牲者と言う事もあり警察は夜間の外出を控えるよう呼びかけています。」
テレビのニュースを見ながら少年は深くため息をついた。
「ごめんよ、僕も不可抗力だったんだ」少年が嘆いていると突然部屋のドアが蹴破られる。
「おい!ハート・ショット!てめぇ昨日抜け掛けしやがったな!」上はメタルバンドがプリントされたシャツ下は下着と目のやり場に困る格好をした緑髪の少女が入ってきた。
「なんて格好してんだよ!ズボンくらい履けよ!」ハート・ショットと呼ばれた少年が少女に慌てながら言った。
「うるせえ!んな事ぁ関係ねえんだよ!昨日の仕事はお前と俺とで殺る筈だっただろうがよ!」乱暴な言葉を吐きながら少女が少年を突き飛ばし馬乗りになる。
「止めろ!止めろよ昨日は悪かった気付いたら殺してたんだよ」少年が必死に弁明する。
「へぇ~ならお前はいつもの様にもう一人のお前が殺ったって言い訳するんだ?」少女が顔を近付けながら言う。
「そ、そうなんだよだから今回も不可抗力なんだ。だから許してよサンディ?」辺りに沈黙が流れる。
「それで納得できる程俺は人間出来てねえんだよ!」
サンディは少年の首に手を掛け絞める、少年は必死にタップする。
「や、め、て、僕が、悪、かった、よ、、さ、ん、デ、ぃ、」少年が必死に声を絞り出し謝罪する。それを聞いてサンディが手を話す。
「ゲホ、ゲホ、」少年が咳き込む中サンディが見下ろしながら言った。
「脱げ」「え?」「脱げって言ってんだよ!」サンディが少年の服に手を掛けながら言った。
「止めてよサンディ!まだ朝だよ!」少年が必死に抵抗する。
「うるせえ!てめぇが悪かったって言ったよな?ならヤラせろよ!」サンディが少年の服を引き裂く。少年の色白の肌に指を這わせる。
「女の俺から見ても綺麗な身体してるよなお前。」サンディの不意な褒め言葉に少年が頬を染める。続けてサンディが少年の頬を優しく撫でながら言う。
「顔も童顔で女みてえだし、髪も黒くて柔らかいし知らない奴が見たら完全に女だよお前。」
「そんな人の気にしてる事全部言うなよ」少年が顔を背けながら言う。
「でもこんなに可愛い顔してこっちはしっかり男だよな!」サンディはそう言うと少年のズボンに手を入れる。
「ちょ、止めろよ!本気で怒るぞ!」だがサンディは少年の静止も聞かず触り続ける。
「そんな事言って何時もより固くなってるぜ?」サンディがイタズラっぽく笑うのを見て少年の顔が赤く染まるそしてサンディの手の中で果ててしまった。
「止めろって言ったのに、、」少年が羞恥心に満ちた顔をするのをよそにサンディが服を脱ぐ。
「まだ終わってないぜ?次はお待ち兼ねの本番だ何時もみたいに可愛いがってやるよ」サンディが耳元で囁く。
「分かったよ、好きにしろ」少年も満更でもない様子で答える。それを聞いたサンディは笑みを浮かべながら少年に覆いかぶさり事を始めた。
「結局ギリギリの時間に着いたじゃないかよ」
「何だよお前だっていい声で鳴いてたじゃねえかよ」
二人は今街の裏路地にあるBARの前に来ていた。店の名前は「HONEY・Bee」特別な客だけが入るのを許される秘密クラブだった。
「いらっしゃい、何だサンディとユーリじゃねえか前回はユーリ一人で殺ったって聞いたぜ?」カウンターから屈強な男が言った。
「うるせえよRJ!何時もの通りハート・ショットが俺に相談も無く終わらせやがったんだよ。」サンディが不機嫌そうに店の主人であるRJに悪態をつく。
「まあまあ落ち着けよ、俺の奢りだ飲めよ」RJがカウンター席に座るサンディにグラスを出す。サンディはぶっきらぼうにグラスを取ると勢い良く飲み干す。
「ユーリはこれだよな?」そう言うとユーリにはレモネードが入ったコップを渡す。
「ありがとうRJ」ユーリはそっと受け取ると一口飲む。
