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大団円の裏でなんだか不穏な空気が流れているみたいです①

 サイファー公国郊外にある国立公園。


 季節を彩る花々やハーブといったものが緩やかな丘陵一面で育てられており、自生している植物と合わせ見る者の心を穏やかにしてくれる。


 駆け抜ける風。


 息を吸い込めば運ばれてきたハーブの香りと相まって清涼感が胸一杯に広がる。


 ここは国内有数のレジャースポットでありハイキングにウオーキング、キャンプにと様々な用途で愛される場所である。


 その中心から少し離れた場所。


 小舟行き交う湖畔にてマリアたちは集っていた。



「わっふ?」



 通り過ぎる小舟を指さしモフ丸が「あれ何ぞ」とギンタローを見やる。



「何々?『あの小舟は何でしょうとな?』何でしょうかバルバトス殿? 遊覧ボートには見えませんぞ」


「おう、ありゃ花の肥料や建築物の補修材やら清掃道具などを運ぶ船だ。なんたってここは公園の資材搬入の入り口だからよぉ」



 髭をなで丁寧に教えるバルバトスにギンタローは唸る。



「なるほど、だから人が少ない『穴場』なのですな、花園の『ばっくやーど』といったところと」


「もちろん一般人がここで遊んじゃいけねぇ、国に顔が利く連中にとってちょっとしたVIP席よ」



 防衛大臣やお偉いさんのプライベートスペース、周囲に一般人がいなければ気兼ねなく国防に関する話もできる、酒を飲んで失言してもなんとかなると笑い飛ばすバルバトス。


 お酒と聞いてギンタローも「オツですなぁ」と物欲しそうな顔をした。



「行き交う船を肴に一杯、お忍びで来たくなるのも頷けますぞ」


「お、イケる口かい? じゃあ今度一杯やろうや」



 酒飲み仲間が増えたと嬉しそうなバルバトス。モフ丸が自分も忘れないでくれと吠える。



「わっふっふ」


「あいすみませぬ、もちろんモフ丸どもの一緒ですぞ」


「うんまいジャーキー用意してやるからよぉ楽しみにしていな」


「わっふっふっふっふ!」



 そんな他愛のない会話をしながら老軍人のバルバトスはギンタローとモフ丸を隣に湖畔に腰掛け湖を眺めていた。家に居場所のない寂しい老人の余暇に見えなくもないが……それは思っても言わない方が良心というものだろう。


