表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/105

40.お家では「ただいま」と「おかえり」

 お家は帰ってくる場所で、特別だと聞いた。メリクが開いた扉は赤色、僕が決めた色だ。手を繋いで中に入る。抱っこから下された時はびっくりしたけど、自分の足で入ろうと言われて頷いた。


 入り口を入った途端、何かが僕に触れた気がする。薄くてぺたっとした何かを抜けたら、木のお部屋があった。前に僕が住んでいた小屋より大きい。ぐるりと見回す。上から光が入っていて、精霊がいっぱい飛んでいた。


「ここで寝るの?」


「ここは玄関だ」


 玄関は帰ってきた時に、ただいまを言って、おかえりを言われる場所。教えてもらった言葉を口にする。


「ただいま?」


「ふふっ、おかえり。イル」


 胸がぐわーっとなって、ふわふわする。嬉しいのかな、たぶん。僕が帰ってきたら、メリクがおかえりを……あれ? 今はメリクも帰ってきた。じゃあ、メリクもただいまをしないと。


「メリク、おかえり?」


「ああ、ただいま」


 メリクがにっこり笑って、僕は胸の奥が温かくなる。むず痒くて走り回りたい気分だよ。手を繋いで進んだら、広いお部屋があった。ここが居間で普段過ごすお部屋だって。その奥に食事をする部屋があって、作るお部屋もある。


 いっぱいお部屋のある家なんだね。きょろきょろしていると、お風呂も見つけた。あとおトイレも。それから……ここはベッドのお部屋だ!


「こっちの部屋は服をしまおうか」


「うん、僕もやる」


「もちろんだ、イルに手伝ってもらうさ」


 よかった。僕が手伝っても邪魔じゃないみたい。僕、邪魔は嫌いなの。お部屋には机や椅子があったけど、このお部屋だけは何もない。メリクが黒い穴から服や棒を取り出して、準備を始めた。


 部屋に棒を取り付けて、箱を並べる。その中へ僕が服を運んだ。お座りして畳んで、並べるのは楽しい。色が違う服を綺麗に並べたら、わくわくした。用意された引き出しの中に、靴も置いていく。


 僕のを入れた箱と、メリクのを入れた箱。それからにゃーは服を着ないけど、首輪があるんだって。にゃーは嫌がったけど、メリクが睨んだら大人しく着けた。赤い色、可愛いと思う。扉の色と同じだから、ちゃんと帰ってこられるよ。


 いっぱいしまった箱は、棚と呼ぶんだ。僕が何か知らなくても怒らないから、メリクと話すのは楽しい。手を繋いで歩いた家の中を、今度はにゃーと歩き回った。すごいね、広いし綺麗だよ。砂もないし、葉っぱも落ちてない。


 ベッドに登ろうとしたら、届かなくて。じたばたする僕を後ろからにゃーが押した。半分登れた。大きなにゃーは、ひょいっと飛び乗って、上から僕を引っ張る。するんとベッドに登れた。縁に座ると足が届かない。


 靴を脱いで寝転がった。ごろごろして、にゃーに抱きつく。いっぱい撫でて、あふっと欠伸をした。眠くなっちゃう。


「イル、寝てていいぞ。ご飯を作ってくるからな」


 作るの? お手伝いしたい。眠いのが飛んでっちゃった。お尻で滑って降りた僕に、笑いながらメリクが靴を履かせる。


「僕もつくる」


「サラダを手伝ってほしいんだが、頼めるかな?」


「うん」


 お手伝い、いっぱい出来るようになりたいな。サラダもちゃんと覚えるよ。まずは手を洗って、椅子の上によじ登った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] う~~~~毎日かわいいが過ぎる!!(笑) 綾雅さん、一個だけ。 女の子なんだから、お尻で滑るのそろそろ・・・。 可愛いんですよ!確かに悶えるくらいかわいい!!です。でも・・・。(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