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二十七、次なる朝へ。

 ゆっくりと胸を上下させ、エボニーは考えていた。ドーリーの言葉なんて何も聞こえず、深い思考の中に落ちて行く。


(…………体は神クラスでも俺は俺だ。そもそも、元の世界に帰れたらこの肉体ともおさらばなんだから、深く考える必要はないんじゃないのか?ドーリーと戦わずに済んだのはラッキーってことで)


 考えが纏まってからの彼の行動は速かった。上体を素早く起こし、庭園に移動しようとする彼を止めるのはドーリーである。


 自身の話を聞いていなかったどころか、帰ろうとしているのだ。「あれ?あの……」とエボニーの背へと腕を伸ばす彼女は、もう一度彼へと問いかけた。今度は聞こえるように、大きな声で。


も着いて行ってもよろしいでしょうかー」


 それに振り返ったエボニーは虚をつかれたような表情を浮かべたが、考える素振りもなく、当たり前と言わんばかりの表情で口を開く。


「いや、神なんだから来ちゃ駄目でしょ。これ以上変に目立ちたくないんだけど」

「ですから変装をして……」

「駄々洩れの神気?威圧感みたいなのをどう隠すんだ」

「い、威圧……ですか…………」


 肩を落とすドーリーを見てエボニーは笑ったが、彼から出てくる言葉は無常だ。


「いいや、大丈夫」


 そう言って歩いてくエボニーは憑き物が晴れたかのようにスッキリとしていて、屋敷を出て雨の中を突き進んでいく。濡れるのなんて恐れることもない。彼の目には、次の目標が映っていた。


「えぇ……」と言うドーリーの声が、薄く雲がかかった空へと消えていく。

 エボニーを送るボロ舟の船頭も、主人を気にするように時折背後を振り返るのだった。

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