 バルバトスは感慨深げに語り出す。



「しっかし時代の流れかね、軍事機密を語る場所が今や孫たちのバーベキュー会場になるとはな。平和だねぇ」



 そんなバルバトスにモフ丸が小さく吠えた。



「わっふ?」


「ん? モフ丸のやつはなんて言ってんだギンの字」


「ギンの字ですか……もう少し『ぽっぷ』なあだ名が欲しいですぞ」


「贅沢言うねぇ。で、なんだって?」


「ふむふむ、『バルバトス殿は手伝わなくていいのか?』とのことです」



 みんながせっせと仕込みをしている方を指さすモフ丸。


 そこではマリアだけでなくサリー、ロゼッタらが和気藹々と肉や野菜を鉄串に刺し鉄板を拭いて入念に準備をしていた。


 バルバトスはバツが悪そうに頭を掻く。



「どーも料理はカカアに任せっきりでちょいと苦手でよ……いや、手伝おうとしたんだぜ。でもロゼッタのやつが皆が気を使うからって止められてよ」



 確かに年齢が四、五周りほど離れている国の重鎮、座って休んでいてくださいと言いたくなるのも頷ける。



「爺様はペット二匹がつまみ食いしないように見張っていてくださいなんていってよぉ、気を使ってくれているのが逆に寂しいというか」


「手伝えない寂しさ、心中察するに余りありますぞ。我も手伝いたいのですが子ギツネがキビキビ働いていたら素性がバレてしまうやもしれませんし」


「わふ」



 輪に入れず寂しそうに眺めるギンタローたち。


 そんなことなど気付きもせず、視線の向こうでマリアたちは下拵えに勤しんでいた。



「このイチゴミルクキンキンに冷えていやがるぜ……」


「会長、乾杯前に飲んじゃダメですよ」


「わーってらい、イメトレだよイメトレ」



 生徒会の二人の隣ではシャンデラ家の使用人であるリンがせっせとお皿を並べている。



「マリア様、上座はどのようにお考えでしょうか?」



 その辺が気になるリンに対しマリアはというと……



「別に適当でいいでしょ」



 実にあっけらかんと言葉を返した。



「適当って……お言葉ですがマリア様、バルバトス様をはじめそうそうたる面々が ―」


「いいのよ、無礼講なホームパーティだしさ」


「そう申されましても」



 食い下がるリンにマリアはピシャリと言い放つ。



「いいこと? バーベキューはビュッフェに近い立食パーティ。ドリンクは基本手酌。肉を焼いている時は『オゥ、ダディクール!』と感嘆の声を漏らす! これが親睦を深める鉄則よ」


「何を以って『オゥ、ダディクール!』なんですか、焼くのは皆じゃないですか」



 リンのツッコミ冴えわたる最中、マリアは意に介さずやる気に満ち満ちていた。


 そう、今日はマリア念願のホームパーティの日。


 前回のスピーチで多数の志願者を集めることができ、デルフィニウム高校の野望を阻止したマリアの陳情が通り、ついにミリィと接触できるチャンスを得たのである。



「いえ、しかしマリア様……」



 やはり体裁を気にするリンに対し台布巾などを準備していたキバがフォローしに来た。



「リン先輩、主催者であるマリア様の意向をどうか汲んでください」ペコリ


「あの先輩呼びはご遠慮ください……もう、わかりました」



 次期亜人の王からの懇願に折れるリン。


 マリアは感謝の弁を述べ、キバもそれに追随する。



「話がわかるわぁ、さっすがおリンちゃん」


「ありがとうございますリン先輩」


「勘弁してください……」



 仕える主のフランクさと次期亜人の王からの先輩呼ばわりにやりにくいことこの上ないリンだった。


 そこから少し離れた場所ではマリアに誘われたジャン、ウルフリック、そしてジルの面々も一緒にバーベキューの準備を手伝っていた。



「うんめぇ! ぬか漬けってあっさりしていて旨いなぁ!」


「あ、こらウルフリック! つまみ食いはダメでしょ! アネデパミ卿の作ったものを勝手に食べて後で怒られても知らないからね」



 そのやり取りを耳にしたキバはシュバババと駆け寄ってきた。ほんのり嬉しそうである。



「いえ、美味しく食べてもらえたのなら嬉しい限りです。でも他の方の分は残しておいてくださいね」


「おうよ! キバの兄貴!」



 その会話の隣でジャンとミリィが初々しい感じで一緒に準備をしていた。



「へぇ、あのサリーさんが義理のお姉さんなのか」


「えぇ、凄くできた人でちょっと壁を感じていたけど、やっと打ち解けられるようになったの」



 身の上話をしながら二人はコップを並べている。



「わかるぜ、大変だったろ」


「大変?」


「自分より凄い人間を目の当たりにして落ち込んじゃうってことさ、俺もつい最近味わって自分の弱さに打ちひしがれていたからな」



 そんなジャンをミリィがフォローする。



「でもジャン君は強いじゃないですか、あんな風に助けてくれて本当に感謝しています」


「……そう言ってもらえると嬉しいぜ。うん、焦っても仕方ない、俺も『ぬか漬け』みてーに手間暇かけて強くなってみせるぜ」


「そうね、ぬか漬けみたいにね」



 そんなやり取りをサリーとマリアは遠巻きに眺めていた。



「いい雰囲気ね」


「えぇ、いい雰囲気」



 ふさぎ込んでいた自分の義理の妹のミリィが明るい笑顔を見せていることに姉として微笑ましく思うサリー。


 マリアはそれに加えワルドナ主人公であるジャンが自信を取り戻してくれたことに安堵していた。



(とりあえず「俺なんてどーせ」モードからは抜け出せたみたいね、これでウチの学園に来てくれるかな?)



