七話「魔法学園の体育祭が始まりました」⑥
この度GA文庫さんからお声がかかり書籍化が決定いたしました!
もろもろ確認やイラスト監修など重なりまして、投降頻度落ちてしまい申し訳ございません。
当面は週一投稿で続きを執筆していこうと思います。
書籍の情報などは追ってご報告できたらと。
どのタイミングでどの程度公開していいのか……こういうの慣れないとドキドキしちゃいますね。
まだまだいたらないところばかりですがどうぞよろしくお願いいたします。
そのプリムは上級貴族の父兄が会合しているテラス席を見やっていた。
苦い物を噛みしめているような表情でじっと談笑する父兄たちを眺めている。
「やっぱ、来ないわよね」
ぼそり、嘆息混じりでつぶやくそんな彼女に同級生であろう上級貴族の生徒が近寄ってきた。
「プリムさん、なかなかの宣戦布告だったけど勝算はあるんですか?」
マリア・シャンデラに大見得を切った彼女に対する素朴な疑問。
取り巻きの一人に聞かれたプリムは鼻の穴を大きくしてこう答えた。
「まぁ、実力でねじ伏せてもいいんだけれど」
「え? まさか……」
まさかノープラン? と思わず聞き返しそうになった取り巻き。
プリムは「安心しなさい」と悪い笑顔を見せた。
「万が一という言葉もあるわ、ちゃんと考えているわよ」
そこまで言ったプリムは小躍りして歌うように自らの策を語る。
「下剤を医者からもらったの、強力なヤツをね。それをマリア・シャンデラに服用させるわ」
「く、薬ですか?」
「そうよ、昼食の時間にでも挨拶をする振りをしてこっそりあの娘の料理に仕込むの! ククク……」
プリムは肩を揺らして笑い出している。
「世の中はね、何を言ったかじゃなくて誰が言ったかなのよ……上級貴族と下級貴族の差なんてない? そんな戯言、お腹を下した情けない女が口にしたところで誰も聞く耳を持たないわ!」
「な、なるほど。マリアの評判を下げてしまおうという作戦ですね」
取り巻きの言葉、しかしプリムは聞く耳持たず自分の世界に浸っていた。
「マリア・シャンデラ……この前の屈辱忘れていないわよ、キバ様の件も! ていうかキバ様が執事!? なんて羨ましい!」
私的な恨みがこもりにこもっているプリムに引き気味の取り巻き。
気にもとめず彼女はほくそ笑んでいた。
「大勢の前で恥を掻きなさいマリア・シャンデラ……テラス席でシェフの料理を堪能している時が貴方の最後よ!」
しかしプリムは知らなかった。
家族と共にお抱えシェフの料理を堪能するのが貴族の嗜み――
マリアはその慣例を無視し「体育祭はシートを敷いてみんなでお弁当でしょ」と豪語していた事――
「一生尾を引く恥を掻いて取り返しのつかない差を付けてあげるわ!」
そう……もうすでに計画が破綻していたという事など、知る由もなかったのである。
※次回も日曜日19時頃投稿します
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