「全くサンディは少しはユーリを見習えよガサツなお前よりお上品だぜ?」それを聞いてサンディが静かに中指を立てる。
「それで次の仕事はあるか?」サンディが切り出すとRJが2枚の写真を出す。
「これが今回のターゲットだ一人はこの街の娼館を仕切る男レイモンド・チッチ、こいつは未成年のガキを薬漬けにして働かせたり売り飛ばしたりする屑だ、依頼人はこいつを考えうる限り苦しめて殺して欲しいとさ」
「そして二人目は現役判事のフィリップ・トーチャー、表では誠実で正義の判事と言われているが本当の顔は金で正義を執行する汚職野郎だ。こいつのせいで多くの善良な市民が不当な判決を受けているそしてこいつは最初のターゲットのレイモンドの娼館の常連でな、小児性愛者の変態野郎だ。依頼人は見せしめを希望している。」
RJの説明を聞きサンディがレイモンドの写真を取る。
「こいつは俺が殺るよ女を食いものにする奴は許せねえからな。それに丁度玩具が欲しかったんだ。」サンディが笑みを浮かべながら言った。
「それじゃあ後一枚はユーリに任せるぜ」RJがもう一枚の写真を渡す。
「分かったよ、本当は殺りたくなんてないけど仕事だしね」ユーリが余り乗り気になれていない時だった。
「お嬢ちゃん達今暇かい?」後ろの席に座っていた酔っ払いの男3人が話しかけて来た。
「報酬はいくらだ?」
「レイモンドは1万ドル、フィリップは5万ドルだ」
「マジかよ!ユーリさっさと終わらせようぜ!」
「う、うんそうだね」3人は男達を無視して話す。
「オイ!無視すんじゃねえぞアバズレが!俺達が誰か分かってんのか?」男がドスを効かせた声で凄む。
「すいません!何か用ですか?」ユーリが振り向き謝る。
「お嬢ちゃん達俺達と遊ばねえか?」
「お嬢ちゃん達って僕とサンディの事ですか?」ユーリがサンディを見て自分を指で指しながら言った。
「そうだよ丁度いい薬があるからよ天国に連れてってやるぜ?」男が下卑た笑みを浮かべながら言った。
「あの、僕男なんでお断りしますね」その言葉を聞き男が笑いだす。
「冗談にも程があるぜそんな可愛い顔して男なわけねえだろう?なんなら確かめてやろうか?」男がユーリの手を掴もうとした瞬間。
ゴキ、、、突然鈍い音がして男が崩れ落ちた。
「さっきから大人しく聴いてりゃあ調子に乗りやがってよ!良いか!こいつは俺のなんだよ!指一本でも触れようってんなら殺すぜ!」激昂したサンディが慌てるユーリを抱き寄せながら言った。足下に転がる男は首が曲がり死んでいた。「サンディ、死体の処理代は報酬から引いておくからな」RJがうんざりした様に言った。
「そりゃないぜ!向こうから仕掛けて来ただろう?彼奴等に払わせろよ!」サンディとRJが言い合ってる最中に残りの男が銃を抜く。
「俺のダチを良くもやりやがったなクソアマが!ぶっ殺してやる!」男が引き金を引く寸前ユーリが俯きゆらりと身体を揺らすそして一瞬で男の懐に入ると「ごめんね」そう言うと二人の男の間を通り抜けた。
「ユーリ、いやハート・ショット!また殺ったのかよ!?」サンディが声を掛けるとユーリが顔を上げて微笑む。
「サンディちゃん久しぶりだね!コイツラなら片付けたよ!」見ると男達は胸から血を流し立ったまま死んでいた。
「ハート・ショット、お前からも引いておくからな」RJが頭を抱えながら言った。
「お前、前回のターゲットも抜け掛けしたよな?何で俺に言わねえんだよ!」
「イジメないでよサンディちゃん、ごめんね一人で殺った方が早いと思って殺しちゃったんだ。」
ユーリの姿をしているが明らかな別人これがユーリのもう一つの人格である殺人鬼ハート・ショットだった。
「今回は手分けしてやるぜ良いな?俺はレイモンドを捕まえてスナッフフィルムを撮る。お前は変態判事を殺して晒し者にしろよ?」サンディとハート・ショットはレイモンドの経営する娼館の裏へと来ていた。