 が、最悪のイレギュラーは回避できそうだと思う反面、新たな不安が芽生えていた。



「それはよかったんだけど……」



 チラリとマリアは横目で別の方を見やる。


 ジルがウルフリックやリンと一緒に和気藹々とバーベキューの準備をしている姿がそこにあった。


 マリアはワルドナのヒロインであるジルをガン見して思案する。



(新しい問題があるのよね、ジャンのことを好きなジルちゃんの胸中やいかに)



 ジル。



 ワルドナのヒロインであるジャンの幼馴染。


 昔から好意を寄せている彼女はゲーム中でも嫉妬深い行動がよく目立つ。鈍感な主人公ジャンはその好意に気が付かずジルとプレイヤーをヤキモキさせることが多々あった。



(ゲーム中でもそれでトラブルがあったりしたし、それが原因で別行動パターン……まぁこれはシナリオの都合なんでしょうけど)



 なんにせよ嫉妬を爆発させることなく穏便に全員が高校入学して欲しいと願うマリアだった。


 そんな彼女らのいる湖畔に一隻の船が寄せてくる。


 公園の資材などを運ぶ小舟とは一線を画する豪華絢爛な船。

先端には意味があるのかないのか女神像が取り付けられており貨物船や漁船とも違う異様な雰囲気を醸し出していた。


 実に丈夫でしっかりした足場が降ろされると颯爽と現れるは ―



「あら、ごきげんようマリア・シャンデラ」


「げぇ、プリム先輩」



 先の体育祭で悪霊のせいで暴走したプリム・ルンゲルだった。


 マリアの反応にご不満なのか彼女は下船して早々片眉あげて抗議する。



「げぇって何よマリア・シャンデラ! せっかく最高級のお肉を市場から直に運んできてあげたというのに。ねぇモリタさん」


「ハイ、たっぷりと」



 プリムの後ろではアマゾネスのモリタさんが市場で包んでもらったであろう肉を抱えてたたずんでいる。


 それを受け取ったプリムは見せびらかすように包みを広げ、中の霜降り肉を見せびらかしてはふんぞり返っていた。



「バーベキューなんて下賤なことをすると聞いた時は『どうかしているわ』と思ったけど、キバ様がいらっしゃるなら話は別よ! 私の力でバーベキューを高尚な料理へと昇華してみせますとも」


