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一人語り  作者: 二階堂曉
1/17

「スクール•デッド•ウォーカー」

「おい、ヘンリー本当に始めるのかよ?」


「何だ?今更ビビってんのかよ?」


俺と友人のデビッドは夜のハイスクールにある検証をしに来ていた。


俺達はアメリカでは有名な心霊研究家であり今回も数年前に起きた、銃乱射事件によって48人の犠牲者を出し廃校になったモイーズ•ハイスクールに来ていた。


校内は立ち入り禁止になっていたが俺とデビッドはいつものように、監視カメラを遮断してチェーンで巻かれたドアをこじ開け侵入した。


校内に入ると辺りには血の跡が散乱しており、壁には無数の銃痕と犠牲者達に対する献花の後があった。


「デビッド、見てみろよ!辺り一面血痕の跡があるぜ?それにあの壁人の形に見えないか?」


俺は懐中電灯片手に辺りを照らしながら、カメラマン兼相方のデビッドに言った。


「噂通りヤバイ所だな、本当にあれをやるのかよ?」


「勿論だ!さあ、最も凄惨な現場と噂の体育館まで行くぞ!」俺は嫌がっているデビッドの事などお構い無しに先へと進んだ。


このハイスクールで何故この様な事件が起きたのかと言うと、この国では良くある話だった。


当時この学校にはスクールカーストがあり、そのカースト最上位の者達によるイジメが原因だとされた。


学校側は学校のイメージダウンを恐れ被害生徒の心のケアを行わず、逆に加害生徒達には大した処分が降りなかった。そう言った流れがあり被害生徒は家にあったショットガンを持って学校に行き、加害生徒の頭を吹き飛ばし、ただ見ているだけで、助けもしなかった同級生も殺してまわったのだ。


被害生徒は教師や同級生合計48人を殺すとその死体を体育館に集め、犠牲者の血で円陣を描き何か呪文の様な言葉を吐き、そして自分の口に銃口を咥えて頭を吹き飛ばし死んだと言う。


