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こんなシンデレラは嫌だ その1
いつも継母やその連れ子にこき使われて、みすぼらしい格好をしたシンデレラ。魔法で美しいドレスとガラスの靴を手に入れ、舞踏会に向かいます
魔法使いのおばあさんには「12時の鐘がなり終わるまでに帰らなければ魔法は解けてしまうよ」と言い聞かされていました
キーンコーン
舞踏会の会場に時計の鐘が鳴り響きます。
王子様との楽しいひと時に夢中になっていたシンデレラは我に返りました。
「12時の鐘がなり終わる前に帰らなければ魔法は解けてしまうよ」そういった魔法使いのおばあさんの言葉を思い出しました。
「わたしは12時までにどうしても帰らなければなりません。楽しいひと時を本当にありがとうございます」
そう言って慌てて走り出そうとするシンデレラに王子様が言いました。
「お嬢さん、そんなに慌てなくても今のは11時半の鐘ですよ」
「え!?左様でございますか?でも、この機会なのでこれにて失礼します」
そう言ってシンデレラは静々と舞踏会の会場を後にします。
王子様が彼女を探す手がかりは、何も残されていませんでした。