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生徒会のお仕事中に本編主人公たちと遭遇しちゃいました①


 シャンデラ家と養子縁組み予定だった少女ミリィ。



 彼女にマリア・シャンデラはゲームの序盤に殺され、彼女の死を切っ掛けにワルドナの物語は始まる。


 そんな義理の妹予定だった彼女は転生したマリアが悪役令嬢(笑)として頑張りすぎたことによって自分ではなく別のキャラ、サリーの家に養子として行くことになってしまった。


 ゲームのメインキャラで戦力として欠かせない万能キャラのサリーが死んでしまったら世界が滅んでしまい死亡フラグ回避は失敗に終わってしまう。


 何とかしてその事態を避けなければならないマリアはサリーを守るためギンタローの力で悪霊を払おうと考えた。


 ギンタローを連れ自然にミリィに接触するべくサリーと深い仲になるため生徒会に入る決心をしたマリア。


 そんな事情を知らないロゼッタ会長はマリアにガンガン働いてもらうため「次の生徒会の仕事が成功すればサリーの家でホームパーティを開く」と約束。


 あまり目立ちたくないマリアだったが目的のため生徒会の仕事をモリモリこなそうとするのだった。



「さぁ! 生徒会のお仕事、頑張るわよ!」



 ハチマキのように三角巾を額にぎゅっと巻くマリア。


 その仕草をサリーが呆れた顔で眺めていた。



「マリア、気合いを入れてくれるのは嬉しいんだけど、三角巾よりまず生徒会の腕章を巻いて欲しいわ」


「おっとっと……いやぁ気合い入れるときは三角巾を巻きたくなるのよ。三角巾は私にとってのハチマキ、エプロンはタスキかしらね」


「まったくもう」



 色々裏があるのかと思いきや普段通りのマリアにサリーは肩すかしを食らう。


 ただ、マリアが「良い人」であることは疑いがないようで、彼女は信頼の笑みを浮かべていた。悪友に見せる苦笑に近い表情だ。


 素直に腕章をつけた後、マリアは今日の仕事について尋ねる。



「ところでサリー、今日から何をすればいいの? 窓のお掃除? それとも炊き出しとか?」


「なんで家事寄りになるの」



 呆れるサリーをマリアはまぁまぁとなだめる。



「そこはホラ、私のアイデンティティというかさ、子供の頃からお婆ちゃんに習った家事の腕に覚えがあるからさ」


「お婆ちゃん? いらしたの?」


「……おっと、こっちの話」



 つい前世の家庭事情を漏らしてしまうマリアは頭を小突いて反省する。



(う~ん、サリーの前だと心が緩んでついつい言ってしまうわね。にしても元気かな、お婆ちゃん)


 現実世界の家族を思い出しちょっぴりアンニュイな表情を浮かべるマリア。センチメンタルになるなと自分に言い聞かせる。



(だめだめ麻里亜! ちゃんと仕事してサリーや生徒会の信頼を得てホームパーティを開いてもらうまでくじけちゃダメよ)



