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五話「魔法学園に登校します!」⑧

日間ランキング載っていました嬉しいです(≧▽≦)

体力の続く限り毎日投稿頑張りますので、応援のほどよろしくお願いします!

「まさかマリアさんが」


 サリーである。上級貴族と下級貴族の問題を憂いている彼女は今のいざこざに駆けつけようとしていたようだ。



「駆けつけようかと思っていたら……マリアさんがかばってくれるなんて。てっきり――」



 そんな彼女の背後から威厳のある声が聞こえてくる。



「てっきり何でぇ? 止めるとは思わなかったってかい?」



 声の主に一礼したサリーは茶目っ気たっぷりに舌を出す。



「えぇ、噂のシャンデラ家のお嬢様なら一緒にイジメるかと思っちゃいました」


「噂は噂ってことか」



 サリーは思うところがあるのか首を傾げていた。



「クラスで一か月ほど一緒でしたけど長期休暇前までは噂通りの方でしたよ。でも今日は朝から様子が違っていて……どこか憎めない雰囲気でした」


「長期休暇中に名のある僧侶の説法でも受けたのかね、ずいぶんな変わりようじゃねぇか」



 同級生と一緒に歩くマリアを見て目を細めサリーが微笑む。



「心変わりの理由も気になりますが、上級貴族も下級貴族もないと言い切る姿勢……私、マリアさんのことをもっと知りたくなりました」


「奇遇だねオイラもだ。あの啖呵の切り方、中々肝が据わっている。上級貴族様から聞けるとは思わなかったぜ」



 威厳のある口調で声の主は一拍置くとサリーに指示を出した。



「マリア・シャンデラ。彼女を候補に入れておいてくれ」


「生徒会の……ですか?」



 確認するサリーに声の主は笑ってみせた。



「生徒会長のオイラが候補っつったらそれしか無いだろうよ。楽しくなって来やがったじゃねぇか」



 クツクツと笑う声の主。


 この日を境にゲーム本編の死体役から逸脱した存在になり、悪役令嬢どころか「魔法学園のモフモフ女番長」の異名が付けられることになるとは。



「さ~て何食べよっかな~」



 マリアは知る由もなかった。







 そしてやりきって一日を終えた彼女は程良い疲労感に包まれ帰宅。


 背伸びしてボキボキと腰の骨を鳴らしながらさっそく厨房へと向かおうとする。



「ただいま~! ご飯今から作るからちょっと待ってて~。今日は何作ろっかな」



 そんな彼女の元にマリアの父ガンドルと母シンディが駆けつけてきた。学校からの帰りをお出迎え……という感じでは断じてなさそうな慌てた雰囲気である。



「あれ? どうしたの二人そろって。ご飯のリクエストあるの?」



 リクエストと聞き即座に反応したのはカバンに潜むギンタローとモフ丸だった。



「ふむ、自分はいなり寿司を所望します」


「わふぅ」


「モフ丸殿はジャーキーをご所望のようですぞ」


「わふわふ!」



 両親より先にリクエストをするギンタローとモフ丸。


 しかし、両親はそれどころではないようで、二人は汗だくでマリアに肉薄する。



「マリア、大変なことが起きたぞ」


「え?」



 マリアはアゴに手を当て、今日起きた事件のことかとまず疑った。



(上級貴族の偉そうな先輩たちを泣かせたけど、もう嫌がらせ!? ……なわけないか)



 非があるのは向こうだし、まさか即日河川の利用を停止させるなど子供の喧嘩でする訳ないと信じたい。


 別件と思ったマリアは取り合えずガンドルに落ち着くよう促した。



「落ち着いてくださいお父様、どうかしたんですか?」



 続いて母シンディがマリアの肩を掴んで話し出す。



「マリア、落ち着いて聞いてね」



 ガンドルと違い切れ長の鋭い目つきでやり手キャリアウーマンな印象。


 ちょっぴり好き嫌いはあるが基本はしっかり者、そんな彼女の慌てようにマリアもだんだん気になってくる。



「えーっと、取りあえず何が起きたのか詳しくご説明を。夕飯の支度もしたいので」



 ガンドルはいったん息を整えるとゆっくりと何が起きたのか話し出そうとする。



「いいかい、驚かないでくれマリア。実は――」



 その刹那。


 ガンドルの言葉を遮るように背後の方からしっとりとした声で一人の青年が現れた。



「お帰りなさいませ、マリア……お嬢様」


「え、えぇ!?」



 黒髪に浅黒い肌の色、妖艶な雰囲気を携え現れたのは竜族の王子キバ。


 しかし服装はいつのも服装やファーが付いたコートでもなく黒を貴重とした執事服だった。



※次回も明日19時頃投稿します


※ブクマ・評価などをいただけますと助かります。励みになります。


 皆様に少しでも楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。 


 また、他の投稿作品も読んでいただけると幸いです。

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