 しかしマリアの目はモリタさんが持ってきた肉の方に釘付け。


 熱弁を繰り広げるプリムの存在はおまけも良いところである。



「うっわ、すっごいサシ入っているわね……グラムいくらかしら? こんなのスーパーで見たことないわよ」


「人の話を聞きなさいな……てかスーパーの肉ってなによ」



 前世の話をうっかりしてしまうくらい肉をどうしてやろうかで頭が一杯のマリア。


 プリム、モリタさんに続いて自分の両親ガンドルとシンディが現れても気付きもしなかったのである。



「まったくもう、誰に似たのかしら」



 肉まっしぐらの娘に頭を押さえるシンディ。転生して中身が変わったのだから誰にも似ていないのは致し方ない話だろう。


 だが、父ガンドルはそんなマリアを見て満面の笑みである。



「ハッハッハ、霜降り肉! 大いに結構!」



 娘がリア充まっしぐらでよっぽど嬉しいのだろう、細かいことは気にするな状態といったところか。


「さーて、スジ切って柔らかくして……やりがいあるわぁ ―っと、お父様お母様」


「まったく、今気が付いたの?」


「大いに結構!」



 少々バツ悪く一礼するマリアは流れでこの船について尋ねる。



「ところでこんな船、ウチにあったのですか? それともプリム先輩の?」



 素朴な疑問にプリムが答える。



「いえ、ウチは商業用の帆船や旅行用の客船など幅広く揃えているけど、意味なく女神像を船首に飾るような無粋なことはしないわよ」



 海運関係の貴族だけあって実用性に寄せると豪語するプリム。何の意味があるかわからない女神像を指さし笑っていた。


 そんな彼女の指さす女神像の後ろから出にくそうに現れたのは ―



「どうもご無沙汰しておりますマリア様」



 なんとイゾルデだった。先日とは打って変わって大人しそうにおずおずと現れては小さく何度も会釈をしている。前髪をファッサーとかきあげる尊大な態度は影もなかった。



「あ、ども」



 急なキャラ変に動揺を隠せないマリア。


 サリーもロゼッタもあのイゾルデの変わりように目を丸くしていた。



「人って変わるものですね」


「性根って真っ直ぐになるんだな……いや、もともとマシな人間だったのかもな。家柄の圧力で歪んでいただけかも知れねぇ」



 成り上がりの貴族という家柄のせいで無理していたのかもとイゾルデに対する見方を変えるロゼッタだった。



「これもマリアの力ですかね」


「だろうな」



 二人はつくづくマリアという人間の底知れなさに感服せざるを得なかったという……当の本人は死亡フラグ回避に必死なだけなのだが。


 イゾルデは腰低く、飲み物などの差し入れを自分で持ちながらマリアに頭を下げる。



「先日はありがとうございましたマリア様、これ、つまらないものですが」



 もはや出張帰りで土産を持ってきた同僚レベルの腰の低さにマリアもつられて恐縮した。



「あ、どうも」



 つまらないものと言われたが、出された差し入れは高級そうな銘柄のジュースや飲料水の数々に苦笑いのマリアであった。


 そんなイゾルデにマリアの父ガンドルが笑いかける。



「いやはや、送っていただき大変助かりましたぞ! デルフィニウム家の方が我がシャンデラ家とルンゲル家を送ってくれるなど先代の頃には想像もつきませんでしたな」


「アハハ、過去は過去、ボクのせめてもの償いです……」



 殊勝なイゾルデ、しかしプリムはプリム節全開だった。



「送ってくれたのは嬉しいけどさ、しっかし見れば見るほど趣味の悪い女神像ね。船舶は成金趣味より実用性の方が評判良くなるわよ」


「あのプリム君……君は勝手に乗りこんできただけなのだが……」



 図々しいプリム、どうやらバーベキューと聞いて無理矢理相乗りをしてきたようである。



「キバ様もいて、シャンデラのおじさまおばさまもいるのに私がいないのおかしいでしょ? せっかくだもの! お肉だって用意したじゃない」



 あの日以来、ガンドル、シンディと仲が良いプリム。自身の親子関係のことで度々相談をしているとのこと。


 プリムは切り替えと言わんばかりにマリアに対してキバの所在を尋ねる。



「さぁマリア、キバ様はいずこ? 霜降り肉を持ってプリムがきましたよっ!」


「そのお肉も手配したのはボクなんだけどね……いや、男は黙って頑張るんだ。というわけでマリア様、本日はよろしくお願いします」



 もはや苦労人の気配すら纏うイゾルデはフラフラとプリムの後を追う、まるで主人とその側近のような関係にも見えた。


 そこへ、大きな船が着いたのを見てバルバトスが挨拶しにやってきた。



「あぁどうもシャンデラ家の方々」


「ぼ、防衛大臣⁉」


「あ~そう固くならねぇで、今日は無礼講だってんでね。さ~てメンツがそろったしそろそろ始めるのかい?」



 ギンタローとモフ丸を抱えるバルバトスにマリアは会釈する。



「もう少々お待ちください、今しがたいただいたお肉の下拵えをしたいので」


「待ちくたびれたんだがよぉ」


「もう少々ですので」



 料理に妥協は許さないマリア。


 そんな彼女に「聞いたとおりだ」とバルバトスは大いに笑う。



「いいねいいね、拘りがあるってのは心に一本筋が通ってる証拠だ。どうもワシがせかすと慌てる奴が多いんで……いやいや、こりゃ新鮮だぁな」


「アハハ、恐縮です」



 マリアとしてはただ美味しい物を食べて欲しいだけなのだが……こんなところで評価が上がってもと困り顔のマリアだった。



「それよりウチの二匹の面倒見てもらってすいません」



 マリアは彼が抱き抱えているモフ丸たちのことを改めて謝罪する。



「気にするこたぁねぇよ、縁側の爺気分が味わえたぜ。それにワシの孫が世話になっているからな……ところで」


「はい?」


「いや、なんでもねぇ」



 お前は大精霊の使いなのか?


