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七話「魔法学園の体育祭が始まりました」⑤

所用で来週は水曜休み日曜投稿のみになりそうです、申し訳ございません……


「えーっとこんにちはプリム先輩」



 挨拶もそこそこにプリムはずいとマリアに肉薄してきた。



「同じ上級貴族のよしみで前回は許してあげたけど、今日ははっきりと優劣を付けさせてもらうわ。ルンゲル家とシャンデラ家、どちらが上かをね」


「えーっと体育祭で家の上下は……」



 家柄の優劣を付けられるものかと困惑するマリア。


 プリム先輩はお構いなしにまくし立てる。



「そうよ、たくさんの貴族たちや大衆の前で決着をつけるの。ここにいるすべてが証人になるわ」



 高らかに吠えるプリム先輩……一気に衆目を集め「なんだなんだ」と生徒たちがざわめきだした。


 そのざわめきに「何事か」とサリーが様子を見に近づいて来て……件の上級貴族の傍若無人ぶりに思わず額に手を当てるのだった。



「あ、相変わらずですねプリム先輩」


「あらサリーさん、入学早々生徒会入りしたエリート様じゃない」



 いきなり皮肉たっぷりな口撃。


 しかしサリーはそう言われるのに慣れているのか動じない。



「エリートではありませんよプリム先輩」


「ふふん、新参貴族の貴方がどんなマジックを使ったのか今度教えてほしいものだわ」


「残念ながら奇術は使っていません」



 相手の挑発に毅然とした態度で言い返すサリー。


 プリムは少々むっとしだす。



「忘れないでね、上級と下級には無くすことのできない壁があるということを。それを無くすことがいかに愚かなことか上に従うことが幸せだと必ず思い知らせてあげるから」



 言いたいことを言い切ったプリムは足早にその場から去っていったのだった。


 サリーは頭の固い先輩に呆れてぼやく。



「相変わらず上級貴族であることに固執しているのねプリム先輩は、まぁあの人は無理もないか」


「無理もない?」



 気になる様子で首を傾げたマリアにサリーが食いつく。



「あら? 気になるの? 実はねあの人は家も大きいから認められたいって気持ちが強くて――」


「えーと、詳しくはまた今度ね!」



 隙あらばマリアと仲良くなろうとするサリー。


 そのことに気づくとマリアはすぐさま距離を取ろうとする。


 サリーの一方通行ラブっぷりに周りのクラスメイトも疑問に思う。



「どうしたんだろマリアさん、サリーさんを避けている感じ」


「サリーちゃんみたく良い娘を避けるなんてなんでかな?」



 そんなクラスメイトの会話に訳知り顔で他のクラスメイトが割り込んできた。



「知ってる? マリアさん、生徒会に誘われたんだって」


「え? マジ?」


「しかも役職付き、この耳で聞いたんだから間違いないわ」



 どうやらこのクラスメイト、先の生徒会室の一件でマリアを心配し駆けつけた生徒の内の一人のようである。


 彼女は鼻息荒くマリアの「武勇伝」を語り出す。



「私たち下級貴族の生徒がプリム先輩に絡まれていた時に颯爽と現れ助けてくれたの」


「それで生徒会に誘われたの!?」


「でも断ったそうよ。だから勧誘してくるサリーさんを避けているの」


「え? なんで? 生徒会に入れることは将来約束されたような物なのに」


「なんでも他にやるべき事があるとか……きっと私たちの及びもつかない事よ。カッコいいわマリアさん!」


「気まずいから避けているのかも……マリアさん優しいから……」



 マリアに助けられ心底惚れ込んでいるクラスメイト。


 彼女の熱を帯びた語り口に周囲も「そういうことか」と良いように納得していく。


 そして噂に尾ひれが付いてリュウグウノツカイ並にぐんぐん成長していったのだが……必死になって距離を取ろうとしているマリアに知る由はなく……



「うーん、プリム先輩も色々大変そうね」



 自分の方が大変になっているとも知らずのほほんとしているマリア。


 そして彼女は「家柄がすごいと大変ねと」と軽くプリムに同情していたのだった。

※次回も日曜日19時頃投稿します

※ブクマ・評価などをいただけますと助かります。励みになります。

 皆様に少しでも楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。 

 また、他の投稿作品も読んでいただけると幸いです。

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