「その時の円陣がどうやら悪魔崇拝の儀式と酷似してたらしいぜ」


「何だそりゃ?随分と気色の悪いもん描いて死んだんだな」


俺はデビッドに事の顛末を説明しながら例の体育館の前に来ていた。


「それじゃあ、開けるぜ?」


「ああ、ちゃんと撮ってるよ」


俺はデビッドに確認して、体育館の錆びた扉を開いた、扉はギイぃぃと不快な音を立てて開いた。


「何だこの臭いは!」


「俺も吐きそうだぜ!」


扉を開けると瞬間むせ返る様な悪臭がした、その臭いは鉄の様な臭いと生ゴミを合わせた様な独特な香りであり、俺とデビッドは思わず顔を背けた。


「相棒大丈夫か?」


「ああ、さっきよりはマシだ」


俺とデビッドは体育館を照らした、中を見ると当時の現場を維持しているらしく。辺り血の跡が広がっていた。


「あれは人の形か?」


「止めろよ!気味悪いだろ?」


俺は体育館の中央を照らしながら言った。


そこは中心から5メートル圏内に掛けて、人の形をしたシミが広がっており当時の犠牲者達の扱いを物語っていた。


「あれが悪魔崇拝のペンタクルか」


俺は中心に近付きながら歩いていた、懐中電灯で中央を照らすと円陣があり、そこに描かれた文字は古いラテン語の様だった。


「我、生贄を欲する者なり、汝、供物を捧げよ」


「お前読めるのかよ!」


「昔大学で古代文字を専攻していてな、簡単な文章なら読めるぜ」


俺はデビッドのカメラに向かって言った。


「それでは、我々ゴーストハンターズはあの有名なバージニア州にある廃校モイーズ•ハイスクールに来ております!」


「今回の企画はですね、この学校に眠る48人の霊を呼び出しその無念の言葉を聞き、無事に天国のイエス様へと送ろうと言う企画です!」


俺はカメラ見ながら続けた。


「これを見て下さい、ここが犯人のウェスター•トーチャーが行ったとされる、悪魔崇拝の儀式の跡です。」


俺はライトで照らしながら指を差した。


「とてもおぞましいですが、我々には神が見守って下さっていますので安心です、では早速降霊の儀を行いたいと思います!それでは少々お待ち下さい!」


俺はデビッドに合図を送りカメラを止めた。 


「お前、相変わらず凄いな俺なんて、ビビって一言も話せねえよ」


「それより準備に取り掛かるぞ、机とウィジャ盤を出してくれ。」


デビッドは背中のリュックから折りたたみ式の机と椅子、そして降霊術用の呪具であるウィジャ盤を出した。


「それじゃあ、本番始めるぞ?1.2.3」


俺の合図と共にデビッドがカメラを回す。


「皆さん、お待たせしましたそれでは今から降霊術を行います。」俺はロウソクを二つ灯すと机の両端に置いた。そして、机の中央に置かれたウィジャ盤を操作する。


「それでは、リクエストがあればコメントで教えて下さい。」俺はライブ放送中のカメラに向かって問いかけた。


「コメントを読みます、犯人を呼び出せ分かりましたやって見ます。」俺はウィジャ盤の操作用の小物に手を掛けた。


「それでは、ウェスター•トーチャー今この場に居るのか?居るならYESに居ないならNOに入れろ。」


俺はいつもの台詞を言った、いつもなら場を盛り上げるために俺がわざと動かすのだが、今回は違った。


俺の手の中の小物が勝手に動きなんと、YESに入ったのだ。


俺はデビッドを引きつった顔で見たが、デビッドはいつもの俺の演出だと思い気付かない。


「YESに入りましたので、ウェスターはこの場に居ます。」俺は背筋が凍るのを感じながらも、次のコメントを読んだ。


「次のコメントは犠牲者の魂はどうなった?です、では質問します。ウェスター?犠牲者の魂はどうなった?」すると小物がまた勝手に動き出す、そして一つずつ文字を指す。H、E、L、L。


「HELL、地獄?犠牲者達の魂は地獄へと言ったのか?」俺が聞くと、凄い勢いでYESを指す。


「何故そんな事をしたんだ?」俺が聞くとまた動き出す。D、E、M、O、N


「DEMON?悪魔に捧げたのか?」するとまたYESにを指す。俺は怖くなり手を離したすると小物が一人でに指していく。


N、E、X、T、


Y、O、U


「次は、お前?」


俺は怖くなりデビッドに合図をしてカメラを止めようとしたのだが。


「おい!何で止めないんだよ!」


「やってるよ!でも止まらないんだ!」


機材がおかしくなり配信が止まらない、その間にも凄い勢いでコメントが流れる。そしてそのコメントがおかしい事に気付いた。


「おい、おかしくないか?なんでカメラのバッテリー外したのにコメントが止まらないんだ?」


俺がそう言った瞬間コメントがピタリと止みそして。


KiLL


「KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、KiLL、、、、」


「何だよこれ!カメラを捨てろ!」


一斉にコメントがKiLLつまり殺すの文字で埋め尽くされたのだ。


そして、動かない筈の校内放送が響き渡る。


「良く来たな、49人目と50人目お前達2人で俺の呪文は完成する!今から殺しに行くからな!ハハハ!」


その言葉を聞き俺達二人は体育館を出ようとした。


だが、体育館の奥の方から大量の腐乱した人間の死体の様な者が歩いてこっちに来ていた。


「何だよあれ!ドッキリじゃないのかよ!」


「そんなわけあるか!逃げるぞ!」


俺とデビッドは来た道を目指して走ったのだが。


「そこら中化物だらけだ!お前のせいだぞ!お前がこんな所に連れてきたから!」


「うるせえ!俺だって分からねえんだよ!」

二人で言い争いをしていたのだが。


「俺はもう付き合いきれねえ!俺は一人で行かせてもらう!」


「おい、待てよ!デビッド!」


デビッドは俺の静止を聞かずに走って行ってしまった。


「ああ、クソ!来るんじゃねえ!化物共!」


俺は化物達から必死に逃げて入り口まで来た。


「良し!今なら逃げられる!」


扉を開けた瞬間だった。


ドンと鈍い音がして、俺の脚に激痛が走った。


「ウグぁ!何だよ!」見ると俺の右脚が吹き飛んでいた。


「よう!50人目!お前は逃さないぜ!さあ彼奴等と仲良くしろよ!」その言葉と共に黒い角が生え、黄色の瞳をした男がショットガンを片手に廊下から歩いてきた。


「これで俺は、本当の悪魔になれる!さあ来いよ!パーティーの主役何だからよ!」俺はその男になすすべ無く連れて行かれた。


そして、校内には俺とデビッドの痛みに苦しむ悲鳴が木霊していた。


「スクール•デッド•ウォーカー」


「完」


次回「ブラッディ•パーティー」

このあと3作品程控えております、読んで下さっていた方々や、楽しみにしていた方々にお詫び申し上げます。

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