 そんな突拍子のないことをつい聞きそうになったバルバトスはとっさに言葉を飲み込んだ。



「マリアー、このお肉どうしたらいいの?」


「あ、待ってサリー、今いく!」



 去り行くマリアの背を眺め、バルバトスは自嘲気味に笑った。



「やれやれ、変なことを聞きそうになったぜ」


「わっふ?」


「バルバトス殿、マリア殿に何かあったのですかな? 聞きにくいことなら我が聞いておきますぞ」



 大精霊の使いかなんて荒唐無稽なこと、口にでもしたらとうとう耄碌したかと心配されてしまう……老軍人はその問いにぼかして答えた。



「いや、あの嬢ちゃん本当は何者何だろうってな」



 と、髭を撫で誤魔化すバルバトスだった。



「ふむ、少なくともいずれ世界を統べるお方でしょうな。『ひーろー』と申しますか」


「わっふり」


「なるほどねぇ、そいつは楽しみだぜ」


 老軍人は子供みたいなギンタローの言葉選びにつられ、稚気あふれる笑みを浮かべるのであった。


 ほどなくしてイゾルデが持ってきた肉の下拵えも済み、乾杯もなくぬるりとバーベキューパーティは始まる。マリアも味見から段々と本気食いに発展していくよくあるパターンで肉をほおばり始める。



「あ~いいお肉をシンプルに焼く! これ以上の贅沢はないわ!」



 付け合わせの野菜も甘みを感じる一級品。思わずうっとりするマリア。


 一方、豪快男児ウルフリックはキャラを裏切らない食べっぷりで肉をむさぼっている。



「っか~! うめぇ! っか~!」



 言葉にならない言葉を発するウルフリック、それをジルが半眼を向けたしなめる。



「ちょっとウルフリック、ちゃんと味わって食べなさい。あと野菜もちゃんと食べる」



 片やプリムはイゾルデにもっと食べろと強引に促していた。



「ほらイゾルデ君、あなたはヒョロイから私が持ってきた肉を食べなさい。モリタさんみたいになれるわよ」


「山ホド肉を焼きました、キミもパーフェクツボディになりましょウ」


「いやそれボクが持ってきた肉 ―ウググ」



 やたらいい発音のパーフェクツと共にモリタさんは焼きたての肉をイゾルデの口にねじ込む。



「やれやれ、プリムちゃんからしたらイゾルデも形無しだな」


「会長もイチゴミルクばかり飲んでいるとプリム先輩に注意されますよ」



 サリーに釘を刺されロゼッタはバツの悪い顔をした。



「う、それは勘弁願いたいね」



 そう言いながらもイチゴミルクを離さないロゼッタに苦笑いするサリーだった。


 そしてキバたちもバーベキューを楽しんでいる。



「モフ丸君、お肉は美味しいですか?」


「もっふもっふ……」


「そうですか、あぁギンタローはもう年なので野菜中心で。この焼きすぎてしなびたタマネギなんかいかがでしょう」


「こりゃこりゃキバよ、確かに油物はちと受け付けなくなってきたがまだまだ若い! まだまだ肉よ! 『めが盛り』『ぎが盛り』どんとこい! ぺろりといってくれるわ!」


「わっふ?」


「いえ、このしなびたタマネギと自分を重ね合わせたわけでは……それは悲しすぎませんか」



 どちらかというとギンタローをいじって楽しんでいたというのは言わないお約束である。



「娘の焼いた肉ならどんな肉でも大いに結構!」


「もうあなた……」



 向うの方ではガンドルとシンディが初めてのバーベキューを満喫していた。


 そんな楽しそうな雰囲気の中。



「さてと……」



 マリアはこのホームパーティ本来の目的を果たそうとする。


 向かう先はもちろん、ミリィの元である。

※ブクマ・評価などをいただけますと助かります。励みになります。


 皆様に少しでも楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。 


 また、他の投稿作品も読んでいただけると幸いです。

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