 気を取り直したマリアはサリーに向き直り尋ねなおした。



「ん~何でもないわ! で、お仕事の内容教えてよ」



 次の生徒会の仕事が成功したらホームパーティと言われているマリア。


 何をもって成功なのか興味津々、少々戦々恐々といったところだった。


 そんな彼女にサリーが「念のために」と問いかける。



「ところでキバ様は大丈夫? 今日来ていない?」


「大丈夫大丈夫! ちゃーんと今日は来ないでくださいと釘刺しておいたから。街でもブラブラしているんじゃない?」


「あ、うん。ありがとう」



 次期亜人の王に「その辺で時間潰しておいて」と言えるマリアにいっそ恐怖すら覚えるサリーだった。


 マリアはキバを近づけない生徒会の仕事とはなんぞやと興味を抱く。



「んで、そこまでするお仕事ってどんなのかな?」


「実は最近ウチの学園のライバル校が現れたのよ」


「ライバル校? あぁ……もしかしてデルフィニウム高校かしら」



 そこでマリアはワルドナゲームでのことを思い出した。



「え? そこまで知っているの? 物知りね」


「あ、いや……風の噂よ風の噂。つまりライバル校であるデルフィニウム高校に負けないように頑張ることが生徒会のお仕事ね」


「具体的には有能な生徒の確保ね、定員割れなんてしちゃったら……ヤバいわ」



 呆れ交じりで笑ったのち、サリーは仕事内容について説明を始めた。


 彼女曰く中等生……現実世界で言うところの中学生が進路を決めるべく見学しに来るという。


 ファンタジーゲーム世界のため「魔法」「冒険者」「鍛冶など製造系」……などなど専門性の高い学校が多く、将来を見据えた選択をする高等学校選びはかなり重要視しているそうだ。


 そしてマリアの通うこのサイファー公国魔法学園は門戸が広く貴族だけでなく平民も通える学び舎として非常に人気が高いとのこと。


 特に平民は学生時代から貴族とのコネが作りやすい環境のため一流の就職先や夢に近づけると倍率がすこぶる高いと評判だ。



「というわけで、今日はね学園見学の中等生さんを案内して欲しいのよ」


「学園見学?」


「マリアもしたはずだけど?」


「あ、あぁ! そうねしたような……でも忘れちゃったかな~アハハ」


「まったく大物なんだから」



 呆れるサリーに笑って誤魔化すマリアだった。



(つまり、お受験戦争や少子化問題はゲームの世界でも健在ってことね……しっかし学校説明会か)



 マリア・シャンデラとして学園見学会や受験勉強の記憶がほぼないのを鑑みるに上級貴族はAO入試的な何かで入れるんだろうな……この辺も上級下級貴族の軋轢を生んでいるのだろうとマリアは察した。


 ひとしきり見学会のことを説明したサリーは受験に関して生徒会ならではの情報を教えてくれる。



「もちろん実績のある生徒は推薦入試があって、うちは魔法だけでなく学問や武術とかも重要視しているから賞を取ったとか大会で優勝したとかいう子は面接だけで入れることもあるわ。でも対象生徒がウチの学園を選んでくれなきゃいけないから囲い込みに必死よ」


「あぁ、そういえば」



 マリアはこの「ワルドナ」の主人公である「ジャン」とその仲間「ウルフリック」と「ジル」も面接のみで入学したことを思い出す。



(ゲームの主人公ジャンたちのことをすっかり忘れていたわ……まぁ序盤の死体役モブの私は彼らと絡むことはほぼ無くニアミスする程度だし気にしてもしょうがないか)



 それよりもサリーの命を守ること。


 サリーを含めた主人公たちに世界を救ってもらうべく多少イレギュラーが起きようと彼女を守ろうと心に決めるマリアだった。



「そうね、それより今はサリーの命を守ることよ」


「ん? なんか言ったマリア?」


「ううん、なんでも……あ、そっか、だからキバ様たちには遠慮してもらったのか」



 察したマリアにサリーは大きく頷いた。



「そうそう、自分の将来が関わってただでさえ緊張している生徒たち。そこに竜の王子様なんていてごらんなさいな。弾けるわよ」


「アハハ、弾けるわね」



 確かに普段からあのイケメンと接していて心臓が弾けそうなことに自覚のあるマリアは笑うしかなかった。



「とりあえず今日のお仕事がどんなのかわかった?」


「うん、輝かしい未来あふれる中等生諸君にそつのないように学園を案内することね! よーし頑張るわよ! イレギュラーに負けるもんか!」


「イレギュラーって何? ……っと早速ご到着ね」



 どうやら件の中等生たちが早速現れたようである。


 マリアは三角巾を締め直し気合いを入れる。



「よっしゃ、どんとこい!」



 腰を落とし生徒を迎える姿勢になるマリア。


 その視線の先にいたのは ―



「……」


「オイ⁉ きんちょーしてんのか? らしくないな! ンガハハハ!」


「ちょっと大声出さないでよ……あ、ごめんなさい」



 男子二名女子一名の仲良さげなグループだった。


 そんな彼らを見てマリアは首をかしげ ―



「ん? どっかで見たような子たち………………………………あぁぁぁぁ‼ ‼」



 絶叫に近い素っ頓狂な声を上げてしまう。



「ど、どうしたのマリア⁉」


「ど、どうしたもこうしたも……」




(な、何……何しにきたの⁉ 「主人公」たち⁉)