「分かったよ、でも一つだけお願いして良い?」ハート・ショットが上目遣いで言う。
「何だよ?」
「仕事の前にキスして?」
サンディは無言でハート・ショットに熱いキスをプレゼントする。
「続きはお前がユーリに戻ってからな」
「えぇ~ユーリばっかりずるいなぁーでも良いか記憶は全部引き継いでるし、それにサンディちゃんに攻められて喘いじゃうユーリも可愛いし」二人はRJから聞いた秘密通路を通って娼館に入ると二手に分かれた。
娼館の中は薄暗い照明に照らされていた、廊下の壁には番号が振られた部屋があり部屋の中から啜り泣く声や、悲鳴、そして男の笑い声が響いていた。
ハート・ショットは手に持った地図を見ながらターゲットの居るVIPルームへと着いた。
「ここに居るんだね、早く終わらせてサンディちゃんに褒めて貰おうっと♪」ハート・ショットはドアの鍵を壊して部屋へと入る。
「ママ!パパ!痛いよお!助けて!」部屋の中で幼い少女の声が聞こえる。
「ママとパパは居ないよ、さあおじさんと遊ぼうよ!」
「失礼します!」ハート・ショットが空気を読まず入ると裸の状態で手足を切り落とされた幼い少女の前で脂に塗れた醜悪な男が血のついたノコギリを持って立っていた。
「誰だお前は!どうやって入ったんだ!」判事が慌てて叫ぶ。
「助けて、痛い、、痛いの、、助けてよ!」
この地獄のような光景を見てもハート・ショットは笑みを浮かべていた。
「良く頑張ったねお姉ちゃんが今から楽にしてあげるね」ハート・ショットは優しく囁くと少女が苦しまない様に心臓を優しく突いて殺した。
「何をするんだ!まだ私は楽しんでいる最中に殺してしまうとは!貴様私がフィリップ・トーチャーと知ってやっているのか!?」フィリップがまくしたてる中ハート・ショットは冷静に言う。
「おじさん、この娘がどんな気持ちで助けてって言ったか貴方には分かる?」
「そんな事知った事か!そいつは人間じゃない!私にとっては唯の人形だ!そんな事より自分の心配を、、」
そこから判事の意識が無くなった。
「ハート・ショット終わったか?こっちは終わったぜ?」
「あ、サンディちゃん!いい所に来たね見てよこれ!」
ハート・ショットが嬉々として言った先には手足を切り落とされ水槽に入れられた判事が居た。
「こ、殺してくれ、たの、む、」判事は精一杯力を振り絞って言った。
「駄目だよおじさん、おじさんにはあの娘の苦しみを味わってもらわないと。」ハート・ショットは言いながら水槽の中にあるものを入れる。それは生きた蛇だった。
「知ってる?蛇って光を浴びると嫌がって隙間や暗がりに入りたがるんだって」判事はこれから起きる事を察し必死に懇願する。
「お望み通り楽にしてあげるねおじさん♪」ハート・ショットがライトを照らすと蛇達が一斉に光を嫌がり判事の穴と言う穴に入り込む。そしてVIPルームに判事の断末魔が響き渡るのを聴きながら二人は娼館を後にした。
「仕事も終わったしそろそろ戻るね、また会おうねサンディちゃん」
「ああ、また会おうぜハート・ショット」
ハート・ショットが俯いた数分後いきなり走り出し洗面台に行くと盛大に嘔吐した。
「ユーリ大丈夫か?」サンディがユーリの背中を優しくさする。
「僕はなんて酷い事を、僕は最低だ!」ユーリが震えながら後悔の言葉を吐露する。
「確かにお前の中のハート・ショットは怪物だ、だけどな」サンディが震えるユーリの顔を上げキスした後に言った。
「だけどそれを含めてユーリお前を愛しているよ」
「僕もだよサンディ」
二人はそう言うとベッドのある部屋へと向かった。
「言っとくけどな、セックスするのはお前とだけだからな」サンディがユーリをベッドに押し倒して言った。
「うん、僕もサンディとだけしかしないよ」
二人はお互い笑うと服を脱ぎ部屋の明かりを消した。
拝啓、本当の私 完




