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〜機能不全家族〜
今日父が死んだ
老衰の為、入院していた病院で
私達夫婦と孫家族に囲まれ
安らかな顔で旅立って行った。
泣きじゃくる娘達に孫
声が大きく、明るい人だった
義理人情に厚く、涙もろい優しい人だった
なのにこんな理不尽な事ってあるだろうか?
父はこんな所で死んでいい人間ではない
全て終わったというのに
私はこの世界に絶望した。
全ての始まりは60年前まで遡る
シングルマザーとして昼は保険の外交員
夜は洋裁の仕事で生計を立てていた母
寝る間を惜しんで働く母を見て
育った私は、小学三年生の時には
学校から帰ると、遊びになど行かず
干してある布団を取り込み
洗濯物をたたみ
炊飯器にお米をセットし、宿題をしながら
母を待つような子供だった。
母は私の為に
私は母の為に
お互いが足りない所を補いながら
ずっと2人で助け会って生きていけると信じていたし
母も同じ気持ちでいてくれてると思ってた。
なのに…
ある日、新しいお父さんになる人よと母が
若い男性を連れて来た時、私の中で何かが
音を立てて崩れる気がした。