 彼女の前に現れた三人組。ジャン、ウルフリック、そしてジル……


 そう彼らこそ今し方考えていたワルドナゲームのメインキャラ。驚くのも無理からぬ物である。


 腰を抜かしそうになったマリアは「言われてみれば道理よね」と自分に冷静になるよう言い聞かせた。



(まぁ考えてみれば普通のことよね。推薦を視野に入れる生徒ならこの時期から見学に来るのもあるはず……しかし私が担当するこのタイミングかぁ)



 極力関わらずにいたかったマリアにとってまさかの展開、しかし「くじけちゃだめ」と気をしっかり持ち自分を鼓舞した。



(大丈夫、大丈夫! 学校説明会なんて緊張で案内者の私なんか気に留めないわよ! 私もそうだったし)



 ならば職務を全うするだけだとマリア。


 サリーはそんな彼女が緊張しているのかと思い優しく声をかける。



「緊張しているのね、でも大丈夫! 私もついているからマリア」



 新入社員に優しい研修のお姉さんのような振る舞いのサリーに思わず抱きつきたくなるマリアだったが、変に印象づけられると困るので自重した。



(今日の私は影……影に徹するわよ!)



 まるで忍者のような心の芽生えるマリアは気持ちを切り替えジャンたちに学園案内を始める。


 そんな彼女が三人を引き連れまず向かった先は……いきなり食堂だった。



「まずは食堂ね、ここは朝市のとれたて有機野菜をふんだんに ―」


「マリア、近いからっていきなり食堂はナンセンスよ」



 すぐさまフォロー……という名のツッコミを決めるサリー。


 影になると心に誓ったすぐその後に意識せずボケてしまったマリアは「やっちまった」と苦悶の表情である。


 漫才の形が成立してしまいウルフリックとジルが吹き出してしまう。



「わかるぜ! 大事だもんな、メシ」



「緊張をほぐそうとしてくれたのかしら? 面白い人ね」



 思いの外ウケてしまいマリアはさらにテンパった。



(くぅぅ! さすが万能キャラサリー、ツッコミも完璧な間でこなすなんて! 意図せず漫才の形になっちゃったじゃない! 下手に覚えてもらいたくない時だったのに……あら?)



 謎に感心するマリアだったが笑う二人より気にかかる人物がいた。



「……」



 このゲームの主人公ジャンである。



「ふ~む、おかしいわね」


「どうしたのマリア?」


「いや、何でも」



 サリーの問いかけに言葉を濁しながらマリアは不思議そうに主人公の方を見やる。


 ジャン・シルベスタ。


 ワルドナのメインキャラである彼は非常に勝ち気な性格の持ち主で、それに見合った実力の持ち主。


 よくしゃべるタイプの少年で知的な一面も持ち合わせており誰とも話を合わせることのできるコミュ力の固まりでもある。


 そのコミュ力で「大精霊」に導かれ世界を救うことになるまさに主人公な少年だ。


 メタの視点で語ると、ワルドナはキャラと選択肢の豊富さが魅力であり色々なキャラを仲間にするというシステム的な理由でコミュ力の固まりになったのだろうと推察できる。


 そんな彼が先ほどからほとんどしゃべらず黙りを決め込んでいるのだ。


 短く一言、返事をする程度。それをプレイしたことのあるマリアは不思議に思っていたのだった。



(どういうこと? まさかプレイヤーの選択肢がないとしゃべれないとか?)



 そう考えるマリアだがイシュタルが造りしこの世界はゲーム内とは思えないほど細部も再現されており、別の理由ではと思い直す。



(う~ん。たまたま体調とか機嫌が悪いとか? だとしたら気にしすぎるのもアレね)



 とにかく今は生徒会としての仕事を全うすることを第一に学園案内を続けるマリア。


 しかし、その後も楽しそうに学園を見回すジルやウルフリックとは対照的にジャンは黙り続けるのだった。


 小一時間ほどして一通りの学園施設を案内し終えた。



「ふぅ、広いとは聞いていましたけど……案内がなかったら道に迷う自信がありますね」



 感心しながら髪をかきあげるジル。ふわりと香水の香りが漂った。



(ん~設定通りモテそうな女の子よね)



 自他共に認める「モテる女」のジル。そのせいで旅先で男性に絡まれるトラブルや変装して潜入するミッションが多いのが特徴。衣装DLCの数が最多で結構な売り上げだと友人から聞かされた記憶がマリアにある。


 そしてウルフリックの方に向き直ってみる。



「とにかく教室と食堂さえ覚えていれば大丈夫だよな!」



 剛胆な性格を現しているかのように筋肉が盛り上がる。こちらも設定通りの筋肉バカのようで近寄るだけで暑苦しいリアルさに感心してしまう。



(わかりやすいくらいの筋肉バカね、もう汗ばんでいるし洗濯物が大変だろうなぁ……)



 この二人はキャラ通りなのに……と、マリアはなおさら主人公に違和感を覚えるのだった。


 傲慢勝ち気キャラにいったい何が? 心配になる彼女だったが、とりあえず様子を見ることにする。



(もしかしたら私の知らないところで入学前にイベントがあって、それで勝ち気キャラになったとか?)



 マリアがそんな可能性も考えているときだった。



「わっふ~ん」


「えぇ⁉ モフ丸⁉」



 いきなり小動物が茂みから飛び出すはモフ丸だった。


 いないはずのモフ丸にびっくりするマリア。


 ジルも見知らぬ犬が茂みから襲来してきて思わず身をすくめた。



「何⁉ 何なの⁉」 


「わふ?」



 驚く彼女に「モフ丸ですが何か」とつぶらな瞳で問いかけるモフ丸。


 しかし ―



「わっふ? ……んわっふ~ん‼」



 何かに……そう猫がマタタビの匂いをかいだかのようにモフ丸はいきなり興奮しだし、ものすごい勢いでダッシュしてジルに抱きついた。初めてマリアに会ったときの比ではない。



「うわぁ! ってちょっと⁉」


「わふわふ~」



 めちゃくちゃ頭をすり寄せるモフ丸。懐くと言うより何かをキメている、そんなトランス状態だった。


 戸惑うマリアはご主人としてモフ丸を引っ剥がそうと試みる。



「こ、香水の香りが好きなのかしら? ……っと、ゴメンナサイ、うちのモフ丸が」


「び、びっくりしたぁ……いきなりだもの」



 目を丸くするジルの肩をウルフリックがバシバシ叩く。



「なんだお前、今日マタタビでも食べたのか?」


「食べるわけないし! それって猫ちゃんのだし! 今朝食べたホットサンドの卵が口に付いていたのかしら……ていうかこの子は?」



 マリアはモフ丸を抱き抱えながら慌てて説明を始める。



「コラ! ダメでしょモフ丸! ジルちゃんびっくりしちゃっているじゃない!」


「わっふっふわっふっふ……ふ、わふ……」



 賢者タイムになったのか急に大人しくなり反省するモフ丸。


 そこに遅れてキバとギンタローが現れる。



「どうしたんですかモフ丸君」


「脱兎の如き駆け出し方でしたぞモフ丸殿。おおかたキバの腕の中が嫌になったのであろうが驚きましたぞ」


「そんなわけはないでしょう、あなたじゃあるまいし」


「ふん、男に抱きしめられる我の気持ちがわからんか! 嗚呼、お主でなくマリア殿の腕の中が良い…………っとお客人が、コンコン!」



 漫才めいたことをしている二人にマリアが近寄って何が起きたのか尋ねる。



「どうしたんですかキバ様、待っていてくださいと言いましたよね」



 普段の真顔に少々バツの悪い色を滲ませながらキバは言葉を返す。



「えぇ、ですので耐えに耐え、待ちに待ち、雨にも負けず風にも負けず断腸の思いで待っていました。でもなぜかモフ丸君が走り出して……」


「今日のお天気は快晴&無風なんですけどね……なるほどモフ丸が暴走したと」



 マリアのツッコミをスルーして、ちらりモフ丸の方を見やるキバ。


 腕の中のモフ丸は「失敬失敬」とテヘペロして陳謝していた。



「わふぺろ」


「うぬぬ、モフ丸殿が駆け出す様は山盛りジャーキーを貪るときの勢いでしたぞ」


「それは……相当ね」



 その会話を堂々と真横で聞いていたウルフリックはモフ丸に顔を近づける。



「お? まさかジャーキーこっそり食べたのか? ジルが隠し持っていたのか? ジル! 俺にもくれよ、な!」


「持っていないし、あったとしても一本二本もらったところでアンタの腹は満たされないでしょ」


「マジか……じゃあお前は持っていないか? ワン公」


「子犬にたかるなっての……」



 モフ丸に対しギンタローは寛容な心を示す。



「まぁモフ丸殿はまだ子供ですし、ハシャぎたくなることもあったのでしょう。そこのトカゲと違い我は大人ですからな深くは問いつめますまい」


「そうやって他人を下げ、自分の株を相対的に上げようとするのは性悪ジジイのやり口ですよ」


「な、誰が性悪ジジイじゃ! 経験豊富なおにーさんのたゆまぬ努力と申せ!」



 さて、淡々としているキバに気が付いたジルが目を丸くして驚いた。



「え、この人もしかしてアネデパミ卿? こんなところにいないはずでは?」


「あの、ジルさん。ちょっと……」



 慌ててサリーは他の見学者が気付いて大騒ぎにならないよう、ジルに他言無用と申し出る。



「あの、このことは内密にお願いします。毎日いらっしゃるわけではないのでミーハーな方が見学、さらに入園されても困りますので」


 キバ目当ての見学者や志願者が増えてしまったら生徒会の仕事が無駄に増えることを危惧しているのだろう。


 ただでさえ倍率の高い学園なのにアイドルに会える感覚で来られるのはご遠慮願いたい。


 サリーの気持ちが伝わったのかジルは快く了承した。



「そうですよね、竜の王子様がここに頻繁に訪れるなんて知ったら大変でしょう」


「お心遣い感謝します」


「私も面倒な男性に言い寄られてメンドクサイ時もありますし。生産性がないんですよねそういう人」


「あはは、そちらも大変そうね」



 なかなかの毒舌にサリーは苦笑いしている。


 その会話に空気の読めなそうな顔でウルフが首を突っ込んできた。



「んで? なんでそんな人がここにいるんだ?」


(わーお……この無遠慮さ、さすがウルフリックね)



 直球でなかなか聞けないことをあっさり聞けるウルフリックに「ゲーム通りの空気読めないキャラ」とマリアは感心する。


 深慮遠謀、迂遠という言葉など一切持ち合わせない、例えるなら三歳児の「あれなぁに」に近い悪気のない問いかけ。


 この直球質問はさすがにジルがたしなめた。



「こら、根掘り葉掘り聞くものじゃないでしょ」


「根掘り? 自然薯か?」


「なんで食べ物に話が行くかなぁ」



 そんな漫才めいたやり取りの中、何かに気が付いたのかキバが「ふむ」と唸りウルフの方に近寄った。



(へぇ、自然薯……山芋あるんだ。じゃあお好み焼きでも ―ってキバ様?)



 この流れ、普段は温厚寡黙天然のキバがさすがに怒るターンかと思いきや……彼は意外な反応を見せる。



「あの、もしかしてウルフリック君ですか?」

※ブクマ・評価などをいただけますと助かります。励みになります。


 皆様に少しでも楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。 


 また、他の投稿作品も読んでいただけると幸いです。

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